1582年6月2日に明智光秀が主君の織田信長を討った「本能寺の変」。それから440年が経った2022年6月2日に、明智光秀の地元である福知山市で「明智光秀そっくりさんコンテスト」が行われました。思い思いに“光秀愛”をアピールする参加者たちの姿を取材しました。

「本能寺の変」から440年を記念して“明智光秀のそっくりさん”を決める!

 5月28日、鳥取市が熱く盛り上がっていました。復元された弥生人の顔にそっくりな現代人を選ぶコンテストです。
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 初代グランプリには大阪の会社員・吉田昌弘さん(35)が輝きました。
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 そして偶然、時を同じくして京都でも。2022年6月2日は、明智光秀が主君の織田信長を討った「本能寺の変」から440年の日。
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 午前10時の「福知山城」には、まるで明智光秀が現代に転生したかのような人物が現れました。
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 さかのぼること半年前。取材班はこの企画のキーパーソンである京都府福知山市の職員・宇都宮萌さん(36)に取材を始めました。

 (福知山市・シティプロモーション係 宇都宮萌さん)
 「(Q面白い企画をしていると聞いたのですが?)ただいま『明智光秀のそっくりさん』を募集しております。(Qそっくりさんですか?)はい、明智光秀のそっくりさん」
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 宇都宮さんは実は、大手芸能事務所を経て、4年前に福知山市に転職した敏腕広報。市の新たな広報ポスターを撮るにあたって、福知山城を築いた地元の名将・明智光秀の「そっくりさん」をモデルにしようとコンテストを企画しました。
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 光秀の肖像画を見ると“面長な顔”に“鋭い目元”、おでこは丸い“金柑頭”。このあたりが判定のポイントになります。

個性派ぞろい!思い思いに“光秀愛”を語る応募者たち

 いったいどんな人たちが応募したのでしょうか。

 (福知山市・シティプロモーション係 宇都宮萌さん)
 「(応募が)50件集まりまして、ちょっと予想外すぎて。(選ぶのが)大変ですよね、皆さん力作過ぎて」
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 応募作品を覗いてみると、芝居で光秀役を演じる俳優から…
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 光秀をかたどった彫刻に…
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 明智家の家紋入りの着ぐるみを着たロボットまで。老若男女、もはや人間かも問わず、思い思いに「光秀愛」をアピールしています。
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 中にはこんな人も…

 (レトガー・麻子さん)
 「(Qどこから応募?)ドイツのフランクフルトです」

 福知山市から約9000km離れたドイツから応募したレトガー・フェンリス・聡汰・滝七くん(1)です。
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 歴史好きのお母さんは聡汰くんが生まれた瞬間、その頭を見てピンときたそうです。

 (聡汰くんの母 レトガー・麻子さん)
 「どこかで見たなっていうのがあってずっと引っかかっていたんですけど、『光秀に似てるじゃんこの子』と思って。すごいこの子“金柑頭”なんですよ。そっくりさんだぞ!えいえいおー!こんな金柑頭はほかにいないぞ!」
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 「本能寺跡」にいた丹波光秀さん(59)もエントリーした1人です。

 (丹波光秀さん)
 「(Qお名前は?)“丹波光秀”と申します。明智光秀の生まれ変わりやと思っていますけど」
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 歴史好きの両親が名づけましたが、59年、「光秀」の名前を背負ったがゆえの悩みもあったそうです。

 (丹波光秀さん)
 「(明智光秀が)それまでやっぱり『アンチヒーロー』や『裏切り者』という言われ方をしていたのでね、心の中ではちょっと嫌やなと。光秀の歴史書を読むたびに『こんな人ではない』とずっと思っていましたので、絶対に(人を)裏切らないという気持ちはありますね。(Q肖像画と比べて似ている?)僕自身は思っています、似ているんじゃないかなと。(Qどこが似ているポイント?)目と全体の雰囲気と、小鼻がちょっと高いところとか。光秀になりきるために頑張るぞ!」
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 一方、琵琶湖のほとりには何やら怪しげな格好の人物が…。

