「人生100年時代」と題して年齢に関係なく生き生きと活躍されている人々にスポットライトを当てます。今回注目したのは、81歳のスケートボーダー木下吉男さんです。「挑戦に年齢は関係ない」と話す木下さんをMBS大吉洋平アナウンサーが取材しました。

先生は6歳 若者に交じって滑る81歳

大吉アナウンサーが訪れたのは、大阪府大東市の深北緑地「波の広場」です。小学生ぐらいの子どもたちが思い思いにスケートボードの練習をしています。
2.jpg
その中で颯爽と滑っていたのが木下吉男さん、御年81歳のスケートボーダーです。木下さんは1日に約3時間、週に5日~6日、練習に励んでいるといいます。
8.jpg
その傍らには孫のような男の子がいますが…。

(木下吉男さん)
「先生です。目標にしています」

今年4月に小学校に入学するという石田結人くん(6)は、木下さんの“75歳年下の先生”です。スケートボードを通じてこの公園で出会い、仲良くなりました。

「人がほめてくれんでも自分がうれしい」

木下さんがスケートボードを始めたのは約2年前。けがや痛い思いをしたことはないのでしょうか。

(木下吉男さん)
「しょっちゅうあります。けがは額を7針縫いましたね」

痛い思いをしながらもなぜ81歳でスケボーを選ぶのでしょうか。

(木下吉男さん)
「できたらうれしいんよね。人がほめてくれんでも自分がうれしい。うれしいて、うわーって『帰ってからビール飲もう』という感じになります」

大吉アナが人生初のスケボーに挑戦

見事な滑りをみせる81歳のスケートボーダー・木下さんの姿に触発され、36歳の大吉アナウンサーも人生初のスケボーに挑戦しました。

(大吉アナ)「まずどっちの足から乗せるんですか?」
(木下さん)「どっちでもいいです。得意な方。こういう感じで…」
(大吉アナ)「どうやってそれ…」
15.jpg
想像していた以上に不安定なボードに苦戦。へっぴり腰の36歳をしり目に6歳の石田くんは余裕の表情。大吉アナは、ちょっと慣れたところで障害物の坂にチャレンジしますが、うまく滑ることができません。

(木下さん)「ワシも最初、坂から降りるのはごっつ怖かったです。でも何回も何回もやっていたらその恐怖がなくなりました」
(大吉アナ)「これをあきらめずに続けられるというところがやっぱり木下さんのすごさですね」

出会いは“忘れ物市” 練習重ね若い世代とも交流

大型クレーンの運転士をしていた木下さん。定年退職後に水泳やマラソンなどをしてきましたが、もちろんスケボーとは無縁の生活でした。約2年前、たまたま行った鉄道会社の忘れ物市でスケートボードを目にします。
21.jpg
(木下さん)「いっぺん買おうかなと買ってみたんよ800円で」
(大吉アナ)「なぜ買おうと?」
(木下さん)「なんでかな?ちょっと一杯飲んでおったからでしょうね」
23.jpg
最初は家の近所でたった1人、手すりにつかまりながら滑るところから始めたといいます。その後、知り合いから練習する場所があることを聞き、深北緑地を訪れるように。

(大吉アナ)「若い人たちが滑っている中、手すりを持ちながら練習をするというのは、ちょっと孤独感や恥ずかしい気持ちは?」
(木下さん)「あったけど、そんなん気にしていたらできひん。恥はこの世でかいとかな」
25.jpg
ほぼ毎日練習に通ううちに若い人たちとも顔見知りとなり、いろいろな技を教えてもらうようになったといいます。

(大吉アナ)「ほかのスケートボーダーたちと会話したり交流したりしますか?」
(木下さん)「しょっちゅうしますよ。しょっちゅう教えてもらいます。みんな知り合いです」

「そのうちできるようになる。諦めんこっちゃ」

今、木下さんは新たな技「インターフェイキー」の習得に挑んでいます。インターフェイキーとは、障害物に正面から登り、角の部分にスケートボードの真ん中の部分を一時固定。その後、後ろ向きに戻ってくるという技です。先生の石田くんはいとも簡単に成功させますが、木下さんには難題です。何度も何度も繰り返し練習します。バランスを崩して転倒することもありますが、それでも練習を続けるのには理由がありました。

(木下吉男さん)
「けっこうおもしろい。だんだんできるようになりますから。できた、できん、できた、できん…これを何べんも繰り返しますわ。そのうちにできるようになります。だから諦めんこっちゃね。諦めたらもう終わりやからね、できんでもね。そう思いますよ」
31.jpg
そんな木下さんから令和を生きる人たちへのメッセージを聞きました。

(木下吉男さん)
「ワシが思うのは『何でも挑戦すること』やと思います。人間死ぬときに後悔するのは『なんであの時に挑戦せんかった』ということを思うらしいです。だからなんにでも挑戦してみた方がいいと思いますね。(Q年齢は関係ない?)関係ないと思いますけどね、へへへへ」