今回の衆院選で“高市旋風”に乗り316議席を獲得した自民党。18日召集の特別国会では高市氏が再び総理大臣に選出され、いよいよ高市政権が本格始動します。

 野党は弱く、党内の反対勢力も影を潜め、“無敵”にも見える高市政権。今後、衆議院の各委員会の委員長も決まっていきますが、ここに総理の本音や優先順位が見え隠れすると言います。

 「人事」から見る今後の政治の行方について、政治ジャーナリスト・今野忍氏に見解を聞きました。

◎今野忍:政治ジャーナリスト(元朝日新聞 政治部) 菅・岸田総理の番記者などを歴任 与野党を幅広く取材

「大事なところは全部取り戻した」委員長・審査会長ポスト

 いよいよ本格始動となる高市政権。今注目が集まっているのが、委員会・審議会(本会議での審議に先立ち法律案・予算などを審査)の委員長・審査会長の人事です。基本的には議席数に応じて分配され、与野党の話し合いで決まります。

 法案の生死を決める27ポスト。自民党が大敗した2024年の衆院選後は与党15(野党12)でしたが、今回は与党25(野党2)と、ほとんどを与党が独占する見込みです。

 (今野忍氏)「端牌(ハジパイ)の2つをあげて、予算や憲法など大事なところは全部取り戻した」

 議事進行・整理に関する権限を持つ委員長・審査会長について、今野氏は「法案の生殺与奪を握っていると言っても過言ではない」と言います。

 (今野忍氏)「やりたくなければ、委員会を強制的に終わらせてしまう、審議しないなど、委員長はかなり権限がある。だからこそフェアにやらなければならない。与党がやるなら野党に配慮、野党がやるなら与党に配慮、と。しかし人間ですからね…」

「参院に理解してもらえるか…」坂本哲志前国対委員長が就任へ【予算委員会長】

 特に注目されている重要ポスト「予算委員長」には、坂本哲志前国対委員長が就任する見込みです。

 予算については「1日も早く成立させたい」としている高市総理。予算審議の慣例は80時間(約2か月)ですが、今回は異例の短時間審議となるかもしれません。

 ただし、参議院では少数与党の自民党。今野氏は「参院で30日以内に議決されない場合は“みなし否決”となって時間がかかる。参院側に理解してもらえるかどうか」と言います。

「ほぼ高市さんと同じテンション」安倍元総理の側近・古屋圭司氏が就任へ【憲法審査会長】

 もう1つの重要ポスト「憲法審査会長」には、安倍元総理の側近で、自民党の選挙対策委員長である古屋圭司氏が就任する見込みです。

 この起用について、今野氏は「SPがつく党四役を外してまでの就任には驚き。想像を超えてきた。最側近かつ安倍元総理時代からの盟友で、改憲の意欲が強く、ほぼ高市さんと同じテンション。どちらかと言うと、多少反対があっても圧倒的多数を持っている以上、(改憲を)進めて良いのではないかという考えの人」と言います。

 一方、参院・憲法審査会では立憲民主党の議員が委員長を務めているため、「参議院でブレーキがかかる可能性がある」(今野氏)と言います。

 ※憲法審査会=日本国憲法に関する調査を行い、憲法改正の原案などを審査する

「絶対に維新に渡さないと思っていた」維新からは2委員長が就任へ

 一方、維新が委員長を務めると見られているのは「政治改革特別委員会」と「法務委員会」の2つ。

 “センターピン”としていた「定数削減」や、連立政権合意書で記載されていた「日本国国章損壊罪の制定」「旧姓使用の法制化」について話し合われる両委員会のトップを維新が担うことになりそうです。

 この動きについて今野氏は、「定数削減を話し合う委員会を維新が取った。高市総理と吉村代表は本気でやるつもりなのだろうと。僕は、ここは絶対に維新に渡さないと思っていた。自民党はみんな反対しますから。国民も中道も反対。賛成している人は、維新と高市総理以外、聞いたことがない」

 また、維新が提示した12の政策(連立政権合意書)について「しっかり見ておいた方が良い。これに沿ってやっていくと思う」と今野氏は指摘しています。

高市政権の3つのリスクとは?

 高市政権に死角はあるのか?考えられるリスクとして今野氏が挙げるのが、「マーケット(金融市場)」「対米・対中関係」「失言」の3つです。

 (今野忍氏)「高市総理だけではなく、66人の新人議員も含めて、失言とスキャンダル。あと、マーケットは手ごわい。対話しながらやっていかないといけない」