2月1日の毎日放送『よんチャンTV』では、新型コロナウイルスに関する視聴者から寄せられた質問について、コロナの治療薬開発やPCR検査に従事されている大阪市立大学医学研究科の城戸康年准教授に答えていただきました。

視聴者の皆さまから以下のようなメールをいただきました。

【大阪の街中のクリニック勤務の事務員さんからのメール】
『オミクロン株のまん延以降、朝、留守電を解除すると4回線全部が鳴り始めます。受診希望の患者さんが多く、午前の診療が終わらないので、スタッフは満足にお昼休みが取れていない中、それでもできる限りのことはしているつもりですが、コロナ診断の診察を受けることが難しくなってきています。だからどうしてほしいというわけではありませんが、これがクリニックの現状です』

【女性からのメール】
『大阪の専門病院で働く夫。コロナ禍が始まってからホテル住まいで、ずっと別居状態です。9歳、6歳、3歳の子どもたちを守るためです。1月28日は次女の誕生日でしたが帰ってこられず、テレビ電話での“おめでとう”となりました。子どもたちはわがままを言わなくなりました。医療従事者の背景にはこんなこともあるという現実ももっとわかってほしいです』

【女性からのメール】
『夫が内科の開業医で、私は受付をしております。PCR検査枠は午前中に目いっぱい予約が入り、毎日15件前後お断りしている状態です。コロナがまん延しだした頃には“風邪症状のある方は電話をしてから受診するように”と報道されましたが、今は忘れている人が多く、電話もせず院内に入ってくる人が増えました。電話をしてから受診するよう再度お伝えください』

『電話せず病院にくる人が増えている』

(大吉洋平アナウンサー)
「このあたりのルールは忘れてしまいがちだと思うのですが、厚生労働省は“院内感染を防止するために緊急の場合を除いて連絡なく医療機関に直接行くことは控えてください。かかりつけ医がいないなど相談先に迷った場合は、地域の受診・相談センターにご相談ください”と今も呼びかけています。ただ城戸先生、なかなか現状はそうなっていないという医療機関の従事者からの叫びが届いています」

(城戸准教授)
「元々コロナを封じ込めようとして、気安く病院に行くと広めちゃうという。それでこういうルールになってるわけですね。これはもはやコロナになれば当然のようなルールなわけですが、以前は熱が出たから病院に行ったわけですよね。今はオミクロンになって、オミクロンにあった対策をというふうな議論があって、例えば感染症の分類として2類相当なのか5類相当なのかというのは非常に大きな議論になっています。しかし5類相当にするということは、こういう多くの医療機関、先生方がこれは普通の風邪、今までの病気のように診られる体制だよと。そのためには例えば何か感染が広がってしまったら休業補償とかもセットで、社会がどんな仕組みを作れるかと。それがないと2類か5類かという議論はほとんどあまり意味のない議論かなと。こういうところをどうしていくべきかということを我々議論する必要があるのかなと思います」

(大吉アナウンサー)
「だから休業補償の部分とか、あと医療報酬というんですか、そういう部分とかも考えて、その辺も含めた2類5類の議論ということですね?」

(城戸准教授)
「そうなんです。こういうことで小さなクリニックに負担を押し付けるわけには決していきませんから、どこかに負担が偏るっていうんじゃなくて、バランスよくできるようにと」

3回目接種の副反応を不安視する声が多数

また番組には、3回目のワクチン接種に関して、副反応を不安視するメールも多数届いています。すでに3回目を接種した方々から、副反応の報告というのも寄せられています。

【視聴者からのメール】
『1回目は副反応なし、2回目は倦怠感と微熱、3回目は腕が痛くて上がらず』
『接種した看護師の妻いわく、“2回目よりも3回目のほうがキツイ”とのこと』
『接種した所が少し痛かったが、今は何ともない。これって効いてるのかな?』

(城戸准教授)
「よくいただく質問なんですけれど、副作用・副反応の程度で、その効果、例えば抗体の量を予測することは原則できません。なので、例えば副反応が少ないからといって、これはワクチン効いてないんじゃないかと心配する必要は特段ないと思います」

