近年、かわいい猫と触れ合いながら飲食ができる「猫カフェ」に人気が集まっています。そんな中、JR大阪環状線の寺田町駅近くに、鉄道のジオラマとコラボレーションをした猫カフェが話題になっています。どうやら人気の秘密は、猫の可愛らしくも憎らしいふるまいにあるようです。毎日放送の大吉洋平アナウンサーが取材しました。

SNSで話題『鉄道ジオラマを壊そうとする猫』

(大吉洋平アナウンサー)
「SNSで話題になっているジオラマと猫。みなさんどんな風に楽しんでいらっしゃるのか、カメラを手に取材開始です」
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大阪市天王寺区の寺田町にある飲食店「ジオラマ食堂てつどうかん」。
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(大吉アナ)
「お邪魔します。大勢の人で賑わっていますね、こんにちは。みなさんお食事をされていて、そのすぐ近くには猫ちゃんがいます」

現在は完全予約制ですが、連日、お客さんで満員だといいます。
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みなさんのお目当てが“鉄道のジオラマを壊そうとする猫”です。
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列車目線で見てみると、トンネルを抜けると…そこには狙いを定める猫。
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カーブを曲がっても…猫。そして猫パンチや猫の歩みによって次々に列車は脱線してしまいます。

(大吉アナ)
「猫ちゃんがジオラマの列車を叩き落としたら、お客さんから拍手が起こりましたね」
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一方、暴れた後は…。

(大吉アナ)
「あらー、列車がなぎ倒されていますね。めちゃくちゃ。鉄塔も倒されています。ここも人が倒れている。あなたですか?やったのは。やったのあなたですか?…寝た」
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自由気ままな猫たちに壊されるジオラマと、それを見て喜ぶお客さん。さながらアイドルの撮影会です。

(利用客)
「ピャーンとやって列車が脱線するの。それがやっぱりね、面白いんですよ」

きっかけは大雨の中で出会った“4匹の迷い猫の親子”

せっせと壊されたジオラマを修復するのがオーナーの寺岡直希さんです。

(ジオラマ食堂てつどうかん オーナー・寺岡直希さん)
「(Qどれくらいの頻度で修復している?)毎朝。毎朝です。去年の7月の終わりくらいに猫が来て、たった1年ちょっとでこのような状況になっているんです。もちろん最初は壊されてめちゃくちゃショックやったんですけど、この子らのおかげで我々が生きていけているんで」
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寺岡さんは16年前、趣味だった鉄道ジオラマの店をオープンしました。ところがコロナ禍で経営が苦しくなり閉店の危機に。
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その時に出会ったのが1匹の母猫と3匹の子猫という“迷い猫の親子”でした。

(ジオラマ食堂てつどうかん オーナー・寺岡直希さん)
「食べさせてくれって感じでしたわ。大雨でしたのでね、6月末から7月にかけて。だからもう毎日来ていて」
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その4匹を保護して飼い始めた寺岡さん。狭いケージではかわいそうだと店内に放したところ、“ジオラマと猫”の意外な組み合わせがインターネットで話題に。一気にお客さんが増え、閉店の危機を免れたのです。
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まさに『令和の招き猫』でした。

野良猫などの引き取り依頼も増え…『猫の譲渡活動』を始める

こうした保護猫の可愛らしい様子がSNSで広がるとともに、寺岡さんに野良猫や飼えなくなった猫などを引き取ってほしいという依頼も増えてきました。
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そこで市に許可を得て今年10月に始めたのが「猫の譲渡活動」です。新たに動物看護士を雇い、猫の健康状態をケアするなどしたうえで、2か月間で26匹の猫を希望者に譲り渡しました。11月29日現在、47匹の猫を保護しています。
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取材した日も2匹の子猫が希望者に引き取られて行きました。

(猫を引き取りに来た人)
「インスタグラムとかでずっと見ていたんですけど。実際に触れ合ってみて、うちの子どもたちが『この子たちと一緒がいい』っていうことで。すごく楽しみに子どもたちも待っているので、うれしいです」

(ジオラマ食堂てつどうかん オーナー・寺岡直希さん)
「元気でな。よろしくお願いします」

「我々ができることを本気で頑張っていきたい」

寺岡さんは、店や猫のグッズなどの売り上げの一部を、猫を保護するための活動費にあてていると言います。

(大吉アナ)「猫を保護して迎え入れるのにはどんな気持ちがあるんですか?」
(ジオラマ食堂てつどうかん オーナー・寺岡直希さん)
「お客さんも増えてきたし、猫に対しての恩返しのつもりやったんです。結局のところ猫に助けられているだけなんですけど。精一杯、我々スタッフができることを、これから本気で頑張っていきたいと思っています」

令和の招き猫は人にも猫にも幸せを招いているようです。