全国的に雨が少ない今、各地で深刻な水不足が続いています。奈良・大滝ダムでは26日午後4時現在、貯水率が6.7%まで低下し、「取水制限」が始まりました。今後の状況によっては、家庭の給水に影響が出るおそれもあります。

 雨不足で乾燥した状態が続くと、健康面への影響も。これからの時期につらくなる「花粉症」を悪化させるリスクもあるようです。

 「渇水」「乾燥」は生活にどのような影響を及ぼすのか?私たちができることは?水ジャーナリスト・橋本淳司氏、済生会横浜市東部病院・谷口英喜医師に聞きました。

過去最低の貯水率…奈良・大滝ダムで始まった『取水制限』とは?

 貯水率が過去最低の「6・7%」まで低下し、26日に「取水制限」が始まった奈良・川上村の大滝ダム。管理支所では節水を呼び掛けていて、住民は風呂の湯を減らすなどの対応を余儀なくされています。

 (大滝ダム管理支所 田尻正幸支所長)
 「平成25(2013)年に運用開始してから過去最低水位となっています。25日の降雨ではそこまで貯水率に変化はありませんでした。洗濯の“ため洗い”など節水にご協力をお願いしたい」

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 取水制限とは、川やダムから汲み上げる水の量を制限することで、噴水などの修景用水(景観を良くするための水)を止めて節水をはかります。これは家庭には影響のない予防的な措置です。

「シャワーの勢いが…」暮らしに影響する『給水制限』とは?

 一方、私たちの暮らしに影響するのが「給水制限」。各家庭に送る水の量を制限する措置です。橋本淳司氏によると、具体的には次の2つの対応が取られます。

 1つ目が水圧を下げることで水量を減らす「減圧給水」。「シャワーの勢いが弱くなった」と感じたり、高層階では水量が70%近く減ったりする場合もあるそうです。したがって、節水型シャワーヘッドで影響を少なくするなどの対策が必要になります。

 2つ目が「断水」。現時点(26日午後4時時点)では「夜間に水が出なくなる」など深刻化しているところはありませんが、今後も雨不足が続いた場合、生活に大きく影響してくるかもしれません。

 (水ジャーナリスト・橋本淳司氏)
 「このあと深刻になってくると、『取水制限』だけでなく、水需要を見つつ『給水制限』に入っていくので…」

「茶色」は要注意! 給水制限で水が濁る?

 給水制限が実施されると、水道管内を流れる水のスピードが変わって「水が濁る」場合も。

 白く濁っている場合は空気が混ざっているだけなので今まで通り使用できますが、茶色く濁っている場合は「サビ」が混ざっているため使用できません。

 水道から出てくる水の色にも要注意です。

「カビ臭物質を放出」水道水の“におい”に異変も…

 「給水制限」されていない場合でも、水道水に異変が出るケースも。それは「におい」です。

 茨城・水戸市では1月末までに「水道水からカビや土の臭いがする」との問い合わせが多数寄せられています。

 水戸市水道局によると、「河川の水位が低下してくると、植物プランクトンの一種が川底に発生し、カビ臭物質を放出するようになる」とのこと。水質には問題ないということです。

 対策としては「活性炭が有効」(橋本氏)と言いますが、雨がたくさん(特にダムがある場所に)降らない限り、根本的にはにおいが無くならないということです。

雨不足で体調が悪くなる!?

 雨不足の影響は健康面にも…

 医師によると空気が乾燥すると気道粘膜が乾燥しバリア機能が弱まることで、インフルエンザなどに感染するリスクが高まるといいます。

 (済生会横浜市東部病院 谷口英喜医師)
 「体の“外側の乾燥”もいけないし、“体中の乾燥”もいけない。両方とも健康維持には害になってきますね」

 ※気道粘膜=鼻・のど・気管・肺とつながる、気道の内側を覆う湿った組織

「花粉から水分が抜け…」さらに悪化?これから辛い花粉症

 また、これからの時期、空気の乾燥が「花粉症」を悪化させる恐れもあるようです。

 そもそも今年度のスギ雄花の芽の数は、過去10年の平均値と比較して、大阪府で3.15倍、京都府で2.72倍となるなど増えています(環境省調査)。

 そこに加えて、昨今の雨不足で空気が乾燥すると、「花粉から水分が抜け軽くなることでより遠くに飛び、吸い込む機会が増える」(谷口医師)と言います。

 さらに、前述した気道粘膜のバリア機能が低下すると、症状が悪化するおそれも。

「花粉侵入を防ぎつつ保湿」乾燥&花粉症の対策は?

 乾燥や花粉症の対策として、医師が推奨するのは「マスク」。

 「外からの花粉侵入を防ぎつつ、マスク内の湿気で気道粘膜を保湿」する効果があるということです(谷口医師)。

 また、加湿器の設置や定期的な水分補給で、体の内と外から保湿することが大切になってくると言います。

 2月26日午後4時時点で、佐賀県・奈良県は「取水制限中」、長野県・愛知県・高知県・愛媛県・福岡県は「給水制限中」、香川県・徳島県は24日からの雨で一時解除中という状況です。

 シャワーを1分短縮するだけで約10リットルの節水になります。私たち一人ひとりが節水を心がけ、水不足を乗り越えていきましょう。