生活に困窮している家庭や子育てに忙しい家庭、そしてたくさんの子どもたちにプレゼントを届けたいという思いで、大阪市西成区にある「子ども食堂」にサンタクロースが現れました。プレゼントの中身は子どもたちが大好きな『ハンバーグ』。兵庫の洋食店の料理長が子ども食堂を支援する現場を取材しました。

子どもたちに“無料”で弁当を配布…大阪・西成区の「子ども食堂」

大阪市西成区にある焼き鳥店『火の鳥』が運営する子ども食堂「夢食堂」。
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店の営業時間前の毎日午後4時~6時に、生活に困窮している家庭だけでなく子育てに忙しい家庭などにも弁当を配っています。大人は1食200円ですが、子どもは無料でもらえます。
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(子ども食堂に訪れた親子)
「4回目です。いつもサラダも入っているし、子どもの好きなものも入っているから、結構食べてくれていて。家計にもめちゃくちゃありがたいです」
(子ども)
「チキンをもう1回食べたいな」
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弁当の食材費は支援者からの寄付のほか、地域の人や店のお客さんに1枚200円の支援のチケットを購入してもらうことでまかなっています。
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(焼き鳥店『火の鳥』 竹内秀樹さん)
「毎日開いている子ども食堂ってないし、コロナで子ども食堂がみんな閉まっていたんです。こんな時こそ食べ物を扱っている僕らが頑張らなあかんなということで」

兵庫の洋食店も「子ども食堂」に支援決める『1000個のハンバーグを提供』

この取り組みに賛同した洋食店が兵庫県西宮市にありました。
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洋食店「土筆苑」の料理長・大谷隆史さんは、新型コロナウイルスによる休業要請の期間中に子ども食堂を開く焼き鳥店「火の鳥」の店主と知り合い、イベントで一緒に弁当を販売。その縁もあり、クリスマスが近づくこの時期に子ども食堂への支援を決めました。

(洋食店『土筆苑』 大谷隆史料理長)
(Qどういう理由で子ども食堂への提供を決めた?)僕自身が子どもの頃、男3人・母1人の母子家庭で。数か月に1回、連れていってもらった洋食屋さんがすごく記憶に残っていて。真っ白いコックコート着たコックさんが僕のスーパーヒーローで。今回はハンバーグをお届けして子どもたちのヒーローになりたいなと思って」

大谷さんは少年のころに憧れていたシェフになることができました。今では看板メニューのハンバーグで地元の人たちから愛される洋食店へと成長しました。
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そんな大谷さんが今回、全国の約20か所の子ども食堂へ、計1000個の自慢のハンバーグを提供することを決めたのです。費用のほとんどはクラウドファンディングでまかないました。

(洋食店『土筆苑』 大谷隆史料理長)
「お客さまに応援していただいた分を土筆苑の場合はお子さまに、子ども食堂にお返しできたらなという思いですね。(Q子どもたちはどんな反応でしょうね?)楽しみですね」
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自慢のハンバーグは表面に少し焦げ目をつけてから真空パックします。それをスチームして旨味を閉じ込めます。こうしてお店で出すハンバーグとまったく同じものを子ども食堂に届けます。

34食分の“ハンバーグ弁当” 料理長がサンタに扮してプレゼント

12月15日午後2時半ごろ、大谷さんは西成の焼き鳥店「火の鳥」にハンバーグを持って到着しました。
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店に入るとすぐ、手際よく盛り付けにとりかかりました。熱々に温めたハンバーグにたっぷりのデミグラスソースをかけ、34食分の弁当を完成させました。

(洋食店『土筆苑』 大谷隆史料理長)
「たくさんのお子さんに食べてもらう機会はそんなにないので、楽しみです」
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そして、大谷さんはクリスマス気分を盛り上げようとサンタクロースに変身。自慢のハンバーグは喜んでくれるのでしょうか。

ハンバーグのプレゼントに喜ぶ子どもたち

午後4時半ごろ、1組目の親子がやってきました。
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(大谷さん)「おひとつどうぞ」
 (子ども)「ありがとうございます!」

大谷さんは弁当とお土産のハンバーグを子どもたちに手渡しました。
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(子ども)
「おいしそうです、とても。うれしいですねやっぱり、サンタさんからもらえたのは」
(母親)
「こんなおいしそうなものをいただいて、感激しています。食事は毎日のことなのでたまに息抜といいますか、楽させてもらえるのは本当にありがたいです」

子どもたちの笑顔に大谷さんは次のように話しました。
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(洋食店『土筆苑』 大谷隆史料理長)
「良かったです。ドキドキしました。あんなに喜んでいただけるとは。うれしいです」
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その後も続々と親子が弁当を取りに来ました。中にはサンタの姿でやってきた子どもたちもいました。

(大谷さん)「いっぱいいるな」
 (子ども)「うれしい。ハンバーグ大好き」
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約1時間で、用意した34食の弁当がなくなりました。大谷さんは子どもたちが大喜びしてくれた様子に“手応え”を感じていました。

(洋食店『土筆苑』 大谷隆史料理長)
「渡した時のはじける笑顔がすごくうれしかったし、感動しました。(きょうはヒーローになれましたか?)ちょっとだけなれたかな。一瞬だけでも。明日からまた本当のヒーローになれるようにもっともっと頑張ります」