2月8日の投開票が迫る衆議院選挙。各政党の「顔」である党首の街頭演説を聞くと、選挙戦の行方が見えてきます。各党首は演説で何を語ったのか。そのときの聴衆の様子はどうだったのか…また、「何を語らなかったのか」から戦略が垣間見える場面も。後編の今回は、政党要件を満たす11政党のうち「日本維新の会 藤田共同代表」「国民民主党 玉木代表」「減税日本・ゆうこく連合 原口共同代表」「参政党 神谷代表」「日本保守党 百田代表」「れいわ新選組 大石共同代表」の演説をMBS米澤飛鳥編集長が直接取材しました。
【日本維新の会】藤田文武共同代表 党の“存在意義”が問われる正念場

選挙戦唯一の日曜日だった2月1日。日本維新の会・藤田文武共同代表が公示後初めて関西入りしました。
(日本維新の会 藤田文武共同代表)「自民党は本当に腰が重たい。大組織でなかなか動かない。日本を前に進められる、開かなかった扉を開くことができる。そんな思いで、死ぬ気で、それを前に進めようと取り組んでいる高市さんと一緒に進められるのは、私たち維新の会です」
自民党との連立に関して、多くの時間を使って演説をしていました。
維新にとっては去年10月に自民党と連立を組んでから初めてとなる国政選挙。演説に集まった人は…
「改革ですね、改革マインド。言ったことは必ずやってくれるから、だから信頼できますよね」
「実行力というところは日本維新の会はあるのかなと思っている」
大阪で積み上げてきた“実績”が評価される一方で…
―――大阪以外での人気についてどう思う?
「イマイチね。東京、頑張ってもらわないとね」
「(東京では)通りすがりの人もフンという感じで通ってはるでしょ」
今回、自民党との選挙区調整をせず、85の選挙区で競合。JNNの終盤の情勢調査では自民単独で過半数を大幅に上回る勢いで、維新の“存在意義”が問われる正念場の選挙です。
―――維新としての存在感をどう発揮していく?
(日本維新の会 藤田文武共同代表)「とにかく改革を求めてやっていくという政党ですから、おそらく僕たちが存在感を示せなくなると、大組織である自民党があぐらをかく可能性もありますから。自民党の動かない部分を動かしていくのは私たち維新の会だと思いますので、高市政権を支える、そしてむしろエンジンとなりアクセル役となるのが維新の会だということがしっかり伝わっていくようにやりたいと思います」
【国民民主党】玉木雄一郎代表 枠組み変化で岐路に…存在感どう示す?

(米澤編集長リポート)「玉木代表の演説がいま始まりました。集まっている人たちですが、仕事帰りとみられる人、男性の姿が非常に多いのが印象的です」
(国民民主党 玉木雄一郎代表)「国民生活、頑張る皆さんの生活が少しでも安定できるような経済政策や手取りを増やす政策をしっかりと訴えながら、この選挙戦を堂々と戦い抜いていきたい」
ラッシュアワーの大阪駅でこう訴えた国民民主党の玉木雄一郎代表。国民民主党は「年収の壁」の引き上げをはじめ“現役世代”を重視した政策などで支持を拡大。前回の衆院選、去年の参院選、それぞれ議席を大きく増やし躍進しました。
(有権者)「現役世代への政策が多いというのは、自分もそれに当てはまる年代なので高評価していますね」
(有権者)「政策本位と言っているからいいかなって。ガソリン代も下がったし」
去年、年収の壁の引き上げについて自民党と合意したことなど、演説でも“党の実績”を強調します。
(国民民主党 玉木雄一郎代表)「今回の選挙が前回までとは違うのは、私たちは明確な実績をつくりました。ガソリンの暫定税率の廃止、年収103万円の壁の178万円までの引き上げ。政策実現野党だからこそ、われわれの訴えていることには現実性があるんです、皆さん」
ただ、JNNの終盤の情勢調査では国民民主党は公示前の議席を維持できるか微妙な情勢で、去年の参院選ほどの勢いはありません。
(国民民主党 玉木雄一郎代表)「“風”は自分で吹かすものだと思っていますから。動いて動いて旋風をつくっていきたい。前回も最後の3日、4日でしたよね、ぐーっとのびたのは。だからここからだと思います」
与党、野党ともに枠組みが変わるなか存在感をどう示していくのか、岐路に立たされています。
【減税日本・ゆうこく連合】原口一博共同代表 “公約発表見送り”異例の選挙戦に

