オリンピックの期間中、東京・晴海の選手村からは大会関係者や選手たちを乗せたとみられるバスが競技会場や練習場へ向けて次々と出発していました。こうした選手輸送に携わったバス運転手を取材しました。

全国からバスが集結 1日最大2000台使用

今回のオリンピックでは選手や大会関係者の輸送のために全国のバスが東京に集結。1日最大2000台のバスが使われました。
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選手村の方から出てくるバスを見ると、なにわナンバーの「阪急バス」や奈良ナンバーの「奈良観光バス」など、関西でよく目にするバスも走っていました。
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バスを見に来ていた人たちに話を聞きました。

「関西とか九州とかこっちの方でなかなか見られないので。いろいろ面白いですね」
「バスが通ったりオリンピック関係の車両が通ったりするので、みなさんに頑張れという気持ちを伝えています」

京都から25台を派遣して延べ740回輸送 早朝や深夜の勤務も

帝産観光バスの京都支店は、オリンピック期間中にバス25台・運転手41人を京都から派遣して、主に選手村から競技会場などへ選手の輸送を担当しました。
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ダイヤ表で示された緑色の部分はバスの稼働時間を表しているそうで、7月15日から東京に入り、閉会式翌日までの26日間、25台のバスで延べ740回輸送する予定です。

(帝産観光バス京都支店 穴澤裕之副支店長)
「早朝も2時3時の出勤もありますし、夜は23時24時くらいの退勤ということもあります。時間が長いので運転手を途中交代させる。8月8日の閉会式が終了してから羽田空港や成田空港へ帰国される選手の方々をターミナルの方にお送りしますので、夜の勤務になります」
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コロナ禍で観光バスの需要が減り、帝産観光バス京都支店の2020年7月の売り上げは2019年7月の7%ほどしかありませんでした。しかしオリンピックのバス派遣で今年7月は変化があったようです。

(帝産観光バス京都支店 穴澤裕之副支店長)
「2019年7月の6割くらいの収入は確保できているかなとみております。オリンピックがないとなるとやはり去年と同じような状態が続いていたと感じます」

海外選手が日本語で「ありがとう」「こんにちは」と

そんな中、今回実際に選手らの輸送に携わっていた運転手・川畑勇貴さん(34)に話を聞くことができました。川畑さんは8月1日で業務を終えて一足先に京都に帰ってきました。

―――どんな国の選手を輸送したのですか?
(運転手 川畑勇貴さん)
「日本・韓国・中国・フランス・南米の方。ブラジルの選手はテンション高く乗ってこられましたね」
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選手村や競技会場はセキュリティが厳しく、本人確認のパスが必要です。業務にあたっている時はバスから降りることはできなかったそうですが、川畑さんは車内からオリンピックのムードを感じたといいます。

―――選手村の様子は?
(運転手 川畑勇貴さん)
「テレビで見るような選手の方たちも目の前を通りすぎていく。(見たのは)バスケットボールの八村塁選手ですね。一言でいうと大きいなという印象です。乗車した各国の選手の方たちは日本語を使って『ありがとうございました』『こんにちは』と言われていたのが印象的ですね」
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一方、選手らを乗せて慣れない東京の道を走ることはどう感じていたのでしょうか。

(運転手 川畑勇貴さん)
「各国の代表選手の方を後ろに乗せているのはより違った緊張感もありましたし、競技会場に遅れないように余裕を持って到着することに気持ちをおいて乗務にあたっていました」
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異例の無観客開催となった今回のオリンピック。そこで仕事をした川畑さんは次のように話します。

(運転手 川畑勇貴さん)
「これから先、生きていく中ではなかなか携われない仕事かなと。我々が少しでもかかわったような選手がメダルをとったりするとうれしいなと。オリンピックをバス輸送という部分でサポートできたのはいい経験ができたなと思います」