高校ラグビー世代の国際大会、サニックスワールドラグビーユース交流大会は2日目の4月29日、8試合が行われました。
<御所実vsハミルトンボーイズハイスクール>両者の強みが発揮される白熱の展開
大会1日目に東海大相模(神奈川)との激戦を制した御所実(奈良)が、この大会で4回の優勝を誇るニュージーランドの名門・ハミルトンボーイズハイスクールと対戦しました。
規律のとれた素早いディフェンスと鍛え上げられたモール攻撃に自信を持つ御所実と、ひとりひとりのスピードとパワー、ハンドリング技術の高さをベースとしたランニングラグビーが持ち味のハミルトンボーイズハイスクール。ハミルトンボーイズのハカで始まったこの試合、前半から両チームが強みを発揮し合う白熱の展開となります。
先制したのは御所実でした。開始7分、鋭い出足で敵陣深くまで攻め込むと、得意のモールを巧みに押し込んでトライ。さらに11分、SO中俣翔太選手のキックパスに上手く反応したFB富田琉生選手が、左隅に飛び込んで幸先よく10点をリードします。
一方、風上のハミルトンボーイズも焦らず反撃。15分にBK陣が一瞬のスピードの違いを見せつけて追撃のトライを奪うと、18分にはFW陣が力強さとオフロードパスを巧みにつないでいくスキルレベルの高さを披露して逆転のトライ。ゴールも確実に決めて14対10。その後は両チーム1トライずつを取り合って、前半は19対15とハミルトンボーイズの4点リードで折り返します。
チームが“一塊”となる伝統のモール攻撃で劇的な逆転トライ
サイドのかわった後半、先にペースをつかんだのはハミルトンボーイズでした。風下の中、確実にボールをつないで御所実陣内深くまで攻め込むと、後半2分にPGで3点を追加。6分には連続して素早くボールをリサイクルしていく得意の形から、PR ダールヘイデン選手が中央にトライ、ゴールも決めて29対15として勝負の流れを引き寄せたかにみえました。
しかし、ここから御所実が驚異の粘りをみせます。11分に、FB富田選手のこの日2本目のトライで29対20と9点差に詰め寄ると、その後は風上を上手く利用してキックでエリアを確保しながら、ディフェンスでプレッシャーをかけてハミルトンボーイズを自陣の深い位置までし押し込んでいきます。
そして後半の20分、中俣選手の絶妙のキックでトライエリアまであとわずかまで迫ると、ラインアウトからのモールを一気に押し込んでトライ。富田選手がゴールも決めて29対27、ついにPGでも逆転可能な2点差まで迫りました。
ロスタイムも含めて残り時間は約5分。逃げ切りを図るハミルトンボーイズと逆転を狙う御所実。手に汗握る攻防が続きます。2点差のまま試合は後半のロスタイムへ。ここで、ハミルトンボーイズが自陣でハイタックルの反則、やや右よりゴールまで35m付近で御所実にチャンスが訪れます。この場面で御所実はPGを狙わずにタッチキックを選択。鍛え上げてきた伝統のラインアウトからのモール攻撃に全てをかけます。そして、まさにラストワンプレー、トライラインまで15m付近のラインアウトからモールをつくると、大型選手を揃えた相手に対してFW全員が一塊となってじわじわと押し込んでいきます。
最後はFW陣だけでなくBK陣もモールに加わって劇的な逆転トライ。32対29、御所実がニュージーランドの強豪相手に鮮やかな逆転勝ちを収めました。前日の東海大相模戦に続く激闘を制してグループリーグ2連勝です。
桐蔭学園と大阪桐蔭がグループリーグ1位での準決勝進出をかけ対戦へ
そのほかの試合、フィジーのラトゥカダヴレヴスクールと京都成章の対戦も終盤にドラマが待ち受けていました。
25分ハーフで行われたこの試合、19対17とリードを許した京都成章が、後半の22分に自陣の深い位置から見事なカウンター攻撃をしかけて逆転、22対19と3点のリードを奪います。しかし、ロスタイムに突入した後半の26分、ラトゥカダヴレヴハイスクールがFW陣の執拗な連続攻撃から最後はゴールポストの左横にボールをねじ込む執念のトライで再逆転。第1日目には、佐賀工にラストワンプレーで逆転を許したラトゥカダヴレヴスクールがうれしい今大会初勝利です。
そのほか、日本勢では桐蔭学園(神奈川)、大阪桐蔭(大阪)、長崎北陽台(長崎)、東海大大阪仰星(大阪)、佐賀工(佐賀)が勝利。ともに2連勝の桐蔭学園と大阪桐蔭は、グループリーグ1位での準決勝進出をかけて、5月1日に対戦します。
【サニックスワールドラグビーユース交流大会2025 第2日結果(男子15人制)】
桐蔭学園(神奈川) 43―14 SGSフィルトンカレッジ(イングランド)
御所実(奈良) 32―29 ハミルトンボーイズハイスクール(ニュージーランド)
大阪桐蔭(大阪) 55―7 ジェングオハイスクール(中華台北)
バーカーカレッジ(オーストラリア) 52―24 東福岡(福岡)
長崎北陽台(長崎) 19―14 東海大相模(神奈川)
ラトゥカダヴレヴスクール(フィジー) 26―22 京都成章(京都)
東海大大阪仰星(大阪)36―7 京都工学院(京都)
佐賀工(佐賀) 36―0 べゼハイスクール(大韓民国)