5月10日、高校野球の春の近畿大会への出場権をかけた兵庫県大会の決勝が行われ、東洋大姫路と報徳学園、兵庫を代表する名門校が激突しました。
東洋大姫路vs報徳学園 2回に報徳学園がホームランで先制
去年秋の兵庫大会、近畿大会を制して名門復活へ確かな足取りをみせている東洋大姫路と、2年連続での夏の甲子園切符を獲得するためにもここでライバルをたたいておきたい報徳学園。決勝戦は、春の大会とは思えない両校の意地とプライドが激突する緊張感のあふれる展開となります。
先制したのは報徳学園。2回表、5番・岸本玲哉選手が、春の選抜大会でも活躍した東洋大姫路の先発・木下鷹大投手からライトスタンドへ先制のホームラン。逆風をものともしない見事な一撃で1対0とリードします。
一方、東洋大姫路もその裏に反撃。報徳学園の先発・荒井創太投手から、7番・白鳥翔哉真選手、8番・桒原大礼選手の連続ヒットで2アウト満塁のチャンスをつくると、9番・木下選手の場面で荒井投手がワイルドピッチ。すぐさま1対1の同点に追いつきました。それでも、荒井投手はこの後のピンチをしのぐと、3回以降は緩急を織り交ぜた頭脳的なピッチングを披露。打ち気にはやる東洋大姫路の各バッターに狙いを絞らせず、5回まで追加点を許しません。
一方、選抜高校野球大会では背番号11番で登場も、この春は背番号「1」をつけてマウンドに上がった木下投手。「自分の課題は、立ち上がりの3回までのピッチング。そこさえ抑えることができれば、リズムにのっていい投球ができる」と語ったように、4回以降は伸びのあるストレートを武器に安定感抜群のピッチング。4回から6回まで1人のランナーも許さず、付け入るすきを与えません。
東洋大姫路・岡田龍生監督「勝因は木下につきる」
1対1のまま迎えた6回裏。先にチャンスをつかんだのは東洋大姫路でした。1アウトから4番・木村颯太選手がツーベースヒットを放ち、勝ち越しのチャンスをつくります。ここで報徳学園は、荒井投手に代えて2年生の中尾勇貴投手を投入。成長著しい新戦力に大事な場面を託します。報徳学園の大角健二監督が「今までああいう場面で起用したことはなかったが、よく我慢してくれた」と振り返ったように、中尾投手は期待に応えて連続三振でこのピンチを脱出。プレッシャーのかかる場面で夏の大会にもつながる結果を残しました。
ピンチを脱出した報徳は直後の7回表、1アウトから7番・丸尾泰毅選手がライト線へツーベースヒットを放って逆に勝ち越しのチャンスをつくります。しかし、ここは木下投手が踏ん張りました。後続を打ち取って、試合の主導権を渡しません。
すると8回裏、東洋大姫路に再び思わぬ形でチャンスが訪れます。1アウトから2番・木本琉惺選手のあたりは、セカンドへのぼてぼてのゴロ。タイミングは微妙でしたが、果敢にアウトを狙ったセカンドからファーストへの送球が悪送球になって木本選手が2塁に進みます。直前の1番・渡邊拓雲選手のヒット性のあたりをスーパープレイでアウトにしていたセカンドの山岡純平選手。ここは積極的な姿勢が裏目に出てしまいました。
このチャンスに、東洋大姫路は2アウトから4番・木村颯太選手が中尾投手の力のあるストレートをレフトへのタイムリーヒット。ついに東洋大姫路が勝ち越しました。「一番大事なところで結果を出すのが(東洋の)4番の仕事。狙い球をしっかりと一球で仕留めることができてよかった」と語った木村選手。見事に4番の役割を果たしました。さらに、続く5番・鈴木蓮音選手が放ったライトへのヒット性のあたりは抜けそうな打球でしたが、ここはライトの丸尾選手がファインプレー。報徳が1点でしのいで9回表の攻撃に全てを託します。
しかし、木下投手にはこの1点で十分でした。東洋大姫路・岡田龍生監督が「きょうの勝因は木下につきる。よく投げ切ってくれた」と振り返ったように、ファールで粘りながら必死の反撃を試みる報徳の各バッターに、最後まですきをみせませんでした。9回も三者凡退に抑えてゲームセット。「背番号1を背負ってチームを優勝に導けたのが、何よりもうれしかった」と話した木下投手。東洋大姫路が2対1で報徳学園を振り切り、春の兵庫県大会を制覇して近畿大会への出場権を獲得しました。
そのほかの近畿大会出場校と今後の日程
そのほかの地区では、同じ10日に行われた滋賀県大会決勝戦で、ライバル近江に8対0と圧勝した滋賀学園と、11日に行われた決勝戦を含めて2回戦から和歌山大会のすべての試合を危なげなく勝ち抜いた智弁和歌山が近畿大会の出場権を獲得。
開催地として3校が出場する奈良では、10日に行われた奈良大付との決勝戦に1対0と勝利した天理と、準優勝の奈良大付、3位決定戦で橿原学院に6対3で逆転勝ちした奈良が出場権を獲得しました。
それぞれ優勝校が近畿大会に出場する大阪と京都では、雨天順延等のアクシデントがなければ、大阪桐蔭と履正社による注目の大阪大会決勝戦が17日に開催。京都では同じ17日に、龍谷大平安対東山、京都共栄対城南菱創による準決勝が行われた後、翌18日に優勝校が決定して、春の近畿大会出場校が出揃います。
【春季近畿大会】
日程:5月24日~
場所:さとやくスタジアム(奈良)
▼出場校
・兵庫 東洋大姫路
・滋賀 滋賀学園
・奈良 天理、奈良大付、奈良
・和歌山 智弁和歌山
・大阪 大阪桐蔭 対 履正社の勝者 17日に決定(予定)
・京都 18日に決定(予定)