11月26日、日本維新の会の“生みの親”であり元大阪府知事・元大阪市長の橋下徹さんに、維新の次のリーダーやエネルギー問題、国際政治などについてMBS『よんチャンTV』で話を聞きました。

片山虎之助氏には「本当にお疲れ様でした。ありがとうございましたと言いたい」

―――日本維新の会の片山虎之助共同代表(86)が共同代表を辞任する意向を固めたということを11月26日に関係者が明らかにしました。橋下さんはこのニュースをどう受け止めますか?
「片山さんも世代交代を意識されたんだと思います。僕は維新を作った時に、チームを作る時に片山さんにお願いしたんですよ。国会議員を束ねるのにね、まだ僕が大阪から遠隔コントロールするなんてのは無理だったんで。片山さんの方にやっぱり経験があるんで、ちょうどね、石原慎太郎さんたちのグループと別れる時かなんかの時に、僕らの方に来るのか石原さんの方に行くのか、維新の中がわーわーってなった時に、片山さんに連絡して新大阪駅に途中下車してもらって、『こちらの方でまとめ役になってもらえませんか?』って言ったら、片山さんが『わかりました』と。もともと石原さんの方のグループだったんでね。でも、それを僕らのそういう考え方というか、若い世代を応援というか支えるよ、みたいな感じでやってくれていたんで。本当にありがたいです。もう本当にお疲れ様でしたと、本当にありがとうございましたって言いたいですね」

―――現在86歳ということで維新は11月27日に臨時の党大会が開かれますが、そこでもこういった片山さんの功績みたいなことは話されるんですかね?
「そりゃやっぱり僕と松井一郎さんが最初にお願いしたわけですからね。本当にありがたいです、ここまで引っ張ってもらって。だって片山さん、総務大臣もやり、自民党の中ではものすごい大幹部ですよ。安倍晋三さんとちょっと食事する時に聞いたら、『虎さん怖いでしょう』って言われて。ものすごく自民党の中のいろんなルールに厳しい人だった。座り方とかそういうの。『橋下さん、虎さん怖くない?すごいでしょう、何かルールの厳格さとか』って。僕らにはもう良いおじいちゃんだから。孫に接してるような。だから僕も松井さんも『いや、むちゃくちゃ優しいですよ』って言ったら、安倍さんも菅義偉さんもみんなびっくりしてたもんね」

―――ルールやマナーに厳しい人が橋下さんには優しかった?
「だから、僕はルールやマナーはちゃんとやってたってことやから」

維新の国会議員とTwitterでバトル!?次のリーダーをどう考える?

―――日本維新の会の代表選について、松井代表は仮にあったとしても出馬せずとし、吉村洋文副代表も以前この番組で「100%出ませんから」と強くおっしゃっていました。馬場伸幸幹事長は「8番キャッチャー」「向いてないと思う」とご本人が仰り、音喜多駿参院議員は「大阪以外の意見も…」と闘志を燃やしています。そして最近、Twitterでバチバチ橋下さんとやり合っているのが「橋下さんのコメンテーターとしての限界は国政に出てないからでしょ」とおっしゃった足立康史さんです。
「『国政を知らないコメンテーター』って言われたからね。この一国会議員ごときに。本当に」

―――Twitterではすごいやりとりですよね。事の発端は、1日の在職でも与えられる100万円の文書通信交通滞在費に関して、維新の新人議員が「おかしいよね」って声を上げたことです。橋下さんは「旧維新の国会議員のメンバーがもっと声を上げなくちゃいけないんじゃないか」というようなことをTwitterで仰ったら、足立さんがそこに反論して、そこからもうバトルの応酬ですよね。
「声を上げているんですよ、維新の国会議員団も。しっかり声を上げているんですが、足立さんの考え方が、文通費100万円について使い道は政治活動で何でも使えると、使い道ね。それからもう1つ、これ絶対にね大不評を買うのは、今、維新の会がやっているのは、領収書を出している出しているって言うんですが、余ったお金は自分の政治団体に入れているわけ。自分の政治団体に入れて自分宛に領収書を出してるの。セルフ領収書。こんなの絶対通らないって。地方議員には政務活動費っていうのがありまして、僕もいろんなテレビ番組などで、地方の政務活動費はもうデタラメだったからいっつも政務活動費の文句ばっかり言っていたら、ものすごくルールが厳しくなったんですよ。地方の政務活動費。それを国会議員にも当てはめたらいいんじゃないのって言ったら、足立さんが『そんなもん、地方のルールをね、闇雲に国会議員様に当てはめるな』みたいなことを言ったから、ブチーンってブチ切れてね」

