高校ラグビーの近畿大会はきょう(2月24日)決勝。準決勝の戦いを振り返ります。

関西学院vs京都成章 関西学院のモールディフェンスにうまく対応した京都成章が決勝へ

(画像:京都成章 米本啓太朗選手)

 第1試合は、準々決勝で同じ兵庫県のライバル報徳学園に見事な逆転勝ちを収めた関西学院と、東海大大阪仰星、常翔学園と大阪勢2校に競り勝ってきた京都成章の対戦。試合開始から京都成章が優位に試合を進めます。攻守ともに規律のとれた戦いぶりで、9分と22分にトライ。前半を12対0とリードして折り返します。

 一方の関西学院も後半に入ると反撃。報徳学園戦と同様に、全員がひたむきに前に出続けてチャンスをつくると、5分にSO木山仁平選手がトライ。ゴールも決めて7点を返すと、10分にはCTB西浦章博選手がPGに成功、12対10と2点差まで詰め寄ります。

 しかし、京都成章は慌てませんでした。モール攻撃の核となったLO関口志人選手が「前半は、関西学院さんがモールへの対応を工夫してきて、途中から押し切ることができなかったが、相手の(モールディフェンスの)やり方が分かったので、後半も自信をもってモールを押すことができた」と語ったように、15分にモールを押し込んでHO米本啓太朗選手が追加点となるトライを奪うと、PGで3点を加えた26分には、再びモール攻撃から米本選手がトライ。粘る関西学院を突き放しました。

 米本選手が「去年の(京都工学院に敗れた)京都大会決勝は、スタートで出場した自分も含めて本当に悔しい経験だった。その悔しさを胸に、今は全員がまとまって戦えている。近畿大会を勝って選抜でもいい成績を残して、今年は花園へAシードで臨みたい」と語った京都成章。安定感抜群と強さを見せて決勝進出です。

御所実vs大阪桐蔭 御所実が一時は同点まで追いつくも…大阪桐蔭が振り切り決勝進出

(画像:大阪桐蔭 手崎颯志選手)

 続く第2試合は、準々決勝で京都工学院を後半に振り切った御所実と大会3連覇を狙う大阪桐蔭の対戦。

 前半は、大阪桐蔭がペースを握ります。開始直後の御所実の攻撃を持ち味であるしっかりとしたコンタクトで防ぐと、18分にはFW陣がモールを押し込んだ後、左に展開してWTBモレノ経廉ザンダー選手がトライ。26分にも大阪桐蔭らしい力強い縦突破の連続から再びモレノ選手がトライを奪って12対0とリードします。

 一方、前半は大阪桐蔭の圧力の前になかなかチャンスを作り出せなかった御所実。ハーフタイムに竹田寛行監督が飛ばした熱い檄とともに立ち直ります。持ち味のディフェンスでプレッシャーをかけていくスタイルで大阪桐蔭を自陣深くまで押し込むと、5分と11分に得意のモール攻撃からトライを奪って12対12の同点に追いつきます。

 それでも、大阪桐蔭は落ち着いていました。キャプテンの手崎颯志選手が「ミスや失点は起こること。ここから落ち着いて、3点でも5点でもいいから勝ち越そうとみんなに話をした」というようにプレッシャーをかけてくる御所実に対して冷静にキックを使ってエリアを獲得すると、21分にFB吉川大惺選手が確実にPGを決めて3点のリードを奪います。さらに試合終了間際にも絶妙のタッチキックからつかんだチャンスを冷静にPGに結びつけて粘る御所実を振り切りました。大阪桐蔭、大会3連覇まであと一つです。

報徳学園vs常翔学園 一進一退の攻防を制したのは常翔学園

(画像:常翔学園 岡本慶次選手)

 準決勝と並行してユニバー記念補助競技場で行われた選抜大会の出場権をかけた代表決定戦は、強風の中、2試合ともに最後まで目が離せない大熱戦になりました。

 第1試合、報徳学園と常翔学園の対戦は、追いつ追われつの大激戦。序盤、風上の報徳学園が先制しますが、常翔学園が前半のうちに逆転。19対14とリードしてこのまま押し切るかと思われました。しかし、ここから報徳学園が驚異の粘りを見せます。後半は風上に立った常翔学園に何度もリードをひろげられながらも、そのたびに決定力のあるバックス陣が奮起。しぶとく食い下がって、27分にはCTB近藤尊選手のトライでついに29対28と1点差まで詰め寄ります。残り時間が少なくなる中、逆転を狙ってその後も攻め続ける報徳学園と懸命のディフェンスをみせる常翔学園。息詰まる攻防が続きましたが、最後は常翔学園の勝利への執念が勝りました。

 「最後は(報徳学園の粘りがすごくて)苦しかったが、全員で意思統一できた。自分たちの限界をつくらずに気持ちで押し切れた」と岡本慶次主将が語った常翔学園。難敵を振り切って選抜大会の出場権獲得です。

京都工学院vs天理 堅い守備で勝利を手繰り寄せた京都工学院が選抜大会出場権を獲得

(画像:京都工学院 杉山祐太朗選手)

 続く第2試合、京都工学院と天理の伝統校同士の対決も、強風の難しいコンディションの中、前後半でゲームの流れが大きく入れ替わる展開となります。前半は、風上の京都工学院のペース。キックを使ってエリアを獲得すると、京都工学院らしいスピーディーな展開から9分にWTB林祐龍選手が先制のトライ。その後も着実に得点を加えて、前半だけで19対5と大きくリードを奪います。

 しかし後半に入ると一転して天理ペース。積極的にキックを使って仕掛けると、京都工学院を自陣深くまで押しこんで攻め続けます。そして16分、ライバル御所実に対抗するために鍛え上げてきたモールからの攻撃でHO稲塚潤選手がトライ。ゴールも決めて19対12と1チャンスで同点可能な7点差に迫ります。

 その後も、京都工学院を自陣にくぎ付けにして攻めこむ天理。23分過ぎには、トライラインまであとわずかまでに迫って何度も何度も突破を試みます。しかし、キャプテンの杉山祐太朗選手を中心とした京都工学院の堅い守りは、最後まで崩れませんでした。自陣のトライラインを背に、5分以上続いた苦しい時間を守り抜きました。

 杉山主将は「目標の近畿大会優勝は達成できなかったが、次のフォーカスである天理に勝って選抜大会にいくというチャレンジに結果がついてきてよかった。後半は苦しい時間帯が続いたが、伏見工の時代から受け継いできた、試合に出られない仲間の分も体を張り続けるというディフェンスがきょうの試合は発揮できた」とコメント。京都工学院は後半、ほとんどの時間を自陣で戦いながら粘り強いディフェンスで勝利を手繰り寄せました。チームの成長にとって貴重な機会となる選抜大会への出場権獲得です。

【高校ラグビー近畿大会(2月22日)結果】
▼準決勝
京都成章 32-10 関西学院  
大阪桐蔭 18-12 御所実  

▼選抜大会代表決定戦
常翔学園  29-28 報徳学園
京都工学院 19-12 天理   
(常翔学園と京都工学院は選抜大会への出場権を獲得)

 2月24日に行われる決勝戦は、近畿大会3連覇を狙う大阪桐蔭と1月のサニックスワールドラグビーユース交流大会予選会に続く優勝を狙う京都成章の対決となりました。

▼決勝(2月24日)
大阪桐蔭 対 京都成章  午後0時30分キックオフ 神戸総合運動公園 ユニバー記念競技場