年末年始に東大阪市花園ラグビー場で行われる全国高校ラグビーフットボール大会。その出場校を決める大阪地区予選のシード校を決定する重要な大会(大阪総体)の準決勝が、5月11日に行われ、大阪桐蔭と東海大大阪仰星という大阪を代表する強豪校が激突しました。

ワールドラグビーユース交流大会で好成績を残した両雄の激突

 5月5日に終了したサニックスワールドラグビーユース交流大会で好成績を収めた両チーム。8日間で5試合の激闘を終えてからわずか6日というハードスケジュールの中でも、激しく体をぶつけ合う強度の高い試合を展開します。

 先制したのは、ワールドラグビーユース交流大会で見事に連覇を果たした大阪桐蔭。開始直後からFWで圧力をかけて東海大大阪仰星陣内深くまで攻め込むと、3分にSO矢守勇生選手がPGに成功して3点をリードします。一方、春の選抜大会への出場は逃しながらも、ワールドラグビーユース交流大会では3位に食い込んでチームとしての成長力を示した東海大大阪仰星。持ち味の高いハンドリングスキルをベースに、自陣からでもボールをつないでいくラグビーで反撃を試みます。

 しかし、我慢強くひたむきにプレッシャーをかけてくる大阪桐蔭の前に、なかなか敵陣で試合を進めることができません。両チーム我慢比べの時間が続く中、東海大大阪仰星は、一旦体を当ててからキックでのエリア回復を狙いますが、これが裏目に。東海大大阪仰星の湯浅大智監督が「自分たちで相手にペースを渡してしまった」というように、大阪桐蔭が得意とするFW周辺でのフィジカル勝負に巻き込まれて、嫌な形でボールを失ってしまいます。このチャンスに大阪桐蔭は、東海大大阪仰星の反則を誘って敵陣深くまで攻め込むと、前半15分、ラインアウトからのモールをFW陣が一気に押し込んでHO高松和久人選手がトライ。矢守選手がゴールも決めて10対0とリードをひろげました。

 このトライで勢いに乗った大阪桐蔭は、さらに24分、WTB上原健新選手のキックチャージからチャンスをつくると、最後は、ラックから素早く右に展開してエースのWTBモレノ経廉ザンダー選手が右隅にトライ。15対0として前半を折り返しました。

流れを呼び戻した“自信を持つスクラム” 大阪桐蔭が勝利しAシードの権利を確保

 前半は大阪桐蔭の勢いに押されてなかなか自分たちの形が作れなかった東海大大阪仰星。後半に入るとメンバーを一気に4人入れ替えて反撃に出ます。積極的にボールを動かしてこの試合初めて大坂桐蔭陣内深くまで攻め込むと、粘り強く攻撃を継続しながら、大阪桐蔭のトライエリアに迫ります。そして後半の8分、後半から出場したSH小池慶太郎選手が素早くラックからボールを持ち出して最後はNO8塩谷優太選手が右中間にトライ。SO菊池敬太選手がゴールも決めて15対7と8点差に迫りました。

 残り時間は20分以上、後半に入って俄然勢いの出た東海大大阪仰星の反撃ムードが漂う中、ワールドラグビーユース交流大会王者のピンチを救ったのは絶対的な自信を持つスクラムでした。追い上げられた後の最初のスクラムで、自慢のFW陣が一体となって押し込み、東海大大阪仰星のペナルティーを誘発。このチャンスにSO矢守選手が絶妙のキックをみせて、一気に仰星陣内深くまで攻め込みました。そして後半14分、トライラインまで7m付近からのラインアウトからモールをつくると、巧みにモールをコントロールしながら、最後はFL坂田大和選手がトライ。逆風の中、矢守選手に代わってコンバージョンキックを蹴ったキャプテンのCTB手崎颯志選手が見事にゴールを決めて、22対7と再び15点差として試合の流れを引き寄せました。

 大阪桐蔭はさらに18分、矢守選手のキックパスに見事に反応したモレノ選手が、この日2本目のトライ。手崎選手が難しい角度のゴールを決めて29対7として勝負を決定づけました。手崎颯志主将が「過信してはいけないが、サニックスで桐蔭学園に勝てたことが小さな自信になった。ひとりひとりがしっかりと日々やってくれていることで、チーム力は上がっていると思う。(サニックスで優勝して追われる立場だが)チャレンジャーの気持ちを忘れずに、これからも努力していきたい」と語った大阪桐蔭。このあとさらに1トライを加えて34対7でライバル東海大大阪仰星に完勝。大阪総体での決勝(1位2位決定戦)進出を果たすとともに、3地区に分かれて行われる全国高校ラグビーフットボール大会大阪地区予選でのAシードの権利を確保しました。

残り1枠のAシードをかけ東海大大阪仰星と大阪朝高が対戦へ

 準決勝もう1試合は、常翔学園が、けが人の影響で13人での戦いを余儀なくされた大阪朝高の驚異的な粘りの前に、序盤は苦しみながらも67-5で勝利して決勝進出を果たしました。

 全国大会大阪地区予選のAシードは残り1校。大阪桐蔭に敗れた後、選手ひとりひとりとの時間をかけたミーティングを終えて、「(チーム力の強化には)まだまだ時間がかかります。まずは、次の戦い(3位・4位決定戦)に向けてしっかりと準備したい」と湯浅大智監督が語った東海大大阪仰星と、大阪朝高の間で争われます。

【大阪総体 順位決定戦(1位-4位) 結果及び組み合わせ】
大阪桐蔭 34-7 東海大大阪仰星
常翔学園 67-5 大阪朝高

【3位・4位決定戦】
5月18日 東海大大阪仰星 対 大阪朝高  鶴見緑地球技場 午後0時40分キックオフ

【1・2位決定戦】
5月18日 大阪桐蔭 対 常翔学園  鶴見緑地球技場 午後2時キックオフ