―――文通費を自分の政治団体に寄付するのは橋下さんの発案じゃないですか?
「いや、発案じゃないです。妥協です。あの時は僕らのグループと江田憲司さんのグループが一緒になって、僕は『文通費に領収書をつけろ。絶対につけなきゃいけない。余ったやつは清算だ』っ言ったんですけど、やっぱり国会議員はそれにのってくれなくて。最後、僕は『代表をそれやったらもう辞任します』ぐらいまで言ったんだけれども、妥協の産物で。政治団体は余った分を清算するのが嫌だから、それを自分の政治団体に入れ込んだんです」

―――民間の感覚からすると、使って領収書切って余ったんだったら返したらどうですかと思いますけど?
「当たり前でしょ?だからそれを言ったら足立さんは『いや違う』と。『国会議員様は、地方のルールなんかには縛られないんだ』って言うから、ちょっと待てと。『維新の会は大阪維新の会からスタートしたんだろう』みたいなことをこう言っていたら、いつの間にやら『国政を知らないコメンテーターごとき』って言われたから。たしかに何も知らないコメンテーターですよ、僕はね。何も知りません。だから世間から言われるのはいいんだけど、足立議員に言われるのだけは腹立つわけです」

―――ただTwitterを見ていると、橋下さんは「もう維新を早く辞めろ」とかね、「だめ官僚の典型」とかね。最終的には「足立」って呼び捨てになっていましたよね。橋下さんより足立さんの方が年上でしょ?
「だからこれTwitterって僕のつぶやきなんだから、やめてよ。だからさっきも言ったんだけど、ここは放送の場だから、絶対そういう個人攻撃とかだめなわけ。政治的な中立性もあるし。Twitterは風呂の中でブツブツ言ってるのと一緒なんだから」

―――足立さんは、誰が出るのかがわからないまま代表選をやるのかやらないのかを決めるのはおかしいということで、「私が手を挙げるから若い者も手を挙げなさい」って言ったんだけれども、後ろを振り向いたら音喜多さんしかいなかったと。試みは失敗に終わったということで、代表選についてはいったん撤退するということのようでしたね。
「足立さんが手を挙げてリードするなんて、まだそんな人材じゃないしね。僕が言っていたのは、ちゃんと維新と議論をして『足立さんが考えていることはおかしいから。絶対おかしい』と。『これはもう地方のルールと統一するのが当たり前なんだから、維新の会の議員と議論しなさい』と。そうしたら『いや、こんなのは別に地方議員と議論する必要ない』みたいなことを言うからね。それは違うでしょ。もう維新の内部は、大阪維新の会はどんどん厳しいルールを作り、国会議員の中にも大阪維新の会出身の国会議員がいて、どんどん厳しいルールを作ってる。僕これ言わせてもらいたいのは、維新と僕は今関係ないから、1本の電話も誰にもしていませんからね。Twitterでやっているだけなんだからほっといてくださいよ。風呂の中でしゃべっているのと同じなんだから。何にも連絡も何もしていない。でも、どんどん僕が言っていたような厳しいルールになってきて、足立さんの考え方が全否定されちゃったもんだから、もう足立さん撤退。しょうがないですよ。ちょっとね、ひどい。国会にね、9年いてるとこんな感覚、価値観が変わっちゃうのかなっていう。残念です、僕」

