今年5月に和歌山県の車庫内で脱線した南海電鉄の特急車両が、6月17日未明、大阪府内に陸路で移送されました。レアな陸送を一目見ようと、深夜にもかかわらず周囲には大勢の鉄道ファンの姿がありました。

車庫で脱線した南海の特急列車…和歌山から大阪へ移送

 6月17日午前0時、和歌山県橋本市の車庫から大型トレーラーが出発しました。運ばれるのは、南海電鉄の特急車両30000系です。

 (鉄道ファン)
 「やっぱり古い高野線の特急なんで、過去に陸送された前例ってたぶんないと思うので、結構貴重かなと」
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 30000系は約40年前の1983年にデビュー。大阪から高野山へあまたの観光客を運んできました。
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 しかし、5月27日、車庫内で運転士が停止信号を見落としてポイントに進入。元の位置に戻ろうとバックしたところ、2両が脱線してしまったのです。この影響で南海は6月17日時点も有料指定席特急「こうや」「りんかん」を一部運休し、自由席特急に切り替えています。

 そして、状態を詳しく調べるため、大阪府河内長野市の工場に脱線車両を移送することになったのです。

着いた工場ではカメラを向ける大勢のファンたち

 暗い山道を煌々と照らしながら進むトレーラー。カーブに入ると、最徐行。
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 鉄道車両はやはり“ビッグ”。トンネルには何とか収まっている状況で、天井スレスレの箇所もありました。

 (記者リポート 6月17日 大阪・河内長野市)
 「午前0時42分です。いま、注意と協力を呼びかける車も現れました」

 厳戒態勢の中、その約10分後…。

 (記者リポート)
 「大型トレーラーが現れました。シートで覆われた車両がいま、交差点を通過していきました」
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 その後、トレーラーは大阪外環状線に入り、工場へと入っていきました。
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 工場の周りでは、写真を撮ろうと大勢の人がカメラを向けていました。

 (鉄道ファン)
 「(私は)関東ですね、神奈川の人間です。場所が場所なので暗くてちょっといまいちでしたね。今回峠を越えたわけで、なおさら難しいかなという感じでした」
 「有休を取って来ました。かっこいいトラックを使っているということで駆けつけました。(Q鉄道だけではなく輸送も?)どちらかというとトラックのほうですね。最終的にもう1回橋本の車庫まで陸送してほしいですね。元気になった姿でもう1回輸送をやってほしいです」