連休明けから本格化する新型コロナウイルスのワクチン接種。このワクチンは果たして変異ウイルスにも有効なのか。横浜市立大学で画期的な研究が行われています。5月6日に取材しました。

(記者リポート)
「横浜市立大学では、すでにワクチンを2回接種した医療従事者から血液が採取されています」

集められているのは、すでにワクチンの接種を終えた医療従事者の血液。ワクチン接種をすると体内に「中和抗体」ができてウイルスへの感染を防ぐ働きをします。ただ、いま接種が進むワクチンは2020年に拡大した従来型のウイルスに対するものです。横浜市立大学では、このワクチンがいま猛威を振るっている変異ウイルスにも有効なのか調べているのです。

対象となるのは、関西で流行している「イギリス型」に加え、「南アフリカ型」や「ブラジル型」、さらに最近注目されている「インド型」なども含まれます。この研究では、本物のウイルスは使わず、実際の変異ウイルスの表面にあるタンパク質をとりつけて、本物の変異ウイルスと似た“疑似ウイルス”を作り出します。

その研究室を特別に取材させてもらいました。

研究で使われるのは「変異株パネル」です。Aから順に縦に並ぶアルファベットはそれぞれ株の違う変異ウイルスを表しています。

(横浜市立大学医学部 宮川敬准教授)
「混ぜたものをサルの細胞に感染させるということを行います」

この研究では、研究室で独自につくられた「疑似ウイルス」に、ワクチン接種を終えた人の血の成分(血清)をかけ合わせ、人間よりも感染しやすいサルの細胞に投与して3時間培養します。細胞が光ると感染、光らなかった場合は中和抗体が働いていてワクチンが変異ウイルスに有効であるとわかるのです。

今回の研究が画期的なのは、日本人の血液を使うので日本人独自のデータが取れること、疑似的なウイルスを使うので、安全・スピーディーであることです。

(横浜市立大学医学部 宮川敬准教授)
「機械にセットして測定するんです。モニターの赤色は、細胞が発光していることを示します」
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モニターには赤やオレンジ、黄色、水色などが映し出されています。赤い部分は細胞が「感染している」ことを示し、青い部分は「感染していない」、つまり「ワクチンが効いている」ことを示しています。

(横浜市立大学医学部 宮川敬准教授)
「一斉に検査することができますので、特定の型にワクチンが効きづらいというのがすぐにわかります」

従来型のウイルスにあわせて設計されているワクチン。変異ウイルスにも有効なのか、研究結果は5月12日にも発表される見込みです。

(横浜市立大学医学部(臨床統計学) 山中竹春教授)
「(ウイルスの)変異を起こしている場所が限定的であれば、従来型のワクチンも十分に有効性を発揮しうる可能性はあると思うんです。ただし有効性は発揮しないかもしれません。データをとって検討していく予定です」

(5月7日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)