コロナ禍のゴールデンウィーク。休診する医療機関も多い中、発熱患者の対応に追われるクリニックを取材しました。そこから見えてきた課題とは。

GW中ひっきりなしに人が訪れる「発熱外来」

兵庫県尼崎市の「長尾クリニック」。5月4日に取材をさせていただくと、ゴールデンウィークで休診するクリニックから流れて来たのか、ひっきりなしに人が訪れます。屋外に設けられた発熱外来はいつも以上の混雑で診察待ちの人が外にあふれます。車の中にいる患者のもとへ、マスクとフェイスシールドを着けた長尾和宏医師が直接向かいます。

(患者を診察する長尾和宏医師)
「喉が痛い?39℃は相当やね。PCR検査をやります。ここで待っておいてください」
(患者を診察する長尾和宏医師)
「4月27日にPCR受けたんやな。5月3日に38.5℃も出たん。それなら(もう1回)PCR検査しておこう」

とはいえ、全てが新型コロナウイルス疑いというわけではありません。患者の首のあたりを診て水ぶくれのようなものを確認した長尾医師。

(患者を診察する長尾和宏医師)
「水ぼうそうやね。コロナとは何の関係もなく放っておいても勝手に治る」

(長尾クリニック 長尾和宏医師)
「例年と違ってもう大半が発熱外来の患者さん。電話が鳴りっぱなしでとれない」

新型コロナウイルス陽性でもほとんどが「自宅療養」に

去年から新型コロナウイルス疑いの人や自宅療養者の対応に追われてきた長尾和宏医師。この1年間で屋外の発熱外来で診察した患者は2000人以上、うち約300人が新型コロナウイルス陽性でした。

今年4月から患者が急激に増え、連日陽性者が確認される状態だと言います。しかし、ここで新型コロナウイルスの陽性が確認されても、受け入れ施設がなく、ほとんどが自宅療養となっています。

兵庫県では5月3日時点で入院できず待機している人は1745人。5月2日には尼崎市で入院待ちをしていた80代の女性が亡くなるケースも起きています。

そんな中で要望が増えているのが訪問診療です。

(長尾クリニック 長尾和宏医師)
「大阪府の人は断っても、『(家に)30分で来れるやろ。診てくれよ』と食い下がられる。どこにも相手をしてもらえないから。世の中全てから見捨てられて。泣かれたら行かんとしゃあない」

長尾医師はこれまで自宅療養する患者の訪問診療を60人ほど行ってきました。一方で約100人についてはオンラインでの診療でフォローし、いずれも急変することなく完治したといいます。

開業医にお願いしたいこと

(長尾クリニック 長尾和宏医師)
「人の命を救うのが僕たちの仕事なので、(死亡者を)一人でも少なくするために、いまこそ開業医が立ち上がって。こんな僕でもできるんだから、発熱患者の対応と新型コロナウイルス陽性と言われた自宅待機者への対応、(開業医には)この2つをお願いしたい」

(5月4日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)