衆院選の小選挙区10増10減の区割り改定案が議論される中、和歌山県は10減の対象になっています。これについて地元の人たちからは懸念の声が上がっています。過疎が進み、“地方の声”が届きにくくなりつつある選挙制度に、参議院選挙・和歌山選挙区の各候補者はどう考えているのでしょうか?

衆院選での投票率80%超の和歌山県北山村「村全体で支えていかないと」

 勢いよく川を下る「筏下り」は和歌山県北山村で600年以上の歴史があり、今年5月には多くの観光客の姿がありました。丸太を組んだ筏に乗って川下りができるのは日本でここだけです。

 (観光客)
 「めっちゃ濡れました。これはUSJのジェットコースターよりも良いかもしれないです」
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 知る人ぞ知る和歌山県北山村。人口は411人(今年5月時点)で、全国でも珍しく周囲が隣の県に囲まれる飛び地の村です。
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 今年6月に取材班は北山村を訪れました。

 (北山村の住民)
 「県で1位やわ。一致団結。(Q参院選は投票に行く?)行きますよ、全部。投票率は小さい村やからほとんど全員行きますね」

 この北山村は、去年10月に行われた衆議院選挙で投票率が80%を超えました。全国平均は約56%でした。なぜ投票率が高いのか?村民に話を聞きました。

 (北山村の住民)
 「村全体で支えていかないといけないので。そのためにはどうしたら良いかをみな考えて。発展するようにね。(Q参院選が始まるが投票に行く?)行きますよ」
 「小さい村やから行政とかに頼っていかないとあかんところがある。一生懸命だと思いますよ。こんな村に立派な国道があるのはやっぱり議員さんのおかげだと思っているので」

次の衆院選の選挙区が3→2に?「それはちょっとつらい」

 村民は地域を良くするために選挙で1票を投じていると話します。しかしこんな声もありました。

 (北山村の住民)
 「和歌山が3から2になるんですよね。それはちょっとつらいところですね」
 「声は届きにくいですよ元々和歌山は。そう思うわ」
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 現在、国では「一票の格差」を是正するために、人口が増えた地域に新しい選挙区を10か所増やす代わりに、過疎地で10か所削減するという、10増10減の区割り改定案が議論されています。和歌山県は10減の対象で、次の衆院選の定数が選挙区で3つから2つに減ることになり、北山村は元々3区でしたが橋本市や海南市など計27の市町村が区域となり、広大な2区に再編されます。

 こうした事態に村民からは“地方の声が国に届かなくなる”と懸念する声が相次いでいます。

 (筏下りの船頭)
 「こういう過疎地区なので、声は届きにくくなるのかなと思うんですけど、こちらに力を入れていただきたいというのが本音ですね。(Q衆院選で和歌山の代表が減るのは大きい?)そうですね」

参院選・和歌山選挙区の候補者たちの考えは?

 7月1日、村に唯一設けられた期日前投票所には多くの村民たちの姿がありました。

 消えゆく地方の声。参院選の候補者たちはこの問題をどう考えているのでしょうか?参院選・和歌山選挙区は改選議席1に対して5人が立候補しています。
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 共産党の新人・前久さん(66)。小選挙区制度を変えるべきだと訴えます。

 (共産党・新人 前久さん)
 「国会議員の数が減るということは県民のいろんな要求や願いが国会に届きにくい。小選挙区制を廃止して比例代表制に移行していくと。そうすれば県民のいろんな願いが届く制度に変わっていけると思っています」

 自民党の現職・鶴保庸介さん(55)は地方こそが優遇されるべきと考えています。

 (自民党・現職 鶴保庸介さん)
 「もし計画通りに和歌山が2つになるとなってしまったら、たぶん日本で1、2を争う大選挙区ができてしまう。地方の声が東京に届くようにということを考えるのであれば、面積要件だとか様々なことを勘案するべきだと強く思います」
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 NHK党の新人・遠西愛美さん(37)は。

 (NHK党・新人 遠西真奈美さん)
 「和歌山に限ったことでもいいですし、提案だったり問題点をあげていただけたら、それを国会に伝えたり(地方の)議会にお伝えしたりすることも十分可能なので、どんどんなんでもください」

 このほか和歌山選挙区からは以下の候補が立候補しています。

 【届け出順】
 諸派(新党くにもり)・新人 谷口尚大さん
 諸派(参政党)・新人 加藤充也さん

 参議院選挙の投票日は7月10日です。