高校ラグビー世代の国際大会「サニックスワールドユース交流大会」は、決勝トーナメントに突入。1~4位決定戦では、決勝進出をかけて大会連覇を狙う大阪桐蔭(大阪)と、ニュージーランドの強豪・ハミルトンボーイズを撃破しプール戦を1位突破した御所実(奈良)が対戦しました。

<大阪桐蔭vs御所実>近畿大会でも接戦の両チームが激突!

 2月の近畿大会でも準決勝で激突し、接戦を演じた両チーム。この試合も、前半から両校が強みを発揮し合う互角の展開となります。先制したのは大阪桐蔭。試合開始からキックをうまく使って敵陣深くまで攻め込むと、前半6分、ラインアウトからのモールを巧みに押し込んでSH福島悠右選手がトライ。SO矢守勇生選手がゴールも決めて7点とリードします。

 一方、御所実もすぐさま反撃。直後のキックオフから、持ち味のしっかり前に出るディフェンスで大阪桐蔭にプレッシャーをかけると、矢守選手のキックをLO小室嘉維都選手がチャージ。こぼれたボールにFL陣が素早く反応してマイボールにすると、最後はCTB伊勢村彩羽選手の裏へのキックをうまく拾ったWTB市川瑛士選手が左隅に飛び込んでトライ。7対5と2点差に迫ります。このトライで勢いが出た御所実は12分、大阪桐蔭の反則で敵陣深くまで攻め込むと、ラインアウトからのモールを一気に押し込んだ後、素早くボールを動かしてPR仲井陸人選手がトライ。狙いどおりの戦いぶりで、10対7と逆転します。

 先制しながらも逆転を許した大阪桐蔭。それでも選手たちは落ち着いていました。再びキックをうまく使って敵陣に攻め込んでいきます。そして15分、しっかり体をあてながら攻撃のリズムをつくると、CTB近藤烈選手がトライエリアに蹴り込んだボールにWTB上原健新選手が猛然とダッシュ。デッドボールラインを割ると判断した御所実の選手が見送るところを、トライエリアぎりぎりで押さえてトライ。ボールへの執念を見せて、12対10と再逆転に成功しました。

 15分までに2トライずつを取り合った両チーム。その後は、ともに固いディフェンスで相手に得点を許しません。大阪桐蔭は御所実が得意とするモール攻撃をFW陣が一体となって防ぎ切ると、御所実はトライラインを背にした場面で一人一人がきっちり相手を捕まえる必殺のタックルで応酬。ともに追加点を許さず試合は後半に突入します。

 サイドの変わった後半も、お互いが相手の攻撃をしのぎあう我慢比べの展開。12対10の2点差のまま、刻々と時間が過ぎていきます。ようやく試合が動いたのは後半17分。御所実が敵陣でディフェンスからチャンスをつかみ大阪桐蔭陣内深くまで攻め込むと、ラインアウトからのモール攻撃が崩された後に素早くボールを持ち出し、最後はキャプテンのFL津村晃志選手がトライ。ゴールも決めて、17対12。後半の大事な場面で、ついに逆転しました。

 ここで大阪桐蔭は3選手を投入。リードを許した試合終盤の勝負の局面で、交代で入った選手たちが結果を残します。直後のキックオフからの最初の攻撃で、フィールドに登場したばかりのCTB北浦玲樹選手が力強い突破で御所実のディフェンスを振りほどくと、そのまま25m以上を走り切って中央にトライ。SO矢守選手が慎重にゴールを決めて19対17。再び大阪桐蔭が2点のリードを奪いました。

 残り時間は10分あまり。PGの3点でも逆転を許す状況で、大阪桐蔭のエリアコントロール、落ち着いた戦いぶりが光りました。矢守選手が強風の中、低いキックでエリアを確保すると、反則を犯さず確実に敵陣で試合を進めていきます。その後は、御所実に1度も自陣の深い位置への侵入を許すことなく、ついにノーサイド。最後まで冷静な戦いぶりをみせた大阪桐蔭が、勢いに乗る御所実を振り切って準決勝を突破。大会連覇まであと1勝に迫りました。

<佐賀工vs東海大大阪仰星>伝統校の底力で大接戦を制する!

