全国の高校生や高専の学生が考えたビジネスプランを競う大会が1月9日に東京大学で開催されました。今回で9回目となる大会では、全国353校3087プランの中から、10校のプランがファイナリストに選ばれました。その中で今回注目をしたのが西の名門「灘高校」です。全国の強豪に対して灘高はどんなプランを考えたのか。勉強ではなくビジネスプランで日本一を目指す4人組を毎日放送の大吉洋平アナウンサーが取材しました。

灘高校1年生の4人組

(大吉洋平アナウンサー 12月16日)
「名門・灘高等学校にやってきました。一体どんな生徒たちが、どんなビジネスプランを考えたのでしょうか。賢いんやろうなー、緊張するわ」

神戸市東灘区にある「私立灘高校」。偏差値は全国トップクラスという名門の私立男子校です。
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(大吉アナ)「きょうはよろしくお願いします。大吉と申します」
  (生徒)「お願いします!」
(大吉アナ)「みんな1年生?」
  (生徒)「はい」

今回、ビジネスプランでグランプリを狙う高校1年生の岩田崇史さん、池田高啓さん、田中優希さん、髙島晟輔さんの4人のチーム。
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話を聞く前に、髙島さんの洋服に“気になるロゴ”が見られました。

(大吉アナ)「(服に)『ハーバード』って書いてるやん」
(髙島さん)「これはちょっと、1回行ったことがあったので、その時に買ってきました」
(大吉アナ)「さすが灘高と思ったよね。だってパーカーに『ハーバード』よ」
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4人は部活や生徒会で知り合った仲間。メンバーを誘った岩田さんは「大学受験まで時間がある高校1年のうちにチャレンジしたい」と考えました。

(大吉アナ)「最初はどういうステップで始めていったの?」
(岩田さん)「まず最初はですね、みんなで『スラック』というワークスペースのアプリを使って、いろんなチャンネルを立てていって。それぞれが面白いなと思ったビジネス案をみんなで共有して」
(大吉アナ)「なんか若手実業家と喋ってるみたいやわ。高校1年生やんね」
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プログラマーを目指す田中さんの案はどのようなものだったのでしょうか。

(大吉アナ)「自分が出した中で一番しょうもない案は何か覚えてる?」
(田中さん)「毎朝『今日も一日がんばりましょう』って言ってくれるアプリを作ろうって」
(大吉アナ)「いいやん。かわいいやん。高校生らしい」
(田中さん)「それは一瞬で没になりました…」

「母親の負担を節約させてあげたい」との思いで発案したプラン

試行錯誤の末、4人が選び抜いたプラン。発案したのは9人家族の池田さんでした。

(池田高啓さん)
「僕の家は結構家族が多くて、お母さんも時々働きに行くんですけど。できるだけお母さんの時間の負担を節約させてあげたいという思いから、『買い物時間が一番節約できるんじゃないか』ということで」
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今回、特別に練習中のプレゼンを見せてもらいました。

(髙島晟輔さん)
「4人あわせて『ふぉーたか』です。よろしくお願いします。『809万人』、この数字はなんの数字だと思いますか。実はこれ『日本に住んでいる働くお母さんの数』なんです。働くお母さんにアンケートを取ったところ、時間短縮のためにお金を使いたいという方が70%を占めまして…」

プレゼンを見た大吉アナの感想は?

(大吉アナウンサー)
「すごく興味深かったです。池田君が実際にお母さんの日々の姿を見て感じた課題というのがしっかり解決されていると思うし、すごくおもしろかったです」
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優勝に向けて、僭越ながら大吉アナも“アナウンサー目線”でアドバイスをさせていただきました。

(大吉アナ)「例えば、池田君が『パートナーの方』とか『利用者の方』とかいうのに対して、髙島君は『パートナー』『利用者』という言い方をするでしょ。あれはどちらかに統一した方が良いと思っていて。プレゼンだからシンプルにニュートラルに『パートナー』『利用者』『運営側』という言い方のほうが聞きやすいかな」
(髙島さん)「めちゃくちゃためになるお話ありがとうございます」
(大吉アナ)「いやいや偉そうに申し訳ないけど…」

迎えた大会本番当日…全国の強豪校が様々なプランを披露

そして1月9日、全国大会の日を迎えた灘高校の4人組。挑戦するのは東京大学で行われる「第9回・高校生ビジネスプラン・グランプリ」。
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控室にはパリッとしたスーツ姿に着替えた4人の姿がありました。本番直前まで台詞や動きを確認していました。

(岩田崇史さん)
「(大吉アナから)『名前の呼び方は統一したほうがいいよ』と指摘をいただいたので、原稿をつくる際に表現をみんなで統一したり、気をつけたりしました」
(池田高啓さん)
「やってきたことを出すだけなので、今までの練習の成果を発揮できるように頑張ります」
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ファイナリストに選ばれたのは全国10の高校。「岡山県立笹岡商業高校」が発案した『地域に生息するカブトガニを使ったビジネス』や、「市川高校(千葉県)」が発案した『森林維持のためにオーナー制度を設けるプラン』など、課題を解決するプレゼンが次々進みます。

灘高校『母親の買い物負担を軽減する代行ビジネス』をプレゼン

そしていよいよ灘高校の出番です。

(プレゼンする池田高啓さん)
「働くお母さんには多くの仕事があり時間がありません。私の母も働くようになってから時間に追われている様子が目立ちます」

発案者である池田さんの言葉で発表は始まりました。
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4人が考えたプランは『時間に余裕のない母親の買い物負担を軽減する代行ビジネス』でした。母親がアプリで商品を注文すると、依頼を受けた「パートナー」がスーパーで買い物を代行します。
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母親には時間短縮のメリットが、「パートナー」にはスーパーで使えるクーポンのメリットがある、というものです。灘チームがパートナーに想定したのは時間に余裕のある「地域のシニア層」でした。
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(プレゼンする池田高啓さん)
「シニアの方々に運動と外出の機会を提供することで、健康維持につなげてほしい、そう願っています」

 (審査員)「実際みなさん、事業としてどれぐらい本気で覚悟を持ってやられようとしているのかという点、是非教えていただけますか?」
(岩田さん)「覚悟をもってやらせていただこうと思っています。すでにアプリのプロトタイプも完成していますので、すぐに実行に移していきたいと強く思っています」

4人の発表は無事に終わりました。

(岩田崇史さん)
「(Q覚悟についてはきつい質問だった?)全然想定していなくて、感情論で来るとは思っていなくて。『おおー』と思って。あとは祈るだけだと思っています」

『審査員特別賞』を受賞

灘高校はグランプリ獲得なるか、果たして…。

(結果発表)
「グランプリ受賞プランは『宮城県農業高等学校』」

残念ながら獲得はなりませんでした。しかし!
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(結果発表)
「審査員特別賞『灘高等学校・ふぉーたか』のみなさんです。おめでとうございます」

地域コミュニティの再生を目指した点が評価されて審査員特別賞に選ばれました。
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(岩田崇史さん)
「うれしさ半分、悔しさ半分といったところです」
(池田高啓さん)
「原体験としては私のお母さんなんですけれど、ここまでこられたのは僕自身の力ではありませんし、みんなで作り上げたビジネスだと思っています」