高校ラグビー世代の国際大会、サニックスワールドラグビーユース交流大会は、予選リーグの最終日、8試合が行われました。

連覇を狙う大阪桐蔭vs選抜王者の桐蔭学園

 前回大会の日本勢初優勝に続く連覇を狙う大阪桐蔭(大阪)と、今年3月に行われた選抜大会の覇者・桐蔭学園(神奈川)が激突。去年の決勝戦と同じ顔合わせ、イングランドのSGSフィルトンカレッジと中華台北のジェングオハイスクールの外国勢2校を圧倒した両雄の対決は、試合開始から緊張感の中にも激しい闘志がぶつかり合う緊迫した展開となります。

 桐蔭学園が、確かな基本技術をベースに持ち味のテンポよくボールを動かすラグビーを仕掛けようとすると、大阪桐蔭は、一人一人がしっかりと体をぶつけながら鋭く前に出るディフェンスで対応。10分すぎまで両チーム無得点の時間が続きます。

 ようやくスコアが動いたのは13分。桐蔭学園はFW陣が鋭い出足で大阪桐蔭の反則を誘うと、CTB坪井悠選手がPGに成功。3点をリードします。一方の大阪桐蔭もすかさず反撃。直後のキックオフから全員が集中した動きで攻め込むと桐蔭学園の反則を誘発します。このチャンスにSO矢守勇生選手が落ち着いてPGを決めて3対3の同点に追いつきました。

 追いつかれた桐蔭学園は、一進一退の攻防が続く中、今度はビッグプレーで試合を動かします。ハイパントのボールをキャッチした相手をSH竹内楓稀選手が一発でなぎ倒すビッグタックル。敵陣のいい位置での攻撃につなげていきます。そして18分、連続してラックを支配していく得意の形から、最後はFL長尾峻選手がうまくディフェンスのギャップをついて右中間にトライ。ゴールも決めて10対3とリードしました。

 再びリードを許した大阪桐蔭、それでも慌てず反撃します。風上の前半、途中から強くなり始めた風をうまく利用し、キックで桐蔭学園陣内深くまで攻め込んでいきます。そして23分、この試合で優位に立っていたスクラムでプレッシャーをかけて、ゴール前絶好の位置でFKのチャンスをつかむと、素早い仕掛けからPR國分僚太選手が中央にトライ。ゴールも決めて10対10の同点に追いついて前半を折り返しました。

反撃を試みる桐蔭学園を退けた大阪桐蔭 連覇へ一歩前進!

 サイドの変わった後半、押し気味に試合を進めたのは大阪桐蔭でした。絶対的な自信を持つスクラムで再び優位に立つと、徐々に桐蔭学園を自陣深くまで押し込んでいきます。そして後半8分、敵陣ゴール前のチャンスにしっかりとスクラムをコントロールして左に展開すると、最後はNO8竹崎司選手からのオフロードパスを受けたWTB上原健新選手がトライ。15対10としてこの試合はじめてのリードを奪いました。

 それでも、差はワンチャンス逆転可能な5点。後半は風上にまわった桐蔭学園は、この後はキックを使ってエリアを確保しながら反撃を試みます。しかし、ボールにうまく絡んで桐蔭学園の連続攻撃を許さない大阪桐蔭の前に、大事なところでペナルティーを奪われて、チャンスをものにすることができません。逆に、ピンチをしのいだ大阪桐蔭は、残り時間も少なくなってきた後半の24分、桐蔭学園のペナルティーでトライラインまで25m付近まで攻め込むと、ラインアウトからのモールをFW陣がしっかりとコントロールしてじわりじわりと押し込んでいきます。最後は、SH福島悠右選手がトライエリアに飛び込んで勝負を決定づけるトライ。20対10、大阪桐蔭が東の横綱・桐蔭学園を見事に撃破して準決勝進出を果たしました。大会連覇に向けて、また一歩前進です。

最後の最後に見事な逆転トライ!東海大大阪仰星が全勝で準決勝進出

 そのほかの試合、プール戦2連勝中の東海大大阪仰星(大阪)と1勝1敗の東福岡(福岡)の対戦も、最後の最後まで目が離せない試合となりました。

 勝つか引き分けでプール戦の1位が確定する東海大大阪仰星と、同じプールのもう1試合の結果によっては、勝利すれば十分に逆転での準決勝進出の可能性がある東福岡。前半は両チームが点を取り合う展開の中、東福岡が抜け出します。7対14とリードを許した21分に、ラインブレークしたSO川添丈選手をフォローしたSH黒木真洸選手のトライで2点差に迫ると、25分にはキャプテンのNO8須藤蔣一選手のトライで逆転。ゴールも決めて19対14とリードします。

 後半に入っても東福岡の勢いは止まりません。後半2分に川添選手の絶妙なキックで敵陣深くまで攻め込むと、素早くボールを動かしながら、最後はPR勝又篤選手が中央にトライ。ゴールも決めて26対14として試合の流れを引き寄せたかに見ました。

 しかし、ここから東海大大阪仰星が驚異の粘りを見せます。粘り強いディフェンスで、その後の東福岡の攻撃を迎えると、13分過ぎからは我慢強くボールを継続しながら敵陣に攻め込んでいきます。そして後半17分、仰星らしいグラウンドを広く使う攻撃から、途中出場のCTB一色遥斗選手が左隅にトライ。難しい角度のコンバージョンキックをSO菊池敬太選手が見事に決めて26対21と5点差に詰め寄りました。

 さらにロスタイムに突入した後半28分、息詰まる攻防の中、全員が集中した素晴らしい動きで東福岡陣内深くまで攻め込みます。相手ボールのスクラムにプレッシャーをかけて東福岡のペナルティーを誘発すると、ミスなくボールをつないでいく連続攻撃を仕掛けて、トライラインに迫ります。最後はうまく体を反転したNO8米谷翔馬選手が中央に飛び込んで同点のトライ。菊池選手が慎重にゴールを決めて28対26と、東海大大阪仰星が、最後の最後の逆転で見事に3連勝。グループリーグを全勝で突破し、準決勝進出を決めました。

 5月1日のプール戦最終日。そのほかのプールでは、長崎北陽台(長崎)に圧勝した御所実(奈良)と、選抜大会準優勝の京都成章(京都)を無得点に抑えて完勝した佐賀工(佐賀)が、それぞれ3連勝でベスト4進出を果たしました。準決勝は、大会史上初めての4チームともが日本勢の顔合わせとなりました。

【サニックスワールドラグビーユース交流大会 第3日結果(男子15人制)】
東海大大阪仰星(大阪) 28-26 東福岡(福岡)
京都工学院(京都) 36-33 バーカーカレッジ(オーストラリア)
ラトゥカダヴレヴスクール(フィジー) 99-3 ベゼハイスクール(大韓民国)
佐賀工(佐賀) 26-0 京都成章(京都)
大阪桐蔭(大阪) 20-10 桐蔭学園(神奈川)
SGSフィルトンカレッジ(イングランド) 24-8 ジェングオハイスクール(中華台北)
ハミルトンボーイズハイスクール(ニュージーランド) 61-7 東海大相模(神奈川)
御所実(奈良) 40-10 長崎北陽台(長崎)

*準決勝(5月3日)組合せ
御所実(奈良) 対 大阪桐蔭(大阪)
佐賀工(佐賀) 対 東海大大阪仰星(大阪)