 準決勝もう1試合は、選抜大会準優勝の京都成章に完勝して試合を重ねるごとに力強さが増している佐賀工(佐賀)と、東福岡との激戦を制してベスト4進出を果たした東海大大阪仰星(大阪)の対戦。

 前半は、プール戦の勢いそのままに、佐賀工がペースを握ります。試合開始からFWで圧力をかけて敵陣で試合を進めると、前半8分にWTB片山友選手が先制のトライ。WTB岩屋武琉選手がゴールも決めて7点をリードします。さらに19分、岩屋選手がPGを決めて点差を10点にひろげると、22分には鋭い出足で仰星を自陣深くに押し込んだ後、ダブルタックルで倒された仰星の選手の動きに判断よく反応してボールを奪った岩屋選手からのパスを受けたLO本田隆成選手が中央に飛び込んでトライ。ゴールも決めて17対0と大きくリードし、前半を折り返します。

 一方、前半は佐賀工の勢いの前に完全に受け身に回ってしまった東海大大阪仰星ですが、前半終了間際からはフレッシュな選手を次々と投入して反撃に転じます。そして後半10分、仰星らしいボールを大きく動かしながら高いハンドリング技術でディフェンスのギャップをついていく攻撃で敵陣に侵入していくと、最後は後半開始から出場したSO小出壮太郎選手が中央にトライ。ゴールも決めて17対7と追撃を開始します。17分には、狭いサイドを途中出場のFB小林蒼天選手が鮮やかなステップで抜いた後、中央に回り込んでトライ。CTB菊池敬太選手がゴールも決めて、17対14と3点差まで詰め寄ります。さらに23分、菊池選手のディフェンスライン裏へのキックに鋭く反応した途中出場のWTB前田航選手がトライエリアの右隅でボールを押さえてトライ。東海大大阪仰星が、交代で出場した選手の活躍で19対17とついに逆転しました。

 しかし、激闘はこれで終わりませんでした。佐賀工は直後のキックオフから全員がひたむきに前に出続けると、ハイパントのボールがこぼれたところに鋭い反応でボールを確保し、トライラインに迫ります。最後は、FW陣の執拗な連続攻撃から本田選手がゴールポスト右横に気迫でボールをねじ込む逆転のトライ。ゴールも決めて24対19と再逆転に成功しました。

 残り時間はあとわずか。必死の反撃を試みる東海大大阪仰星のアタックを佐賀工が渾身のタックルと反則を犯さない規律のとれた動きでしのぎます。最後は、自陣のトライエリアまで押し込まれながらも、ボールを蹴り出してノーサイド。伝統校の底力を見せた佐賀工、大熱戦を制してはじめての決勝進出です。

順位決定トーナメント1日目結果

▼1位-4位決定戦
大阪桐蔭(大阪) 19-17 御所実(奈良)
佐賀工(佐賀) 24-19 東海大大阪仰星(大阪)

▼5位-8位決定戦
桐蔭学園(神奈川) 30-29 ラトゥ カダヴレヴ スクール(フィジー)
ハミルトン ボーイズ ハイスクール(ニュージーランド) 33-12 バーカー カレッジ(オーストラリア)

▼9位-12位決定戦
SGSフィルトン カレッジ(イングランド) 17-12 京都成章(京都)
東福岡(福岡) 55-7 長崎北陽台(長崎)

▼13位-16位決定戦
東海大相模(神奈川)57-0 ジェングオ ハイスクール(中華台北)
京都工学院(京都)38-19 ベゼ ハイスクール(大韓民国)
                        
 決勝戦は大阪桐蔭と佐賀工の対決。大会連覇か、悲願の初優勝か。注目の決勝戦は、5月5日(月・祝)、午後2時10分キックオフです。