7月5日以降、大阪府での新型コロナウイルスの新規感染者数が前週の同じ曜日に確認された人数を上回る状態が続くなど、新型コロナの感染拡大の状況をめぐり、7月16日に大阪府の吉村洋文知事は「第5波の入り口」と表現しました。そんな中、コロナ患者を受け入れる病院において重症患者を診るいわゆる『レッドゾーン』の今を取材しました。

満床続いたが現在は「空き」も 一方で緊張感は変わらず

「第4波」のさなかだった今年4月下旬、関西医科大学総合医療センターでは、重症患者のベッドは満床が続き、通常は交通事故などの患者が入るベッドもコロナ患者用のベッドになるなど、綱渡りの状態が続いていました。
d2.jpg
その後、院内の様子はどうなっているのでしょうか。7月15日にMBSの大吉洋平アナウンサーが訪れました。

(大吉洋平アナウンサーリポート)
「重症者を診るレッドゾーンのベッドの空き状況を示すホワイトボードを見ると、『空』という文字がたくさん目に入ります。4月に我々が取材を行ったときには『空』という文字はなく、6月の段階でも1つか2つしか確認できませんでした。状況が大きく変わっているのがわかります」
d4.jpg
そして、大吉アナウンサーはレッドゾーンの手前まで今回特別に案内されました。

(大吉洋平アナウンサーリポート)
「これより先は防護服を身につけていないと入れないレッドゾーンです。私はこういう場所に来るのは初めてです。今は空いている病床がありますが、ピーク時は埋まっていたと。奥を見ると重症患者の方々の姿が目に入ってきます。たくさんの管が体につけられています。今、重症患者の方はベッドの上で寝ていらっしゃるように見えますが、医療従事者は何か異変がないか変わった音がしていないか、そういったことを常に考えながらレッドゾーンで作業をしていらして、大変緊張感につつまれた仕事だというのがわかります」
d11.jpg
緊張感は変わりませんが、一時より落ち着いたように見えます。
d5.jpg
しかし、大阪府の吉村洋文知事が言う「第5波の入り口」という状況について、病院でもその実感があると話します。

(関西医科大学総合医療センター 中森靖教授)
「先週まではPCR外来に来る患者さんも本当に減っていて、1日に10人いかないような日がけっこうありました。検査はすべて陰性というのが、今週になって急に陽性の患者さんが増えてきた印象です」
―――東京の状況は対岸の火事ではない?
「大阪も来週、再来週には増えてくると覚悟しながら…」

第5波は40代~60代前半の人が集中治療室に…

さらに気がかりなのが東京で拡大するインド型変異ウイルス=「デルタ株」です。東京では7月15日には177人のデルタ株感染が確認されています。大阪はというと…。

(関西医科大学総合医療センター 中森靖教授)
「大阪も少しずつデルタ株が増えてきていると言われていますが、我々がPCRを担当するエリアにおいてはいまのところデルタ株の患者さんは1人も発生していません」
d6.jpg
一方で少しずつ進み始めたワクチン接種。病床に変化はあったのでしょうか。

(関西医科大学総合医療センター 中森靖教授)
「ワクチンを2回打たれて、その後に陽性になって軽い症状で入院された患者さんの経験はありますが、ワクチンを2回接種後に人工呼吸器を装着することになった患者さんの経験はありません。ワクチンは一定の効果があると思っています」
d10.jpg
―――ワクチン接種が広がることには大きな意味がある?
「もちろんそうですね。第5波までには40代や50代の人にはワクチンは届かないだろうと思っていましたので、第5波は残念ながらくるだろうと。第5波はおそらく40代・50代・60代前半の人が集中治療室を埋めることになるだろうと思います。このままワクチンが広がれば第6波はなくなるんじゃないかと思っています」
―――コロナとの戦いは第5波がもう最後になるのではないかという期待もある?
「それなりの波はこれが最後になってほしいなと思います」
(2021年7月16日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)