和歌山県にある2本の大イチョウ。木の下には伝統を守りたい人たちの思いがありました。

イチョウの下の「棕櫚箒職人」

和歌山県紀美野町の山あいに大きなイチョウがあります。その下で作られるのは室町時代から続くという伝統工芸品。
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工房で作業する西尾香織さん(45)は、棕櫚(しゅろ)という植物から箒(ほうき)を作る「棕櫚箒職人」です。

(棕櫚箒職人 西尾香織さん)
「自然の棕櫚皮はメッシュみたいになっているんですよね、交差している繊維があって。現代ではいい棕櫚皮が少ない」
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最も箒に適した繊維は、皮1枚から取れても10本。大変な手間をかけてでも作り続ける理由があります。

(西尾香織さん)
「掃き心地がよくて、耐久年数もすごく長いんですよ。どうしてもそれが作れるものなら作れる間は作っていこうと」
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このイチョウの下に工房を構えてもうすぐ10年。ひとり静かに伝統を守り続けています。

(西尾香織さん)
「いろんな職人さんが試行錯誤して、その積み重ねで今の箒になっているので、私もその一員としてもっとよりよいものを作りたいなって思っています」

樹齢800年ともいわれるイチョウ ライトアップは地元の人たちの手で

その隣町のイチョウは大賑わいです。和歌山県かつらぎ町にある丹生酒殿神社の大イチョウ。
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樹齢は800年ともいわれています。
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(イチョウを見に来た人)
「きれいですね、自然がね。やっぱり自然の力をもらいたいから、ちょっとでも」
「(子どもが)お腹の中にいるときに写真を撮っていて、同じような写真がとれたらと思って」
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この木は住む人の心のよりどころ。日が沈むとライトアップされます。人々に愛され、心を灯す黄金色のイチョウ。神社には後継者がおらず、20年前から宮司はいません。それでも地元の氏子たちの手で大切に守られ続けています。ライトアップも地元の人たちの手で行われています。