川辺康子さんは、大阪市西成区にある団地の一室で「にしなり☆こども食堂」を運営しています。週に3回のペースで開く食堂には、赤ちゃんから大人まで40人ほどが、やって来て、いつも賑やか。食事は、全て無料です。
これまで、10年以上にわたり親や子をサポートしてきた川辺さんはいま、新たな取組を始めようとしています。食事を提供するだけでは、根本的な解決にもならないと実感したそうです。そこで、家を借り、子どもや親と同居しながら生活の立て直しを図る試みを始めました。「スモールハウス」と呼ばれるマンションの一室にまず引っ越してきたのは、およそ1年前から食堂に通っている親子。母親は、過去に夫からの暴力を受けた経験があり、母子寮を転々としていました。不安からか、睡眠導入剤や精神安定剤の服用が止められないそうです。息子は、小学4年生。まだ、少し母親に甘えたい年頃です。でも、生活習慣が乱れ、小学校は休みがちです。そんな親子が始めた川辺さんとの自立への取り組みですが...。
自らの生活を顧みず、食堂に集まる子どもや親たちを温かく見守る川辺さんの日々を見つめます。
月1回、それも日曜日深夜の放送という地味な番組ながら、ドキュメンタリーファンからの根強い支持を頂いており、2020年4月で放送開始から40年になります。
この間、番組は国内外のコンクールで高い評価を受け、芸術祭賞を始め、日本民間放送連盟賞、日本ジャーナリスト会議賞、更にはテレビ界のアカデミー賞といわれる国際エミー賞の最優秀賞を受賞するなど、輝かしい成果を上げてきました。また、こうした長年にわたる地道な活動と実績に対して、2003年には放送批評懇談会から「ギャラクシー特別賞」を受賞しています。
これからも「地域に密着したドキュメンタリー」という原点にたえず立ちかえりながら、より高い水準の作品をめざして“時代を映す”さまざまなメッセージを発信し続けてまいります。