高校ラグビーの聖地に、笑顔がはじけた。40代以上のラガーマンたちによる花園ラグビー場(東大阪市)での、1試合かぎりの復活劇。

リーグONEに所属する花園近鉄ライナーズとNTTドコモレッドハリケーンズ大阪とのエキジビジョンマッチを含めて、10月8日から3日間にわたって行われた、「マスターズ花園2022」大会。母校のジャージに身を包んだ、18校の元高校ラグビー戦士たちが、無心で楕円球を追いかけた。試合は、前後半20分ずつ、前半は55歳以上限定。選手たちが、年齢別に色分けされたパンツとともにグラウンドに登場すると、会場には万雷の拍手が鳴り響いた。

キックの距離やランニングスピードは、落ちたとしても、往年のチームワークや、戦う闘志は健在。一つ一つのプレーごとに、掛け声が飛び。暖かい歓声がこだまする。いい動きが出来たときは勿論、ミスがおきたとしても、終始笑顔。トライ寸前で足がもつれて転倒。最初は、悔しがっても、周囲からの励ましに、すぐに笑顔。昔の仲間との至福のひと時。ラグビーが楽しくて仕方がないという空気が会場を包み込んだ。

60歳以上の選手にはタックル禁止。それでもヒートアップしてくると、必然と攻防は激しくなる。未然に危険なプレーが起きないように細心の注意で試合をコントロール、「想定外の方向から人が飛び込んでくる」と普段の倍以上に神経をつかったというレフリーの面々だが、こちらも笑顔。

後半は、54歳以下の選手たちによる戦い。よりスピーディーに、さすが伝統校というコンビネーションや、スキルフルなプレーが、随所に続出。どの試合も最後まで目がはなせない大熱戦が繰りひろげられた。

大会を通して、奮闘を見守ったスタッフは「(マスターズチーム同士の)9試合はアッという間だった。本当に濃密な2日間だった」と振り返った。

ナイター照明が点灯した最後の試合では、ノーサイド寸前のラストワンプレーで松戸市立松戸高校が逆転。最後の最後に逆転されたにもかかわらず、名古屋市立名古屋工芸高校のOBたちは「最高の体験でした。ありがとうございました」 と笑顔を見せた後、グラウンドに一礼してから、会場を後にした。

大阪の伝統校同士の対決、北野高校との一戦で敗れた、天王寺高校出身の元日本代表の松永敏宏さんは、「この大会で、OB同士のきずなが深まった。今は(敗れたことが)悔しくて仕方がない。明日から来年に向けて体をつくります」と、早くも来年にむけての抱負を口にした。

ラグビーの持つ素晴らしさと、仲間との絆の大切さ。久しぶりに家族の中でヒーローになったお父さんの姿を目に焼き付けてくれた「マスターズ花園2022」大会。冬の現役世代による全国高校ラグビー大会は、勿論、早くも、2023年のマスターズ花園大会が、待ち遠しくなってきた。

MBS制作スポーツ局 宮前徳弘

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