 (鈴木千夏子さん)
 「(Qどこで買ったんですか?)Amazonとか。あと、明智光秀めぐりをした先でいろいろな物が売っているので、陣羽織を買ったり兜も買ったりとか…」

 「明智のみっちゃん」こと鈴木千夏子さん(56)。台車を転がしながら持ってきたのは、Tシャツから刀まで100点を超える光秀グッズです。これまでに費やした総額は10万円近く。
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 そんな鈴木さんに“光秀愛”を伺うと…

 (鈴木千夏子さん)
 「(Q明智光秀の魅力はどこにある?)『智将』と言われている頭の賢さ。あとは家族思い、奥さん思いで娘思い。(Q光秀を好きな気持ちはほかの応募者に負けない?)そうですね、あっついですね!あの時代にタイムスリップしたらお嫁さんになりたいなと。そっくりさんになりたーい!」
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 そして、祖父が福知山市出身のMBS・萩原大佑記者(23)。鋭い目元は、誰が呼んだか「MBSの光秀(自称)」です。

 群雄割拠の「そっくりさんコンテスト」。天下を取るのは一体だれなのでしょうか。

いよいよ審査開始…厳しい審査を勝ち抜いた“そっくりさん”は!?

 (福知山市・シティプロモーション係 宇都宮萌さん)
 「ただいまより『明智光秀そっくりさん審査会』を始めます」

 審査を行うのはクリエイター2人と福知山市の職員。白熱した議論が続きます。
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 (審査員)
 「エントリーナンバー5番は、肖像画との一致度はすごく高いなと。顔の下半分がすごく似ているなと」
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 (審査員)
 「エントリーナンバー10番の方は、確かに光秀の肖像画ってよく見ると二重っぽい線が入っているなということに気づきまして。けっこうありかもなと思ってきたので」
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 そしていよいよ、「MBSの光秀(自称)」こと萩原記者の審査に入ります。

 (萩原記者)「エントリーナンバー48番はどうでした?」
  (審査員)「似ているか似ていないかで言うと…、似ていないかなと」

 萩原記者、敗退決定。

 こうして1時間あまりの審査でそっくりさんが決まり、応募者には個別でメールが届きました。
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 「明智のみっちゃん」こと鈴木千夏子さん、果たして結果は?

 (鈴木千夏子さん)
 「ダメでした!また次回こんな企画があれば応募したいと思いますし、どなたが選ばれたのかも楽しみですね」

『ただびっくり』…「令和の明智光秀」は22歳の大学生に決定!

 そして6月2日、お披露目の日。

 (福知山市・シティプロモーション係 宇都宮萌さん)
 「令和の明智光秀公にご登場いただきます。どうぞ!」

 選ばれたのは地元在住で「福知山公立大学」に通う秋山蒼さん(22)。応募していたのはご本人ではなく妹だったそうです。光秀を思わせる鋭い目元がそっくりさんの決め手となりました。
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 (明智光秀のそっくりさん 秋山蒼さん)
 「最初は何がなんだかわからなくて、ただびっくりするしかなくて。今は実際に完成したポスターを見させてもらって、『僕が令和の明智光秀として選ばれたんだな』と実感がようやくわいてきたかなという感じで。(Q誰に一番見てほしい?)家族ですね。それが一番だと思います」
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 (福知山市・シティプロモーション係 宇都宮萌さん)
 「みんなすごく明智光秀に対して愛情があって、『光秀』って名前で昔はちょっと恥ずかしかったけど今は堂々と言えるようになった方とか、ドイツの方は自分のお子さんが生まれてきたときに明智光秀だと思ったとか、400年以上前の人物なのにこんなにも現代の人とつながりが生まれるのかというのは本当に面白かったしうれしかったです」

 「令和の明智光秀」。選ばれなかった人たちの思いも背負い、期待を裏切らない活躍を祈ります。