ウクライナの隣国・ポーランドで避難民の支援を続けている1人の日本人・坂本龍太朗さん(36)がいます。坂本さんは、ポーランド・ワルシャワの南東にあるツェレスティヌフ郡に住んでいて、ワルシャワで2011年に日本語学校を設立し、日本語教師として働いています。その坂本さんが撮影した現地の映像と共に避難所や避難民の現状について、毎日放送の「よんチャンTV」でリモート中継を結び話を聞きました。

避難民の大半は女性や子ども…遊び場作り『心のケア』行う

 ウクライナではロシアによる軍事侵攻以降、国外へ逃れた人の数が300万人を超えて、このうち、約180万人が隣国のポーランドへ避難しています。

 ウクライナとの国境から約45kmの場所にある日本語学校。日本語の教師をしている坂本龍太朗さん(36)はここで避難民の支援をしています。この施設では1日に50人の避難民が訪れることもあり、その大半は女性と子どもだと言います。
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 (坂本龍太朗さん)
 「この子もしばらくお父さんに抱っこされてないんですよね。よくがんばった」

 坂本さんたちは、子どもたちの遊び場を作るなど心のケアも行っています。高齢者や女性、そして子どもたちと年代も幅広いため、必要な物資は多岐にわたります。

避難所には『温かいコーヒー』や『即席麵』

 体育館にはベッドが置かれ、避難民が寝泊まりできるようになっているほか食事も提供されています。ここでは温かいコーヒーが飲めるほか、坂本さんが差し入れた即席麺も人気だといいます。

 (坂本龍太朗さん)
 「私が持ち込んだラーメンが人気です。いろんな味があります。焼きそばもあります。ただ作り方を教えないといけません」

言葉の壁も…避難所でポーランド語学ぶ避難民

 見知らぬ土地で生活する上でコミュニケーションの壁となるのは「言葉」です。このため避難所では、避難してきたばかりのウクライナ人たちがポーランド語を学んでいます。
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 (坂本龍太朗さん)
 「子どもたちは学校に通い、お母さんは仕事に行くのでポーランド語が必要です。みんな頑張って勉強をしています」

長期化する避難生活…避難民自ら施設を掃除する動き

 3月18日放送の「よんチャンTV」で坂本龍太朗さんにリモートで中継を結び、ウクライナからの避難民の状況や避難所の現状について話を聞きました。

 ーー現在のポーランドとウクライナの国境付近はどんな様子なのでしょうか?
 (坂本龍太朗さん)
 「国境付近はいつ終わるかわからないような、難民の受け入れ態勢がとられています。難民の皆さんも増えています。精神的に心の問題を抱えている親や子どもたちの割合も増えていると聞いています。また、やはりなかなか場所がないということで、今まで店として使っていたような倉庫をですね、収容施設として開放したりですとか、その国境ではポーランドから義勇兵がウクライナに入るという動きもよく確認されております。またポーランド側から入るものとして、こちらから送る物資そういったものもありまして、例えば私の町でもバスできょうの午後にこちらからバスで物資をウクライナに送る予定です」

 ーー物資といいますのは例えばどんなものでしょうか?
 (坂本龍太朗さん)
 「私達が受け入れの施設に送っている物とは全く違うものです。例えば昨日は20足の男性の靴、男性の靴というのは、こちらの避難所では全く集めていないものなんですね。その他にもテントや電気ヒーター、そういったものが今求められています。寝袋もたくさん集めました。これから春になるとは言われているんですけどもう少し辛抱が必要だと思います」

 ーーVTRにもありました避難所は今はどんな様子なんでしょうか?
 (坂本龍太朗さん)
 「避難所は結構、長期的に滞在している人が多いので、ポーランド語の授業というのが、ほぼ毎日のように行われている状況ですね。その他に長期的に滞在してきている方がやはり今までポーランドに対して感謝を述べてきたんですね。実際にそれを今から行動に移すということで、自分たちの施設を自分たちで掃除するというような光景もここ2、3日ようやく見られていますね。今後は、ゴミの分別が、ウクライナとポーランドで異なるため、そういったところの支援というのも言語の壁を乗り越えて行っていく必要があるという話があります」

避難民が殺到…『子ども手当て』など生活基盤作る手続きが進まない

 ーー生活習慣の違いというのもやっぱりあるんですね?
 (坂本龍太朗さん)
 「そうですね、こちら生活基盤を作るものとして例えばマイナンバーの取得、子ども手当の申請などの諸手続き、それにも人が殺到している状態で、なかなか手続きも進まないという状態です」

 ーーポーランド語を勉強しているという話もありましたけども、ウクライナ語とポーランド語はそんなに違うんですか?
 (坂本龍太朗さん)
 「ウクライナ語はポーランド語と単語などは似ているところがあるんですけど、ポーランド語に比べるとロシア語の方に近い言語ですね。そういった意味ではその文を文として話せば半分ぐらいわかるかなという感じなんですが、単語単語では難しいというふうに聞いています」

坂本さんも4人の避難民を受け入れ

 ーー坂本さんのお宅では4人の避難民を受け入れていらっしゃるということだったんですが、今はどんな様子なんでしょうか?
 (坂本龍太朗さん)
 「今日はですね、子どもたち2人は既に学校または幼稚園に通っている状態ですね。その他にお母さんとおばあさんは今後こちらで生活基盤を作るために、例えばきのうは携帯電話のSIMカードを借りたりですとか、そういったことを日常生活の中でしております」

 ーー自宅に来られたそのウクライナの皆さんとはどんなお話を普段されてるんですか?
 (坂本龍太朗さん)
 「例えば、きのうは朝起きてから携帯を見せられまして、彼らはキエフ近郊なんですね。そのキエフに空襲警報があると、携帯にアラームが鳴るわけです。それが本当に夜通し夜11時、朝3時に、またはそういった時に未だにその記憶が残ってる人たち、彼らの親戚や家族もまた向こうにいます。彼らは3時から5時までの間、地下室に行かなきゃいけない。そういった話を聞きまして本当に切なくなります」

 ーー坂本さんのようにウクライナからの避難民を受け入れる家庭は他にもあるんですか?
 (坂本龍太朗さん)
 「そうですね、たくさんの家庭がですねポーランド国内で手を挙げているんですけど、その数もやはり限界がありまして、受け入れられない家庭もありますし、また光熱費の問題、経費の面から受け入れが難しいという話もあります。そういった意味で、今後マッチングというのが難しくなってくる状況は近い将来あると思います」

1家族受け入れて1日約1000円「正直言って全く足りない」

 ーー長期的なということになれば、EUとかポーランド政府から支援をされている方に何かしらの金銭的な支援はあるんでしょうか?
 (坂本龍太朗さん)
 「政府の中で、今現在1家族を受け入れている家族に対しては、1日につき約40ゾロチ、1000円程度ですね、それぐらいの補助が出るということです。しかし、正直申し上げてそれでは全く足りないと思います。一方で、今はもちろんウクライナ支援というのは本当に第一義的に大切なことなんですが、今後受け入れているウクライナの周辺国に対しても、国際的な支援が必要になってくると思います」