―――コメンテーターとしては代表選を「すべき」とおっしゃいました。では、維新の生みの親の1人としては「しなくていい」ということですよね?
「そこは生みの親関係なく、維新の内部事情としては、候補者が出なかったら。立憲民主党の代表選見ても、政治のプロの人が『しょうもない代表選』とかみんな言ってるじゃないですか」
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―――11月30日に投開票される立憲民主党の代表選には4人立候補しています。橋下さんはこの辺りどう見てるんでしょうか?
「だから僕は、やっぱり若い世代、新しい世代に代わっていってもらいたいなと。やっぱり日本には強い野党が必要なんで、新陳代謝、世代交代して新しいリーダーになってもらいたい。ただ、代表選ね、立憲民主の代表選ですら、政治のプロたちが見ると迫力に欠ける盛り上がりに欠けるってなるんですよ。そしたら維新で、それなりのメンバーの候補者の代表選にならなかったら、もっと批判が出ますよ。立民の代表選の候補者メンバーで誰が代表になったとしても、おそらく維新のメンバーは、それだったら松井さんと吉村さんの2枚看板で行った方が立憲民主よりも勝てるんじゃないかっていうふうに思うかもわからない。でも僕はコメンテーターとしては、もうそういうことじゃなくて、吉村さんだって出てきた時は無名だったんですよ。だけど今は日本を代表する政治家になっているじゃないですか。やっぱりそこは松井さんがいる間に次の世代がチャレンジして。リーダーシップってそのポジションでリーダーシップって養われるところがあるから、そこを今、経験しなきゃいけないんじゃないのって。理想論です。だけど党の事情としたら、立民のメンバーを見て、それだったら松井さんと吉村さん2トップで、と。だけど、吉村さん世代のところの若い元気な改革にエネルギッシュなそういうメンバーがいるんで。僕はそのメンバーに頑張ってほしいなと思った。吉村さんは仮に若いメンバーが来たら自分が共同代表を受けて支えるってことも言ってくれているし。だけどなかなかやっぱりこれはコメンテーターの話と現実は違うなと」

―――地方議員が代表をやるというのはどうですか?大阪府議会とか大阪市議会の議員が日本維新の会の国政政党の代表をやるっていうのは?
「でもそうやらないとなかなかもたないんじゃないですか。というのは、さっきも言ったように、足立議員にはちょっと僕かなり攻撃しましたけど、やっぱり国会に入ってしまうと価値観がすごく変わって狂っちゃう。どう考えたって納税者の感覚・有権者の感覚で僕らがやってたのと足立さんの感覚が完全にずれているから。『俺は国会議員様だ』みたいになっているんで。こういうところを正していくのは、やっぱり大阪維新が正していくしかないから、まだ日本維新の会の代表は大阪の地方議員じゃないと無理だと思います」

―――国政を知らないとまで言われているんだったら、橋下さん自身が国政に行って橋下さんが代表になるという考えはないんですか?
「行ったらまたボロカスに言われるやんか。ボロカスに言われるのは慣れているけど、本当はしんどいの。52歳になったらもうね、人に批判されたくないもん。良い人でいたいから。良い人キャラに今変換してて」

