高校ラグビーの近畿大会もいよいよ大詰め。2月24日に決勝戦が行われました。

大阪桐蔭は開始10分で12点のリード

 決勝の舞台に勝ち上がってきたのは、大会3連覇を狙う大阪桐蔭と、東海大大阪仰星や常翔学園、関西学院と強豪校を次々と打ち破ってきた京都成章。大一番独特の緊張感が漂う中、試合はいきなり動きます。

 手崎颯志主将が「試合開始から全員が集中していい入りができた」と振り返ったように、大阪桐蔭が開始直後のチャンスをものにします。キックオフから鋭いプレッシャーをかけて敵陣でのマイボールラインアウトにつなげると、ひとりひとりがしっかりと前に出た後、WTBモレノ経廉ザンダー選手がタッチライン際を快走。そのまま30m以上を走り切ってトライ。難しい角度のゴールをFB吉川大惺選手が決めて7点をリードします。

 先制点で勢いの出た大阪桐蔭は、さらに10分、今度は22mライン付近でボールを受けたモレノ選手がカバーディフェンスに来た複数の選手たちを振り切ってそのままトライ。12対0とリードをひろげました。
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 「みんながつないで託してくれたボール。ライン際はトライをとりきることが僕の仕事、絶対にとると思っていた」とコメントしたモレノ経廉ザンダー選手。抜群のスピードだけでなく体幹の強さを感じさせる走りでチームに勢いをもたらしました。

京都成章・高萩選手「FW陣は互角に渡り合えている手ごたえがあった」

 一方、開始10分で、小さなミスから12点のビハインドを背負った京都成章。ここから冷静に立ち直ります。関崎大輔監督の「ここは我慢、我慢。後半勝負だぞ」の声掛けに選手全員が奮起。持ち味である運動量で大阪桐蔭と互角に渡り合うと、徐々にボールを支配して大阪桐蔭陣内に攻め込んでいきます。そして19分、トライラインまで5mのラインアウトから鮮やかにサインプレーを決めてCTB高萩誠人選手がトライ。12対5と7点差に迫って前半を折り返しました。

 高萩選手が「前半は我々BK陣のミスから失点してしまったが、FW陣は互角に渡り合えている手ごたえがあった」と語った京都成章。後半も、フィジカルを前面に圧力をかけてくる大阪桐蔭と互角以上にわたりあいます。そして後半10分、FW陣が執拗に連続攻撃を繰り返した後、ペナルティーからの早い仕掛けでPR辻子倫太朗選手が中央にトライ。ゴールも決めてついに12対12の同点に追いつきました。

 序盤のリードを追いつかれた大阪桐蔭。しかし、手崎主将が「0対0の(試合前と同じ)状況に戻っただけ。全員が次のキックオフから『行くぞ』という気持ちだった」と振り返ったように、直後のキックオフから全員が素晴らしい集中力をみせます。連動した動きで京都成章に襲い掛かると、敵陣の深い位置でマイボールを確保してチャンスにつなげていきます。そして14分、鋭い縦突破の連続でトライラインまであとわずかまで攻め込むと、最後は途中出場のHO金井琉晟選手がトライ。17対12として再び5点のリードを奪いました。

 それでも差は5点。ワンチャンスで逆転可能な点差だけに、両チームにミスが許されない緊張感漂う時間が続きます。お互いがキックでエリアを探る慎重な攻防の中で、勇気をもって仕掛けたのが大阪桐蔭でした。後半18分、キックを受けた大阪桐蔭のモレノ選手が、相手の守備陣形をみて判断よくカウンター攻撃。一気に京都成章のディフェンスを突破すると、「スペースが見えたのでそのまま行ききろうと思った」とフォローしたFB吉川選手が中央に回り込んでトライ。吉川選手自らがゴールも決めて24対12、再び差を12点にひろげました。

大阪桐蔭・手崎主将「近畿大会を通してレベルが少し上がった」

 これで試合の流れを引き寄せた大阪桐蔭。残り時間も落ち着いて敵陣で試合を進めていきました。刻々と時間は過ぎてそのままノーサイド。最後まで京都成章にリードを許さなかった大阪桐蔭が王者の戦いぶりで見事に大会3連覇達成しました。「経験が少ないチームだったが、近畿大会を通してレベルが少し上がった。この優勝を過信とせずに自信をもって全国(選抜大会)に臨みたい」と語った手崎主将。1か月後の選抜大会に向けて、力強い言葉とともに大会を締めくくりました。

 なお、決勝戦に先立って行われた選抜大会の第3・第4代表決定戦では、御所実(奈良)が45対14で関西学院(兵庫)を下して、近畿地区の第3代表権を獲得しています。

【決勝】
 大阪桐蔭 24-12 京都成章

【第3・第4代表決定戦】
 御所実 45-14 関西学院
 ※御所実が第3代表権を獲得


(MBSスポーツ解説委員 宮前 徳弘)