白く華麗な姿から「白鷺城」とも呼ばれる世界遺産で国宝の「姫路城」。そんな人気の観光地で3月1日に始まったのが、「入城料」を市民とそれ以外で区別するいわゆる「二重価格」です。

 姫路市は、城の維持管理費を確保するためなどとして、これまで18歳以上は「1000円」だったところを市民は「1000円」のまま据え置きつつ、市民以外は2.5倍の2500円に値上げしました。

 今後、こうした「二重価格」は日本で広がっていくのか?価格戦略に詳しいアリックスパートナーズのパートナー&マネージングディレクター・山城和人氏への取材を交え、現場を取材したMBS・米澤飛鳥解説委員が解説します。

向こう10年の維持・管理費はこれまでの約2倍に?

 姫路城の2024年度の年間入城者数は約153万人でした。日本人と外国人の比率は6:4程度だということです。

 築城から400年ということもあり、維持・保存費用は2015年度~2024年度で約145億円。2025年度~2034年度の10年の試算では、資材や人件費の高騰も加味され、約280億円が見込まれています。

 この維持・保存費用は、入城料のほか、姫路市の市税や国の税金も投入されてまかなわれています。

3月1日から「二重価格」スタート

 そうした中で3月1日に「二重価格」が開始しました。

 これまで、18歳以上は1000円でしたが、姫路市民は1000円で据え置き、姫路市民以外は2.5倍の2500円に引き上げられました。

 市税を納めていることや、景観の保全に協力していることなどが、姫路市民の料金が据え置きとなった理由のようです。

 一方、18歳未満は一律で無料となりました。

市民と市民以外で購入方法に違いは? 初日の様子を取材すると…

 入城券は、姫路市民以外は自動券売機で購入し、姫路市民は有人受付で購入するというオペレーションです。「二重価格」初日となった3月1日の来城者は約3000人でこのうち、姫路市民は47人だったということです。

 1日に取材すると、姫路市民の人が購入方法を間違え、本来1000円で良いところ、2500円の券を間違えて購入してしまい、払い戻しを受けたというケースも。しかし、オペレーションで大きな混乱はなく終えられたと市の担当者は話していました。

「2.5倍の入城料」市民以外の来城者の反応は?

 市民以外の人はこの入城料についてどう思っているのでしょうか?

 来城者に話を聞くと、「高いな」という声も聞かれたものの、大きな反発の声はありませんでした。特にインバウンド客は価格差をそれほど気にしていない印象で、城の維持・管理に使用するためと説明すると、「それなら納得できる」というリアクションが多く見られました。

入城者数減少も…収入は増える?

 今回の二重価格導入でこの先の見通しはどうなっているのでしょうか?

 市の試算によると、全体としての入城者数は2割減の一方で、入城料の収入は、年間10億円ほど増えるのではないかということです(2024年度比)。

 桜の時期やゴールデンウィークは非常に混雑して、入城までかなりの時間を要することもありますが、そうした時期にスムーズに入城できるといった効果も期待できるかもしれません。

価格の“線引き”をどこでするか

 二重価格にはメリットもありますが、反対の声も。今回もどこで価格の“線引き”をするかをめぐり、さまざまな議論がありました。

 2024年の段階で姫路市の清元秀泰市長は、「インバウンド」かそうでないかで線引きする案もあると国際会議で発言。訪日外国人の入城料を約4倍にする案や、価格が違うのはグローバルスタンダードだという発言もありましたが、他府県からの意見も踏まえて慎重な議論を重ねた上で、「姫路市民」で線引きすることになりました。

「全員が納得できる二重価格はなかなかない」

 取材を通して感じたこと、それは「全員が納得できる二重価格はなかなかない」のではないかということです。今回は姫路市民・市民以外で価格が分けられましたが、他府県民からすると「維持・管理費などは国税からも出ている。自分たちの税金も使われているのでは」という意見があることも考えられます。全員が納得する制度にするのは難しいかもしれません。

 価格戦略に詳しいアリックスパートナーズの山城和人氏は「収益の最大化だけを考えると支払い意思が高いインバウンドと分けるべき」と指摘します。

 実際、全国に11か所ある国立博物館や美術館は、訪日外国人の入館料を高く設定することを検討中だということです。訪日外国人への対応コストや国の交付金(税)による負担の増大が背景にあるということです。

(2026年3月2日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)