暖かい日が増え、春の兆しを感じるきょうこの頃。週末14日・15日の予想最高気温は、近畿各地で4月並みとなっています。そうすると気になってくるのが「花粉」。花粉症の悩みが増えてきそうです。ことし予想される花粉の飛散量は?どういったときに花粉が増えるのか?前田智宏気象予報士が解説します。
また、花粉症がなくなる未来はくるのか?スギ花粉の最新研究について、東京農業大学・小塩海平教授、神奈川県自然環境保全センター・齋藤央嗣主任研究員への取材内容を交えてお伝えします。
いよいよ花粉シーズン…花粉飛散量は過去10年の平均と比べて「3倍前後」に!?

この週末、いよいよ本格的に花粉シーズン入りする可能性があります。前田智宏気象予報士は、花粉が飛びやすい気象条件として
▽気温が高い
▽風が強い
▽空気が乾燥している、ことを挙げています。大体2~3日ほど気温が高い状態が続くと花粉が本格的に多く飛び始めるということで、この週末はまさにその条件に当てはまるとみられます。特に15日(日)は、やや風の強まるところもあるとみられ、多くの人に症状が現れはじめるおそれがあるということです。
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日本気象協会の予測によると、2月の中旬、まさに今が「花粉の飛び始め」のタイミングで、ピークは3月の上旬から中旬頃にかけてになるということです(2026年1月15日発表)。
【スギの雄花の花粉生産量(今年度 過去10年と比べて)】
◆大阪府:3.15倍
◆京都府:2.72倍
◆奈良県:3.12倍
◆徳島県:2.57倍
(出典:環境省)
▼今年は「裏年」なのに…
花粉の量は、多く飛散する“表”の年と少なめの“裏”の年が1年交代ほどであり、今年は裏年となります。しかし、環境省が去年11月から12月にかけて、花粉を飛ばすスギの雄花がどれぐらい芽をつけているかを観測した結果、京都・大阪・奈良では過去10年の平均と比べて、3倍前後となっています。裏年とは言えないような花粉の多さになる心配があるということで、早めに対策を本格的する必要がありそうです。
こうした中、花粉症がなくなる未来を切り開くかもしれないスギ花粉の最新研究があります。
最新研究その1:「雄花だけを枯らして花粉を飛ばさない方法」

まずは、東京農業大学の小塩海平教授が研究している「雄花だけを枯らして花粉を飛ばさない方法」です。
花粉ができる8~10月ごろに、雄花に「花粉飛散防止剤」をかけます(植物油由来の物質で人体や環境への影響は少ない)。これをスギが異物と判断し、8割ほどの雄花が枯れ花粉を飛ばさなくなる、というものです。
1回の散布で翌春の花粉飛散を軽減されますが、効果は1年のみということで、毎年同じ対応を続けていくということです。
2年後の実用化を目指しているこの方法のメリット・課題は以下の通り。
○メリット
■人体への影響は少ない
■使われるはずの栄養が木材の成長を促進
○課題
■コストが高い
薬剤とヘリコプターで1haあたり10万円(重点区域の散布だけで1000億円必要)
最新研究その2:偶然発見!“花粉だけができない”無花粉スギ

もう1つは、神奈川県自然環境保全センター・齋藤央嗣主任研究員が研究を進める「無花粉スギ」の発見と実用化です。
1992年、富山県で5000本に1本の割合で存在する「花粉だけができないスギ」が偶然発見されました。花粉を作りませんが種は作るため、繁殖は可能だということです。
この「無花粉スギ」は、富山・神奈川で植栽や苗木の生産など実用化が進んでいます。
○メリット
■スギの利点(保水・土砂流出防止など)を維持したまま花粉対策が可能
○課題
■苗木のコストが高い
普通の苗:150~200円
無花粉苗:300円
■植え替えに時間がかかる
こうした研究で「コスト」が課題となっていますが、もう一つかかってくるのが「医療費」です。2019年の厚生労働省の調べによると花粉症による保険診療は約3600億円、市販薬は約400億円にも上っています。また、花粉による労働力低下の経済損失額は1日あたり約2450億円(パナソニック調べ・2026年)で、多くの人が苦しんでいるのが現状です。
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また、丸田佳奈医師は最近の傾向として
▽子どもの発症年齢が年々低年齢化している
▽65歳以上で発症する人もいる、ということを挙げていて、花粉を家に入れないなど、生活上の工夫が大切だということです。