新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府が目指す『出勤者の7割削減』。実現には高いハードルがありますが、そんな中、テレワークを積極的に導入する従業員数24人の大阪の町工場を取材しました。

大阪市生野区の「枚岡合金工具」。
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日課となっている“朝の体操”もパソコンでつないで行っていました。1回目の緊急事態宣言が出た去年4月からテレワークを導入しています。

(枚岡合金工具 古芝保治会長)
「緊急事態宣言の第1回目が始まったその翌日からテレワークを始めていきました。社員の命を守るということで。満員電車で通勤するリスクが軽減できる」

この会社では、自動車部品の金型の設計・製造をしていて、主にテレワークをしているのは技術職ではない事務や営業を行う社員。
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出勤者の7割減とまではいきませんが、全従業員24人のうち8人がテレワークをしています。

奈良県の自宅からテレワークをする営業担当の慶田勉さん。年齢なんと82歳ですが、パソコンの前でテキパキと仕事をしています。テレワークになったことで、仕事に集中できるだけでなく、1時間半かかっていた通勤時間をウォーキングにあてて健康を維持しているといいます。

(枚岡合金工具でテレワークをする慶田勉さん)
「会社に行っていわゆる雑談とか雑用とかいうようなことが家でやっているとありませんので、非常にスムーズに仕事がはかどる。晩は早く寝られるわ、朝は早く起きられるわ、体の調子が非常にいい。これやったらまだまだこの仕事をさせていただけるなと」

社員からの評判も上々なテレワークですが課題もあるといいます。去年採用した新入社員が1人辞めてしまったというのです。そのため今年の新入社員には出勤して仕事を覚えてもらっています。

(枚岡合金工具 古芝保治会長)
「新人が入社して1週間でいきなりテレワークしなさいというような形で、何をどうしていいのか新人にとっては全くわからない。コミュニケーションがうまくいかず、1年で辞めてしまった」

(新入社員)
「新入社員なので早く会社自体に慣れないといけないと思っているので、今はテレワークはしたくないかなと思います」

政府が企業にテレワークの導入を呼び掛けてから約1年。メリットとデメリットの双方が見えてきた形ですが、枚岡合金工具の古芝会長は今後も積極的にテレワークを導入したいと話します。

(枚岡合金工具 古芝保治会長)
「時間と空間が節約できる。コミュニケーションロスとかミスとかありますけれども、メリットを考えると、緊急事態宣言が解除されたとしても、テレワークは本当に中小企業にとっては強い味方になっていくんじゃないかな」