『国家備蓄石油の放出』政府対応に橋下氏「詭弁です。法律違反」

―――続いては「価格抑制できるのか?異例の国家備蓄石油の放出」ということについてです。今年9月末時点で目標90日分に対して145日分の石油というのを日本は保有しています。これは法律で決まっていて、ある程度キープしておかないといけないと。その余剰分の一部を売却することを岸田文雄首相は決めました。ここはアメリカと歩調を合わせ、現行の石油備蓄法に反しない形で国家備蓄石油の一部を売却し、全体として石油の値段を下げましょうという、アメリカほか各国一緒に足並みを揃えている動きです。石油備蓄法は、石油の供給が不足する事態、例えば紛争や災害が発生した場合に放出していいですよという法律なんですね。今、紛争や災害が発生しているのかどうなのか。備蓄しているオイルの種類を入れ替える通常の行為として売却というのが政府の認識ですが、このあたりを橋下さんは弁護士として、法律をどう解釈するかという話でもあると思いますが、どう見ますか?
「そんな詭弁ですよ。足立さんがよくやる詭弁。足立さんは元官僚で詭弁ばっかりだから。それと同じ。こんなの完全に法律違反です。というか、もっと大原則で考えたら、ここは資本主義の国なんだから、価格に政府が介入するのは基本的にはだめですよ。だから需給調整で、需給で価格が決まっていくんで、そこに政府が入るっていうのは原則ご法度。本来やらなきゃいけないのは、ガソリン税を下げるっていうのが本来のやり方ですよ。これ25.1円、暫定税率で今上がっているんですけどもね。25.1円で暫定税率なんだから、そこを下げるってのが本来の話。これ今補助金入れるじゃないですか元売りの方に。結局、業界団体を支援するのが自民党政治。元売りの方に入れても、本当にガソリンスタンドの価格が下がるかどうかわからないし、ガソリンスタンドの価格を下げろと言ったらこれも独禁法の問題とかいろいろ問題あるんです。それだったら政府がかけているこの25.1円分の税金を下げれば、確実にガソリンスタンドのガソリンは25.1円も下がるんだから」
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―――そういう条項があって、レギュラーガソリン1リットルの価格が3か月連続して160円を超えた場合、その次の月からガソリン税の25.1円分上乗せ分を停止し、その分だけ価格を下げるってことができるというもので、これは2010年の民主党政権時代に成立しました。その翌年に東日本大震災が発生し、復興財源確保のため現在は運用凍結。つまり条件を満たしていても価格を下げられないというのが今の状況ということで。
「これは運用なんですか?何か法律改正が必要だから、時間がかかるからこの凍結解除をやらないとかいう報道も出てて」

―――凍結していて、ただ今回、国民民主党と維新が一緒に出そうとしてるのは改正案。こうしたトリガー条項の凍結解除について次の臨時国会で計るという形ですね。
「もし運用だったら法律改正はいらないし。25.1円下げると確かにいろいろ問題あるんですよ。25.1円下がると思ったら、下がるまでちょっと待つとかね。また次上げる時はどうするのかとかいろいろあるけど、でも補助金として元売りというその特定の業界団体の方に補助金を入れるよりも、税金を下げた方が一般消費者全体の利益には確実。これには1つ政治のやり方として大きな方向性があって、業界団体を助ける政治と、僕がずっと言っているのは、一般の有権者・一般の消費者の方に利益になるような政治。ここは大きな対立軸だから面白いところ。だから自民党と国民民主・維新のこの対立っていうのが」

「カーボンニュートラルの目標は否定しないが、負担・犠牲の部分を理解しているのかな」

―――脱炭素社会に向けた日本の環境政策は「慎重で良い」か「世界をリードすべき」か、視聴者にアンケートを行った結果、「慎重で良い」が58%、「世界をリードすべき」が42%でした。橋下さんはどうでしょうか?
「僕は『慎重派』。これは賛否両論あるので僕が言ってることが絶対的に正しいという訳じゃないんですけど。これはもう政治家とか一部の学者とかが『カーボンニュートラル、カーボンニュートラル、2050年』とか言っていますけれど、目標は僕は否定しませんが、それをやるためにどれだけの犠牲を強いられるかっていうその犠牲部分っていうのをみんなわかった上で目標を言っているのかなと。僕がいろんな大阪府市政改革をやる時に、メディアとかにものすごく言われたのが、『メリット・デメリットをちゃんと明らかにせよ』と言われるわけですよ。多分そうなんですよ、政策の選択って。でもこのカーボンニュートラルの話は、もうこれゴールのところばっかりが出ていて、この犠牲の部分・負担の部分っていうのはあんまり報道されてないよね。これ達成するのに1400兆円が必要だとかね。それから日本も新興国の方に今度1兆円支援するんですよ。支援は悪くはないですよ、いいですよ。でも、この気候を抑えて、それをやるためにみんなが1400兆円の金を入れ、それから電気料金もどんどん上がっていく。その負担、全部これ被るんですかね。僕が思うのは、ゴールは別に否定しなくてもいいんだけど、現実もちょっと見ながらそのゴールに向かっていくっていう姿勢が必要だね。今、現実見てないのよ」

