「近畿の水がめ」琵琶湖では14年ぶりに著しい水位低下が起きています。1992年~2020年の平均の水位と比べると、11月27日にはマイナス69cmとなっています。12月2日、MBSの大吉洋平アナウンサーが現地の様子を取材しました。
雨不足の影響で水位が14年ぶりの低水準となっている琵琶湖。取材した12月2日午前6時の水位はマイナス65cmでした。
(大吉アナウンサー)
「14年ぶりに水位が低下している琵琶湖です。規模が大きいですし、パッと見てもまだわからないんですが、例えば石垣のあたりの水の跡を見ると、確かに元々あった場所から水位が低下しているのかなというのが窺えます」
普段は湖の中にある石碑まで歩いて近づける
豊臣秀吉が築城したと言われる長浜城。7年ほど住んでいる間に造ったと言われる「太閤井戸」の跡地を訪れました。
普段の石碑の画像を見ると、琵琶湖の石碑は琵琶湖の中に立っていて、その上部しか見えないくらいの水の高さがあります。しかし現在は、水位の低下によって、石碑の辺りは地面が見える状態で、近くまで歩いて行くことができます。
(大吉アナウンサー)
「今は裏側の方まで行けてしまいますね。秀吉の時代の雰囲気を少し感じることができます。大丈夫なのかな、こんなに水が無くなっちゃって、水位が下がって」
10年に1度ほど起きている琵琶湖の水位低下
琵琶湖の水位低下は10年に1度ほど起きています。1994年8月には水位が観測史上最低のマイナス123cmとなりました。
(記者リポート 1994年8月)
「今私が立っている所はもちろん普段は湖の底です。ところが最近の雨不足ですっかり干上がってしまいました」
松尾芭蕉が愛した景勝地・浮御堂ももはや浮かんでいない状況でした。
2002年9月には水位がマイナス94cmを記録。約3か月間にわたって取水制限が行われました。
近畿の水がめとして暮らしを支え続けてきた琵琶湖。水位低下であまり知られていなかった姿が露わになっていました。
『島へと繋がる道』が出現
滋賀県長浜市湖北町には「奥の洲」と呼ばれる大小の島々が連なる場所があります。
野鳥スポットとして人気で、夏にはボートを漕いだり泳いだりして島に渡り自然を楽しむことができますが、12月2日に取材班が行ってみると…。
(大吉アナウンサー)
「あ!湖の上、湖面に道ができている。ずーっと奥の小さな島までつながっていますね。これちょっと行けば歩けるんじゃないですかね」
ボートで渡るほどだったのに一体どうなっているのでしょう。
(大吉アナウンサー)
「ぬかるんだ道を歩いてきたんですが、人が歩けるぐらい水位が下がっています。行けるかな…。あ!行けるわ」
本来は「島」とは繋がっていないはずですが…。
(大吉アナウンサー)
「まるで京都の『天橋立』のように、くねっと曲がった土の道が向こうの島までできています。でも土を触るともちろんたくさんの水を含んでいますし、苔も生えています。本来は水の下にある部分、ある種、湖の底に立っているということですね。なんか不思議な感じ。いきなりズポッと抜けたりしないかな」
普段は無かったはずの『島へと繋がる道』が出現していました。元々遠浅だというこのあたりは砂利を含んでいて水はけがよく、歩きやすくなっていました。
この「奥の洲」は実は1986年にも水位がマイナス84cmに下がり島までの道ができました。1994年にもマイナス88cmまで下がり道が出現。当時は住民らが貝を拾うなどにぎわう様子が見られました。
(大吉アナウンサー)
「まるで湖のほとりのビーチみたいな感じになっていますけれども、湖底っていうんですか、湖の底も見えています」
(大吉アナウンサー)
「たくさんの貝殻も確認できますね。色んな種類の貝が琵琶湖には生息しているんですね。もっとぬかるんでドロドロなのかなと思いきや意外と固いんですよね。水位が下がってそれなりに日が経っているという証しではないでしょうか」
島までは約300m。歩いてたどり着くことができました。
(大吉アナウンサー)
「道路から車を降りて、湖面を歩きながら、湖の上を歩きながら、島までたどり着けてしまいました。琵琶湖の水位、確かに低下していますね」
貴重な鳥を驚かせないように気をつけて
「奥の洲」で野鳥観察のイベントなどを行っていて現地に詳しい湖北野鳥センターの谷智子さんに話を聞きました。
(湖北野鳥センター 谷智子さん)
「とても珍しいことになっています。普段は歩いていけない場所です。私も4~5年見ているが初めて見る感じですね、あそこが浅瀬になるというのは」
(湖北野鳥センター 谷智子さん)
「(奥の洲では)いろいろな生き物が見られたりもします。この時期から天然記念物の『オオヒシクイ』という鳥が来たりもします。貴重な鳥が羽を休めていることがあります。非常に警戒心が強い鳥なので、奥の洲で遊んだりとか生き物などを観察する際は、(驚かせたりして)飛ばさないよう気をつけていただきたいと思います」