人口減による利用者の減少や新型コロナウイルスの影響で、路線バスを事業とするバス会社など公共交通機関は厳しい経営状況が続いています。そんな中、兵庫県のバス会社では、未来を見据えて始めた“ある取り組み”が実を結び始めています。

乗客激減したバス会社「2020年度は約22億円の赤字」

兵庫県の中部や南部を中心に路線バスなどを運行する「神姫バス」。
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神戸市中央区にある『神戸三宮バスターミナル』から1日約200便のバスが出発します。バスの利用者は新型コロナウイルスの影響で激減し、神姫バスは2020年度、約22億円の赤字になりました。
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神姫バスの担当者はバス事業だけではない新たな収益の柱を立てる必要があると話しています。

(神姫バス 津村拓也さん)
「新型コロナウイルスの影響がバス事業にとって非常に大きかったので、新たな収益源を作る必要がある」

野菜や果物など「路線バスで運び直売所で販売」

そこで神姫バスが始めたのが、乗客と一緒にモノを運ぶサービス「貨客混載」です。
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兵庫県三田市郊外の停留所でバスに積み込まれるのは収穫したばかりの野菜や果物。通常ダイヤで運行する路線バスで乗客と一緒に野菜などを街に運び、直売所で販売します。
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今年1月19日~4月30日に行われた実証実験では、約3か月間で乗客70人分の運賃収入があったといいます。今年5月から本格運用を開始しましたが、人気は上々で、乗客数の少ない路線の新たな収益源として期待が高まります。

老若男女に愛される三宮のパン店「目玉商品」を地方のバス営業所で販売

さらに、10月下旬から始めたことがあります。バスの運転手が台車を持って向かったのは、「神戸三宮バスターミナル」の裏にある神戸で知る人ぞ知るパン店「トミーズ三宮東店」です。
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(神姫バスの運転手)
「おはようございます、神姫バスです。“あん食パン”取りにきました」
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こちらの店で一番人気なのが「あん食(700円・税込み)」。しっとりした食パンに、たっぷりのあんこが練りこまれて、老若男女に愛されています。「あん食」を仕入れて、神姫バスの営業所で販売するというのです。
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11月5日午前9時に、「あん食」など20個と乗客をのせたバスは「神戸三宮バスターミナル」を出発しました。バスは終点である兵庫県三木市の「ネスタリゾート」に到着。路線バスとしての運行はここまでで、乗客はバスから降ります。
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乗客がいなくなったバスはそのまま「あん食」をのせて、三木市にある神姫バスの営業所へ向かいます。営業所にある切符売り場が、臨時のパン店になります。
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午前10時半に「あん食」の販売を開始すると、すぐにお客さんがやってきました。
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(購入者)
「めっちゃ嬉しいです」
「いつも三宮で買っているんですけど、いつも売り切れだったり、(客が)並んでいたりして。ここは近いので助かります。(Q家からはどれぐらい?)車で5分ぐらい。(Q三宮に行くのとは状況違う?)全然違います」

神姫バスの従業員も購入していました。

(神姫バスの従業員)
「嫁さんが買ってきてって」
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お客さんだけではなく、出荷する側のパン店からも好評です。

(トミーズ 菊池隆史さん)
「当日(焼いた)パンをやはり当日に食べられるというのは、地方の方でもメリットがすごくあるなと思います。路線をもっと広げていってもらえたら、お客さんも喜ばれるかなというところはありますね」
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人だけではなく、その土地の魅力をも運ぶ「貨客混載」。収入は微々たるものですが、バス会社の未来にとって大切な事業だと神姫バスの担当者は話します。

(神姫バス 津村拓也さん)
「(貨客混載)をきっかけに我々がもっと地域に入り込むことによって、その地域がもっと盛り上がることで結果的にバスに乗ってもらいたい。今後も追求しながら継続してやっていきたいかなと思います」