持続化給付金を巡る詐欺グループの主犯格・谷口光弘容疑者がインドネシアで逮捕された事件。逮捕後、現地当局の会見に姿を現すなどの動きがありましたが、「日本への移送」や「今後の捜査の見立て」について、神奈川県警元国際捜査課で現在は犯罪ジャーナリストの小川泰平さんが解説します。
入国管理局の会見には“容疑者も立ち会い”
ーー今回の事件の舞台はインドネシアのスマトラ島にあるカリレジョ村という場所ですが、この村はいわゆる観光客が行くような場所ではなさそうだということですよね?
「そうですね。場所自体は、谷口容疑者が何かコネクションがあるんだろうなというふうに思いますけどね」
ーー入国管理局の会見には容疑者も立ち会っていましたが、日本ではなかなか見ない光景ですよね?
「そうですね。フィリピンとか韓国でも、実際に顔を出して、捜査員と共にというのは、それほど珍しいわけではないですけどね。以前は日本でもそういった容疑者を写していましたけど、今は人権云々っていうことがあって、だんだんとそれがなくなってきています」
『ナマズや高値取引のグラメ』を現地で養殖か
ーー谷口容疑者はインドネシアでビジネスを行っていたという話がわかってきました。まず1つ目が、魚の養殖です。現地で人気のナマズや高値で取引されるグラメという魚の養殖をしていたのではないかと。谷口容疑者がスマトラ島中部のパダンでエビの養殖もしているようだと。そして部下はインドネシア人だが、本人はインドネシア語は話せず、ジェスチャーと翻訳アプリを使用していると。谷口容疑者はインドネシアでこの魚の養殖などの事業を、割としっかりとやっていたと考えられますか?
「いや、しっかりとしていたかどうかというのは非常に微妙でですね。そういった話を石油の油田とともに、いろんな方に『そういった事業をしているんだ』という話はしていましたけど、本人がどこまでその話が進んでいたのかは、正確にはわからないところです」
ーー谷口容疑者の人脈といったものはどんなことがわかっているのでしょうか?
「人脈っていうのは決していい人脈ではなくてですね、非常にグレーな人脈。確実にわかったわけではないんですけども、実際、インドネシアの警察からも目をつけられていたという可能性もあると思いますね、今回」
『第三国へ』逃亡していた可能性は?
ーー谷口容疑者がインドネシアから第三国に逃亡することは難しくないでしょうか?
「アジアの中には密入国しやすい国があり、谷口容疑者がそのルートを持っていた可能性がある。実際に谷口容疑者に限らず、他にも国際経営をされて現在、海外・国外逃亡中の人って数人いるんですけども、そういった面でも本人は、インドネシアにいたら捕まってしまうので、第三国で出国。その後も逃亡するというような計画を立てていたようですけどね」
逮捕の父親以外に「関与した人物」は?
ーー第三国に逃亡した際に、パスポートなどのチェックはどうなるんでしょうか?
「パスポートとか、あんまり具体的にテレビでは言えないんですけども、意外と簡単に入手できるのかなという気がしてます」
ーー谷口容疑者は他にも仲間がいたんじゃないかというような話もありますけども、そのあたりはどのように考えられますか?
「家族以外にですね、家族と実際に申請する者の間にパイプ役となる人間が数人いたことは間違いないですね。その他にも、実際、魚の養殖や油田開発だということで、それは実際の被害がまだ判明してないんですけども、そういったところもこれからわかってくるのではないかなと」
ーー谷口容疑者が主犯格ということですけども、谷口容疑者よりも上部の人間がまだいるんじゃないかということに関してはどうでしょうか?
「お金を上納しているというと言い方が悪いですけど、そういったものがいるかもわかりませんが、実質に動いてる中では谷口容疑者が主犯格というふうに警察は見ているのではないかと思いますね」
インドネシアからの「移送」や「帰国後の捜査」は?
ーー今後、谷口容疑者の帰国はいつ頃になりそうですか?
「今は入国管理局に行っていますから、もう一両日中ぐらいに、今週末あたりにはもうインドネシアから日本に向けて出国、強制送還されるというふうに見ていますね」
ーー日本に帰国してからはどんなが捜査が予定されているのでしょうか?
「まず一番は、手口やどのようにやったっていうことも大事なんですけど、まずはお金の流れですね。お金は今現在いくら残っているのか、お金をどういうふうに配分したのかとかを一番最初に追求していく必要があるんだろうなと思っています」