緊急事態宣言が解除されて、百貨店各社の売り上げは回復しているようです。今年10月の売り上げは、前年同月比では▼阪急うめだ本店7.8%増▼大丸心斎橋店15%増▼あべのハルカス近鉄本店8%増▼高島屋大阪店1.1%増、となっています。コロナ前の活気を取り戻しつつある百貨店。その表と裏を取材しました。

11月5日、大阪・なんばの高島屋大阪店には午前10時の開店と同時に次々と客が店内に流れ込みます。時短要請などが全面解除されて“日常”が戻ってきて1週間余り。店内は買い物客でにぎわっていました。特に11月3日にスタートしたお歳暮売り場は正午時点でなんと268人待ち。1時間半近く待たないと順番が回ってこない状態でした。
o2.jpg
(客)
「お歳暮とお正月の材料を買いにきた。習慣ですのでこれをしないと落ち着かない」
「(お歳暮は)親戚に世話になってるので。それと家用のプレゼントとして」

高島屋によりますと、徐々に外出の機会が増えてきたからか、客足は増加傾向。その来店客ですが、特にこれといった目的がない人も多いようです。

(客)
「ちょっとぶらっと見に行こうかなと思って寄った感じです」
「ぶらぶらできたらいいかなと思っていたけれど楽しいです」
「ワクチンも打ってるので対策さえしっかりしていれば大丈夫かなと思って」
「久しぶりに外に出たいという気持ちもありました。ウキウキです」
o6.jpg
そんな中、売り上げが伸びているというのが、セーターやコートなどの衣料品です。外出するようになった途端に朝晩が急に冷え込むようになってきたことや、買い控えの反動とみられています。百貨店にとってはうれしい消費の回復ですが、喜んでばかりもいられません。

新型コロナウイルスの感染が拡大し始めて間なしの去年3月、高島屋大阪店では総菜売り場の販売スタッフに感染が判明。急遽、営業時間を前倒しして閉店し、その後、臨時休業とするなど対応に追われる事態となりました。それ以降、感染対策の徹底を図ってきました。
o8.jpg
(記者リポート)
「従業員が利用する食堂では、パーティションで1人1人の座席が完全に区切られています」

バックヤードにある食堂は、壁に向かって1人で食べるスタイルで、食事前の消毒や「マスクを外したら会話はしない」など黙食もルール化しています。
o9.jpg
さらに午後1時半になると、店内では“消毒タイム”を知らせる音楽が流れ、それを合図にスタッフが棚や買い物カゴの消毒を始めました。この時間、接客にあたっているスタッフを除いて全員が一斉に消毒するのもいまや日課です。

(高島屋大阪店 東元利之副店長)
「いろいろな決まりごとを作って従業員全員でやろうということで、(感染対策が)マンネリにならないように工夫してやっています」

活気を取り戻しつつある百貨店。高島屋は、年末商戦などの商機を取り込み、1日でも早くコロナ前の水準に戻していきたいとしています。