第710回番組審議会報告
2026年7月 7日開催

第710回番組審議会報告 2026年7月7日開催

■出席委員 曽我部真裕委員長、栗栖義臣副委員長、小川明子委員、小島幸保委員、佐藤卓己委員、田中謙吉委員、津村記久子委員

■毎日放送出席者 虫明社長、酒井常務、髙山取締役、礒澤取締役、奥田取締役、羽根総合編成局長、三澤報道情報局長、和田プロデューサー、樋江井ディレクター、東野コンプライアンス局長、東郷広報部長、中西番組審議会事務局長

◆報告事項
 MBSグループ創立75周年を機に、2026年9月1日付で社名を「株式会社MBS」に変更することを報告した。

◆審議事項 
(1)2月13日放送のニュースの検証内容について
【概要】
2026年2月13日のニュースで、傷害事件の加害者として報じた男性2人が不起訴となり、問題を総括する検証・謝罪放送(同年7月5日)を実施した。
【三澤報道情報局長】
・一方の当事者に取材をせず、基本原則をおろそかにした。
・男性2人が傷害事件の加害者であると断定的に伝えてしまった。
・事実確認を十分にしていれば避けられた。
・研修会を開き取材の原則を周知徹底した。
・編集段階のチェックリストを導入した。
【各委員の主な意見は次の通り】
・社会的な問題という面があったにもかかわらず、事件報道のモードで取材したのではないか。
・信頼あるメディアとして問われるのは、むしろ問題が起こった時にどういう対応をするかである。
・テレビというメディアの持つ力は大きい。双方の話をしっかり聞くというのは基本にしていただきたい。
(2)テレビ番組
映像’26「それでも働きたい~障がい者の就労と尊厳~」       
【番組概要】
滋賀県大津市に暮らす深田澪音さんは脳性まひによる重度障がいを抱えながらも前向きに就職活動に挑む。しかし彼女の前には職場での介助は助成の対象外となり月30万~40万円もの負担がかるという制度の壁が立ちはだかる。2022年には国連から日本政府に対し「職場でヘルパーを利用できるようにすべき」との勧告も出されたが状況は変わらないままだ。ひとりの女性の静かな挑戦と就労への道のりを通して、この国の社会参加のあり方を考える。
【各委員の主な意見は次の通り】
*就業中の介護利用が認められないという厳しい状況が本当に伝わってきた。すばらしいドキュメンタリーだと感じた。
*全般的に見た時に非常に元気になるいい構成になっていた。
*澪音さんのように社会で働きたいと思っている人の気持ちがストレートに伝わってきた。このような人を見つけて密着して番組を作ることはとても大事なことだと思った。
*深田さんご一家と信頼関係があってこその番組だと思った。いろいろ考えさせられるとても意義のある番組だと思う。
*番組を通じて親の視点がとても感じられた。親子の会話のシーンの放送を許したご家族の方はすばらしいと思った。
*日常生活のヘルパー利用と職場通勤のヘルパー利用を比較する表をもう少し早く出した方がよかったと思った。
*現場の人の努力に負ってしまっているところが非常に多いので、現場による差も大きいと感じた。
*2022年に国連から是正勧告も受けながらも変わらない現状で、苦しみながら就労に 向かって戦っているご本人やご家族の思いがすごく心に響いた。
*ヘルパー助成が仕事に使えないとか、国連の是正勧告を受けているということは知ら なかったので非常に勉強になった。
*海外の事例を取り上げて対比し、なかなか改善しない日本の現状が浮き彫りになってとてもわかりやすかった。
*海外と日本とではそもそも社会の状況があまりにも違い過ぎるので一概に比較するの は難しいのではないか。
*もう少し前向きな情報も欲しかった。日本が前向きに頑張っているところも紹介しつつ、それでも議論が進まないというような形にしてもよかったのではと思った。
*国家予算における社会福祉の予算の比率が海外と比べてどうなのか伝えてもよかったのではないか。
*杉並区や海外の事例が果たして本当に必要だったのか。澪音さんだけで番組を作っても十分成り立ったのではないか。
*障がい者の就労は、リモート勤務やAIの活用が進んで働きやすくなるのではと思う一 方で、少子化でヘルパーの数も減っていく中で今後大きな社会問題になるのではないか。この番組はいい問題提起だと思った。
【番組制作者側の説明、質問への回答】
*澪音さんが普通に働きたいという思いで突き進む姿を芯に据えたいと考えていたので他の取材とのバランスは悩んだ。
*海外と一概には比較できないとは思うが、何らかの海外の事例は入れたほうがいいと思った。
*澪音さんだけで1本やると、どうしても身体障がいにフォーカスし過ぎてしまい、例えば知的障がいの人はどうなのかなどバランスを欠くのではと考えた。
*ヘルパー不足やヘルパーの賃金の現状など、いろいろな問題点を注視しながら、今後も番組作りを通して問いかけていきたいと思う。


  

以上