ウクライナへのロシアの軍事侵攻が行われる中、3月10日、トルコでロシアと、ウクライナの外相会談が行われました。この会談についてウクライナ人で国際政治学者グレンコ・アンドリーさんは「ロシアのラブロフ外相は自分でウソを言っているのはわかっている。世界に信じてもらおうと思っていない」と厳しく批判。一方、ロシアが日本の津軽海峡に艦艇を航行させたり、北方領土に経済特区を設けたりというロシア側の思惑についてMBSの三澤肇が解き明かします。
ーー3月10日にトルコでロシアとウクライナとの外相会談が行われました。ウクライナのクレバ外相は『24時間の停戦について進展はなかった』、一方で、ロシアのラブロフ外相は「停戦についてベラルーシの協議で真剣な議論を行いたい」と話を聞くだけで決定を下す場ではありませんでした。グレンコさん、結局外相会談を行われたんだけれども、何も進展してないしというか、言っていることがかみ合ってないように思われるのですがいかがでしょうか?
(グレンコ・アンドリーさん)
「ラブロフ外相はそもそも今回何らかの合意にたどり着くつもりは全くなくて、形的な合意になっていたし、またラブロフ外相の発言というのは、まさに自分がウソを言っていることを自分で理解しているし、自分がウソを言っていることを周りがみんな理解していることも本人も理解しながらも言っているんです。それはいかにもロシアの外相の外交のやり方ですね。つまり、彼らは世界に対して何かを発信してるときは信じてもらおうと思ってないんです、もう誰も信じないのわかってるんですね。わかった上でこんな白々しいウソを言っているんですね。というのは、彼らが重要なのは誰かに信じてもらうんじゃなくて、ロシアの立場として、今までの発言と整合性をとれればそれでいいんですね。結局、今回の会談でロシアが合意を望んでいないというのは、やはりウクライナを屈服させようという意図を諦めていない証拠なんですね。もしこれで何らかの合意を得たいという意図をロシアが今回持っていれば絶対進展はするので、まだまだやっぱりこれからの行方は残念ながら戦場の結果次第になると思います」
ロシア海軍の艦隊が津軽海峡を航行…北方領土に特区法案
ーーそんな中、日本の話なんですけれども、ロシア日本に揺さぶりか。という話です。3月10日~11日にかけてロシア海軍の艦艇10隻が津軽海峡を太平洋側から日本海に向けて航行したことを海上自衛隊が確認したと。さらに3月9日には北方領土に法人税などが免除される新たな特区を設置する法案にプーチン大統領が署名し、成立したと。なんかいろんなことが、このタイミングで何かしらのロシアから日本に対する揺さぶりかと考えてしまうんですが?
(MBS三澤肇解説委員)
「ウラジオストクにはロシアの太平洋艦隊の基地がありますから、問題はやはりウクライナのロシア軍の動きと、極東での動きっていうのが、同じタイミングで動いてるってことなんですよね。これは非常に不気味で、やはり日本の周辺でこういうことが起こってるっていうのは、一つの大きな懸念材料ですね」
ーーさらに日本の国会の話ですが、ロシアなどとの貿易促進事業に3.3億円の予算が衆議院を通過したとこれはどう見たらいいですか?
(MBS三澤肇解説委員)
「実は先日の選挙で落選した辻元清美さんが3月11日のツイッターで発信していたんですが、衆議院を通過した予算案の中に2016年の日露首脳会談で合意した8項目の協力プランというのが入ってるんですね。3.3億円も入ってます。参議院で審議されてるんですけれども、全世界、日本も含めて経済制裁をしている中で、ロシアに投資をする、『こういったお金を通していいんですか?』という話になっています。立憲民主党の馬淵澄夫国会対策委員長に聞くと『3月14日(月)の集中審議でこれを大きく取り上げる』と、話が大きくなってくると思います。政府側としては官房長官は3月11日の答弁で当面見合わせるというふうに言ってるんですが、これ予算案の中に入っちゃってんですよ。それでこのまま通すんですかという話になるんで、来週以降ちょっとこれ大きな話になるかなというふうに思います」
(2022年3月11日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)