2年連続の『緊急事態宣言』で京都の飲食店では時短営業や休業をしていますが、その影響はホテルや旅館にも及んでいます。同じ宿泊業でも、施設によってGW中の予約状況に差が出ている現状を取材しました。

GW予約が入る宿 宿泊客のみ利用のダイニングは「休業・時短要請の対象外」

京都・嵐山。渡月橋から専用の渡し船に揺られること15分。到着したのは約100年前の旅館を改築した「星のや京都」です。
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(星のや京都 眞崎宏明総支配人)
「どうぞお入りください。こちらは角部屋になっていまして、目の前の大自然を楽しんでいいただく、畳のお部屋です」

ここではお茶をたてたり写経をしたり、都会の喧騒を忘れることができます。1泊のお値段は1室13万4000円から(1部屋:サービス料・税込み※食事なし)とまさにラグジュアリー。ここの予約状況を尋ねてみると。
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(星のや京都 眞崎宏明総支配人)
「コロナ前と比べますと少し落ち着いた予約ではありますけれども、たくさんのお客さまにGWに、お越しいただいているのが現状です」

そしてここでは…

(眞崎宏明総支配人)
「ひとつひとつの席を障子で仕切って、お客さまが安心してゆっくりと飲食を楽しんでいただく運用をしています」

宿泊客しか利用できない宿のダイニングは、京都府の休業・時短要請の『対象外』となっていて、ここでは感染対策を取りながら酒類の提供も行っています。

GW半数近くキャンセルになったホテル「本当にもう持たない」

しかし、多くのホテルでは「飲食」における問題が影響を与えています。京都駅の近くにあるプラザホテル京都駅南(京都・南区)では。

(プラザホテル京都駅南 清水洋平支配人)
「今回、特に飲食店の休業要請が厳しくなったというところで、お客様からは『夜に食べるところがない』といった意見が多いです」

館内に夜のレストランはなく現在、外の飲食店は夜8時までで酒類の提供もできないことから、宿泊客は部屋でテイクアウトやデリバリーを利用することが多いということです。そのため…

(プラザホテル京都駅南 清水洋平支配人)
「旅行の一部に飲食ということも必ず絡んでくるので、飲食という楽しみが奪われている状態になると、観光の足も少し鈍ってくるのかなと」

GWの予約状況はというと、すでに予約の半数近くがキャンセルされ、客室の稼働率は4割前後にとどまっています。

(プラザホテル京都駅南 清水洋平支配人)
「(予約の)取り消しが5月1日~5日のGW期間、続出している状態です。顕著なのが緊急事態宣言の発表が予想されていた4月21日から一気にキャンセルが増えている状態です。(コロナ禍の状態が)2年目になり、厳しい状況に入りまして、(宿泊業は)本当にもう持たない、という状態になってきています」

京都府の措置では、宿泊施設のレストランを宿泊客以外も利用できる場合『飲食店』と同じ“要請対象”。一方、宿泊客だけが利用できる場合やルームサービスは「要請」の対象外としています。

去年休業要請の対象だった嵐山の『屋形船』は?

緊急事態宣言初日の4月25日。『要請』の線引きに右往左往するのは宿泊業だけではありません。嵐山名物の『屋形船』を実施している嵐山通船(京都・西京区)も営業をストップしていました。
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(嵐山通船 小島義伸社長)
「京都府に聞こうと思ったら、(宣言を)発表したのが金曜日の夜(4月23日)なので、誰も行政が電話を取ってくれないんですよ。100回ぐらい電話したけど全然繋がらないです」

2020年4月、1回目の宣言時には東京の『屋形船』での新年会が国内初のクラスターと認定され、京都の『屋形船』も休業要請の対象でした。しかし、今回も対象になるのかわからないといいます。

(嵐山通船 小島義伸社長)
「本音を言えば営業したかったです。休業の補償ができるのかどうか、それがはっきりするまでは、うかつに営業ができないと思いまして」

しかし4月27日、取材班が再び嵐山を訪れると、川面には船をこぐ観光客の姿が見られました。

(嵐山通船 小島義伸社長)
「月曜日の朝8時から役所で並んでいたんですよ。役所に聞いたら、今年はうちの会社は“休業要請に入らない”ということで、きょうから営業再開させてもらいました」

週明けにようやく、休業要請の対象ではないことが判明。協力金が出ないこともあって営業再開を決めました。

(嵐山通船 小島義伸社長)
「京都府も『はっきりわからない』と。うちは遊興施設なのかイベントなのかサービス業に入るのか難しいところがあると思うんですけどね。その辺の基準は今後のためにもはっきりしてほしいです」

(4月29日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)