―――COP26の時でしょうか。インドが、今の先進国にお金がたくさん集まってるのはこれまでの歴史の中でたくさん二酸化炭素を出したり火力発電を行ってきたりしたためでしょと。そういったものが全部削減されると発展途上国はどうやって発展していくのかという叫びがあったんですが、まさにそういう部分ということですか?
「そういうこと。特にヨーロッパ、EUが『気候変動、気候変動、カーボンニュートラル』って言うんですけど、ちょっと待てよと。一番石炭使って、一番CO2を排出して、一番今生活が豊かになって、そのCO2排出することによって一番豊かになったそこの国はどこかってイギリスですよ。だって産業革命の時に蒸気機関を動かし始めた時からあの人たちは石炭を燃やしてるんですよ。過去の分を全部計算して、これをやっぱり新興国の方にある程度認めてあげないと、自分たちが先にCO2排出して豊かになって、さあ今から我々もその豊かになりたいと思っている国が『CO2だめですよ』って言われたら、この人たちはどうするんですか。じゃあ支援しましょうというふうになってるんだけど、約束したお金を出していないんですよね。あれは1000億ドルだから10兆円、10兆円先進国が出すって言っているのに、出し切っていないんですよ。これはひどいですよ。これね、僕らは豊かな国にいる、だから僕らはもうカーボンニュートラルでもいいけれども、1回中東でもアフリカでも本当に厳しいその地域に行ってみて。彼らはちょっとでもいいから豊かになりたいと思っている。その時に電気が必要。でも太陽光なんかまだまだ。じゃあ石炭燃やさなきゃいけない。その人たちに向かって『あなたたちカーボンニュートラルのためにCO2削減をやめなさい。病院も作れない、それから電気もない、そういう生活をしなさい』と言えるのかと。だから国連の国際会議にいる人たちは僕は学級委員みたいな感じがしてならないね。この現実を知らない。自分たちが豊かになって、自分たちの環境の中で何かきれいごとを言っている学級委員にしか見えないんだけど」
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―――ドイツは脱原発を決めています。再生エネルギーが増えますが、政府が高値で買い取るじゃないですか。その分、結構転嫁されるんですよ。電気料金は2倍になりましたよ。
「日本もそうですよ。今1万円ぐらいは再生エネルギーの負担分になっているんじゃないですか。急激に上がってきていて」

―――学生が生活できないとかものすごい副作用があったけど、国が決めた方向だからということでみんなそれに従いましたけどね。
「まだまだ上がるんですよ。スペインでも再生エネルギーが7割ぐらいとかいうことで成功しているように言われているけど、今スペインはどんどん電気料金が上がっているし。これは日本だけのことじゃなくて、新興国のことをどうするんだと。やっぱりこの目標をやる時に、負担とか犠牲の部分を、しっかりとCOP26が『世界の皆さん、こんだけの負担を被ってくださいね』と。その負担を何も言わずにゴールだけ言ってるのは僕は納得できないな」

―――気候変動がどんどん激しくなっているということについては、橋下さんはもうしばらくこの状況で行っても持つだろうとか大丈夫だろうという感じですか?
「それはね、科学者の言っていることを全否定はしません。アメリカのトランプ元大統領じゃないんで。だから科学者が言っていることはその通りなんだけど、無理だったら無理で、その時にその時の技術やその時の世代が何とかしてくれっていう、そんな感じです。だからなにもその目標を否定するんじゃないんだけれども、やっぱり貧しいところがCO2を出させてくれって言ったら、それはわかるよねと。それから電気料金、これがもし3倍になるっていうんだったら、みんなが税金をね、消費税を30%まで上げて、電気料金とかなかなか大変なところにちゃんとそこをフォローするよとかね。だからそのあたり、もし消費税が30%になってもいいんですかとかいうことになった時に、みんながどう判断するかですよね。そういうとこの負担がない中で『これ目指しましょう』というのは、やり方として違うんじゃないのって。どういう負担があるの、どういう犠牲があるのってことをちゃんと言ってよと。ものすごく負担があるんです。ものすごく犠牲を伴うんだけど、今は全くそこが議論されていないわけ。グレタ・トゥンベリさんとかが一生懸命叫んでいるけど、いやいやあなた方が今そうやって便利な生活をしてるのは、CO2をバンバンバンバン出してあんな便利な生活できているんでね」

