日本にいる在留外国人は約289万人(2020年6月末時点)。言葉の壁からワクチン弱者とも呼ばれていますが、その外国人へのワクチン接種も各地で進められています。会場では言葉の壁をなくすための取り組みも見られました。

外国人約600人がワクチン接種に訪れる

9月12日、外国人の就労や生活支援を行う「YOLO JAPAN」は、運営する大阪市浪速区の施設で、日本の住民票を持つ外国人や地域住民ら約1000人へのワクチン接種を行いました。YOLOJAPANの加地太祐代表に話を聞きました。
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―――会場ではどういった手順で接種が行われる?
(YOLO JAPAN 加地太祐代表)
「まず受付をする前に予診票の確認が行われます。外国人の方もいらっしゃいますので、この段階で英語対応するスタッフが予診票を持っているのかどうかを事前にチェックさせていただいて、もし持っていない場合はカウンターで多言語対応の予診表を使って記入していただく」
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この日訪れた外国人は約600人。接種の際に使用できるのは日本語で記入された予診票のみのため、会場では日本語が読めない外国人向けに英語・中国語・ベトナム語など日本語を含めて18の言語に対応した予診票作成システムを活用しています。

日本語が読めなくても予診票が作成可能なシステム

記入の流れは、まずスマートフォンを使って予診票作成システムのQRコードを読み取り、専用のサイトに入ります。表示された画面で言語を選択すると、名前などを書くページに移ります。
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名前や住所などを入力した後、日本語の予診票と同じ内容のワクチン接種についての質問に答えていきます。そしてプリントアウトの表示を押すと、日本語の予診票が表示されました。
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他の言語で質問に答えた内容に応じて、日本語の予診票に「はい」「いいえ」のチェックがついた画面が表示されるので、その画面の通りに紙の予診票に書き写すことで、日本語が読めなくても記入ができるというわけです。

留学生「接種の機会は本当にありがたい」

現場で話を聞くと、実際にワクチン接種の際に日本に住む外国人にとっては言語が大きな壁となっていたようです。

(ネパールからの留学生)
「最初、接種券がポストに入っていた時、その手紙の意味がわからなかった。でもたぶん将来必要なものなんだろうと思って枕カバーの中に入れて持っておいたんだ。僕たちのような海外からの留学生にとってこの接種の機会は本当にありがたい」
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また、会場には多言語に対応できるスタッフもいるため、医師との予診でコミュニケーションが必要なときはそのスタッフらが通訳にあたることもあります。言葉の壁をなくして接種者のストレスを少なくしているのです。

主催者「母国の家族に『ワクチン打ったよ』と言えるように」

―――ワクチン接種を受けてどんな気持ちですか?
(ネパールからの留学生)
「安心する」

(シンガポールからの留学生)
「日本でワクチンを打てることは私たちみたいな留学生にとってとてもうれしいことです。母国でもワクチンは打てるけど、私たちは今は日本に住んでいるので、大勢の在留外国人や国にいるその家族も私たちが日本でワクチンが打てるのか心配している。こんな機会を設けてくれるのは本当にありがたい」
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主催者は、日本人の接種が進む一方で、取り残されがちな外国人が接種しやすい環境作りが必要だと話します。
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―――外国のみなさんの反応はいかがですか?
(YOLO JAPAN 加地太祐代表)
「きっと安心していただいているんじゃないかなと思います。来ていただいた方の母国には家族がいると思いますので、家族の人たちにも『ワクチン打ったよ』と言えるようになると、日本での生活ももっと安心安全になるんじゃないかなと思っています」