大阪を代表する下町・十三。そこに去年、巨大な壁画が出現し、話題となっています。
ビルの壁一面に描かれたアート作品
取材班が訪れたのは、淀川区役所の近く。4階建てビルの壁一面に描かれていたのは巨大なアート作品でした。
壁画を手掛けたのは、大阪市淀川区を拠点に、国内だけでなく世界各地で活動する壁画アーティストのBAKIBAKI(バキバキ)さんです。コロナ禍に何かできることはないか?との思いから、ビルの所有者の許可を得て、去年3月に1週間かけて壁画を描きました。
(壁画アーティスト BAKIBAKIさん)
「医療従事者への敬意というのをテーマに制作しました。メインのモチーフになっている女性はナイチンゲール」
「(Qその横で顔を出しているキャラクターは?)淀川区の『夢ちゃん』というマスコットキャラクター。そういうキャラも登場して街に親しみを持ってもらえたらええかなと思いまして」
淀川区にはナイチンゲールの他にもあちこちに巨大な壁画が出現しているらしいのです。
2025年の万博に向けて大阪を盛り上げる
淀川沿いの道を行くと、目の前に突如現れたのは芸術家・岡本太郎さんの顔。キャンバスはマンションの外壁です。こちらもBAKIBAKIさんが手がけました。
(壁画アーティスト BAKIBAKIさん)
「(Q大きさはどれくらい?)高さ12m、幅9mとかかな。足場を組んで描いたんですけど」
どうしてモチーフが岡本太郎さんなのでしょうか?
(壁画アーティスト BAKIBAKIさん)
「2025年の大阪・関西万博に向けて、この町を盛り上げることで大阪全体が盛り上がる1つのきっかけになればいいかなと思って」
そう、万博つながりでした。
区内の約30か所で制作へ…しかし日本ではまだ高いハードル
BAKIBAKIさんは去年4月に『淀壁プロジェクト』を立ち上げ、淀川区内の約30か所に2025年の大阪・関西万博まで壁画を描き続けようとしています。
現在までに描かれた壁画は5作品。建物の壁面だけではなく、ブロック塀もキャンバスになっています。
(壁画アーティスト BAKIBAKIさん)
「ちょっとシュールな世界観なんですけど、これは淀川区在住のランプという絵描きが描きました」
(壁画アーティスト BAKIBAKIさん)
「(この作品は)おもちエイリアンというキャラクターが整骨院さんに入って診察を受けて、最後は元気になって出ていくというちょっと絵巻物的な(壁画)」
建造物に描く壁画アートは海外ではポピュラーですが、日本では落書きと認識されがちで、プロジェクトを進めるのは簡単ではないといいます。
淀壁実行委員会のメンバー・川添孝信さんは、壁の所有者との交渉など企画・運営を担当しています。
(淀壁実行委員会 川添孝信さん)
「(Q日本で壁画を広めていくのは大変ですか?)めちゃくちゃ大変ですね。日本ってちょっと(壁画に)ネガティブなイメージがまだまだ続いているので、街の人たちの目線もそうですし、行政のルールとかもすごくハードルが高いものがある」
そのためBAKIBAKIさんは今回のプロジェクトで心がけていることがあるといいます。
(壁画アーティスト BAKIBAKIさん)
「街に公共に作品を残すということにおいての完成度というかね。できた作品の完成度を意識して描いています」
車窓からも見える壁面が新たなキャンバス
徐々に広がりつつある壁画への理解。新たな壁の提供者も見つかったといいます。向かったのは十三駅の改札を出てわずか1分足らずの場所。車窓からも見える建物の壁面が次の作品の舞台です。
(壁画アーティスト BAKIBAKIさん)
「(Qどんな絵を描く?)十三の街に合うようなレトロな雰囲気もありつつ、現代的な要素もあるようなものを構想しています。(Q描くプロセスも多くの人が目にする?)そうですよね。完成した絵はいつでも見られるけど、描いているときというのはその時しか見られない」
新しい壁画は5月以降に描き始め、梅雨入りまでに描き上げたいということです。