中国・女子テニス選手めぐり「IOCは政治的過ぎる」 2022年の日中関係は「悪化するが…」

―――そして最後に中国についてです。11月2日、張高麗前副首相から性的関係を強要されていたことをテニス女子ダブルス元世界ランク1位の彭帥選手(35)がSNSで実名で告白しました。その後、彭帥選手は消息不明になりましたが、中国国内で一切報じられませんでした。そんな中、11月21日、IOCのバッハ会長が彭帥選手とテレビ電話している様子の静止画が公開されました。彭帥選手は「北京の自宅に住んでいて安全で元気」と述べたようですが、今も公の場に姿を見せていません。上海支局の記者に聞いたところ、彭帥という名前でネット検索してもできないと。何かしらの情報統制が敷かれていますが、橋下さんはこの一連の流れについてどんなことを思いますか?
「僕はもともとバッハさんのこと大嫌いだったんで。東京オリンピックのときからね。彼は200万円ぐらいのスイートに泊まっていたんでしょ。バッハさんはちょっとね政治的過ぎると思う。本当に安全確認をIOCとしてやるっていうんだったら、誰もが納得するように動画だったり、IOCだけじゃなくてちゃんと西側先進国のね、その監視をするような第三者がちゃんと入るとか。静止画だけ出して大丈夫ですって誰が信じるんですか。ちょっとIOCは政治的過ぎる。やっぱりどうしても(オリンピックを)北京でやりたいもんだから、中国寄りで、かえってこういうことをやるとマイナスだと思うよ。あともう1つ、女性をめぐる問題について、森喜朗元会長の発言はやっぱり悪い部分はあったと思う。女性の会議は長いっていうところでオリンピックの会長まで辞退させられたんですよ。この張高麗さんは北京オリンピックの主導権を握っていたわけでしょ。こんな話になって、あのとき森さんに対してガンガン言っていたいろんな“日本の主張の強い人たち”はなんで言わないの。今シーンとしちゃって。僕はオリンピックやってもらいたいけど、森元会長は『女性の会議長いね』と、これも駄目だけども、それで降ろされた。実名告白されるようなことやってるその北京オリンピックに何も声出さないの?その人たちは。そこアンバランスやわ」
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―――2022年の日中関係は良くなるのか悪くなるのか。事前に視聴者にアンケートをしたところ、「悪化する」が83%という結果になりました。橋下さんはどうでしょうか?
「これはしょうがないです。悪化するんですよ。悪化するんだけど、でも戦争やっちゃいけないし、利益になるところは手を結ぶと。これはもう歴史を振り返ればアテネとスパルタの時代からね、要は、早く繁栄してる国があり、そこに追いつこうとしている国が追いつきかけのときには必ずそれは関係悪化します。もうずっと古代から現代に至るまでの歴史はその繰り返しなんだから。やっぱり中国は1840年のアヘン戦争でね、欧米列強に植民地化されたところの恨みつらみで何とか世界の大国にって、これで今やってきてるわけだから、完全に日本を追い越せ追い越せですから、我々の方としては圧力を感じて、それはいい感じにはならないよね。でも外交としては絶対に戦争を起こしちゃいけないし、利益になるところは手を結ぶっていうのが外交だから。この悪化のまんまでギャーギャー騒ぐようなことをやってるような一部の人たちがいるけど、それは絶対駄目。悪化でいいんです。ただ隣国と仲良くなれるなんてなかなか難しい。でも外交でちゃんと我々冷静に、戦争は起こさない、利益になるところは手を結ぶ、これをやってくれるような政治家に僕は期待しますけどね」