(河田直也アナウンサー)
「1回目2回目3回目の接種で全て反応が違うということもあるのですか?」

(城戸准教授)
「これ基本的に2回目も3回目も全く同じものを打っていますから、特段3回目で急に例えばアナフィラキシーショックのようなことが起こることなどは通常は考えられません。なので強く出た人は強く出るし、弱く出た人は弱く出ると、同程度のことが起こると思っていただければ簡単かなと思います」

(大吉アナウンサー)
「こんな中間報告もあります。ファイザー社製ワクチンの3回目接種後の副反応なんですが、発熱・痛み・倦怠感などいろいろあるのですが、概ね2回目と同じような副反応が同じ程度の割合で出ている、という中間報告なんですね。2回目に熱が出なかった人は2回目も出なかった人が多い。逆に2回目に38℃以上の熱が出た人は3回目も38℃以上の熱が出た人が多い。なので城戸先生、2回目にどういう症状だったか覚えておく思い出しておくというのは一つの指標なんでしょうか」

(城戸准教授)
「おっしゃる通りだと思います」

(大吉アナウンサー)
「そうなんですね。3回目のワクチン接種に関しては、期待と不安の両方の声が届いているのですが、どんなふうに見ていますか?」

(城戸准教授)
「実際にかかってしまったときにどうかという方と、副反応がどれぐらい耐えられるかっていう、この綱引きで決めるものですから。今のこのオミクロンで、2回打った人がどれぐらい症状が出るかということと、ワクチンを追加で打ってどうなるかっていうのが、それぞれ個人でのバランスなのかなと思います」

城戸准教授が考える今後『2つのパターン』

続いては以下のメールについてです。

【視聴者からのメール】
『今日、両親にワクチン3回目の接種券が送られてきました。私も接種券が送られてきたら3回目を受けるつもりです。3回目の接種をすれば、オミクロン株のまん延は終息しますか?コロナが単なる季節性の感染症の一つになり、インフルエンザとの混合ワクチンを毎年接種することで、コロナ前の生活に戻るんでしょうか?』

(大吉アナウンサー)
「コロナ前の生活に戻ってほしい、これ多くの人の願いだと思うのですが、城戸先生が考える新型コロナウイルスの未来、このあたりをお願いします」

(城戸准教授)
「今後どうなるかというのは研究者の中でも非常に大きな議論があるところですが、今はオミクロン株になって、多くの人が新型ではなくなったと新型コロナではなくなって、症状も軽い人が増えてきた。こうすると多くの人が今は感染してる状況ですから、ワクチンの代わりにもなるわけですよね。3回目の代わりに感染が。これをどんどんどんどん繰り返していくと、またウイルスは変異も繰り返して風邪の種類が広くなるわけです。そうすると何度も感染するうちに、原則、免疫も良くなります。とすると、風邪のような症状で、今まで風邪というと非常に多くのウイルスからなっていたわけですけれど、それのリストに新しく“昔は新型コロナだ”というのが入ったと。そういう社会になるというのがパターン1です。
 パターン2というのが、今3回目接種は基本的には中国でできた型をそのまま原型にしてワクチンを作ったものです。だけど今流行ってるのは、それと異なるオミクロン株なんです。そうすると、今度はオミクロン株、今のものに合わせてワクチンを作ろうということを実際やっています。これがどういう型を基にしてワクチンを作るとどれぐらいの効果があるかということで。理想的には今新しいものを作ると、例えば今まで武漢型それからアルファ株、ベータ株、デルタ株、オミクロン株といろんなものが出てきたわけですが、それに全部効いた方がいいわけですよね。できることであれば、今後例えば数年間にわたって出てくる変異型にも効果があった方が望ましいわけですね。そうすると次の3回目なり4回目なりのワクチンの時に、広く今後の変異株もカバーしたいと。それが『ユニバーサルワクチン』というのを世界でどうやって作れるかというのを今研究しているところです。なので、そこを次に打って、じゃあそこで新たな社会を目指そうと。
 この2パターンで、両方ということもありえますけれど、こういうような社会になってくるのではないかなと、ウイルス学としては考えられます」