(減税日本・ゆうこく連合 原口一博共同代表)「このたび、減税日本・ゆうこく連合という政党を政党要件5人を満たすことによって立ち上げました」
所属していた立憲民主党と公明党が合流した中道改革連合には参加せず、自ら新たな政党を立ち上げた減税日本・ゆうこく連合の原口一博共同代表。
解散の翌日に新党結成を表明するなど、混乱含みの選挙戦となっています。
その余波は衆院選で掲げる公約にも。
(減税日本・ゆうこく連合 原口一博共同代表)「それぞれ別々にやって、そして共通部分をこれからすり合わせていきます。消費税についても、こちら(減税日本)は5%、うち(ゆうこく連合)はゼロということだから、当選した後にすり合わせていきます」
河村共同代表と消費税をめぐる考え方などで折り合えなかったため、党としての公約発表を見送るという極めて異例の事態となっています。
あわただしい船出となった選挙戦。幅広く支持を得られるのでしょうか。
(減税日本・ゆうこく連合 原口一博共同代表)「僕らは命がけで、日本のこの汚れた政治を正していきます。皆さん、われわれと一緒にお金、取り戻そうじゃありませんか」
【参政党】神谷宗幣代表 自民・中道に次ぐ190人の候補者擁立

1月31日。南海・堺東駅前はものものしい雰囲気に包まれていました。
(米澤編集長リポート)「これから参政党・神谷代表の演説が始まります。警察官が多く出ており警備が厳重になっています。さらにアナウンスで『シュプレヒコールや妨害行為はおやめください』と呼びかけています」
(抗議の声)
「全然おもろないんじゃ、ボケ!」
「極右は帰れー!」
抗議の矛先となっていたのは参政党の神谷宗幣代表。演説で強く訴えたのは「外国人受け入れの総数制限」です。
(参政党 神谷宗幣代表)「日本を移民国家にするのか、それとも人口はある程度減っても1人1人のGDPをあげて、人口はそんなに多くないけど世界の中で安心して暮らせるそれなりの国にするのか、こういったことを考え提案するのが国会議員の仕事じゃないんですか」
(有権者)「移民問題が一番気になっていて、子どもたちの未来を託せるのは参政党しかいないのかなと」
(有権者)「『日本人ファースト』というのが若い者からすると、日本を一番考えてくれている党が頑張ってほしいなと思って」
去年の参院選、参政党は「日本人ファースト」を掲げ議席を大幅に増やし、躍進。
しかし、自民党の高市政権も外国人政策の担当大臣を新たに設け、「国籍取得の厳格化」を盛り込んだ政策を取りまとめるなど、いまや各党が外国人政策に力を入れています。
―――各党が『外国人政策』を訴えていることについては?
(参政党 神谷宗幣代表)「非常にいいことだと思っていて、我が党が問題提起した価値があったなと思っています。でもそれで『埋没しているんじゃないか』と言われるんですけど、国の政策が良い方に進むことであれば、そのためにわれわれは政治をやっているので」
今回の選挙には自民党、中道改革連合に次ぐ190人の候補者を擁立。参院選の時のような“風”を再び吹かせることはできるのでしょうか?
【日本保守党】百田尚樹代表 「移民政策の抜本的見直し」強く訴え

(日本保守党 百田尚樹代表)「移民はもういらん。これを合言葉にね、私たちは日本人を、日本を守ろう。日本を取り返しましょう」
日本保守党の百田尚樹代表が今回もっとも強く訴えているのは「移民政策の抜本的見直し」。聴衆からは大きな拍手が上がります。
(有権者)「移民政策をけっこう出しているので。移民はちょっと…という思いがあるので、それで聞こうかなと」
(有権者)「移民政策とかそういったところでも少し推せるところがあったので」
日本の伝統的な価値観や国益重視などを掲げ2023年に結党された日本保守党。前回の衆院選で得票率2%を達成し国政政党となり、去年の参院選でも外国人政策を訴えて議席を獲得しました。
(日本保守党 百田尚樹代表)「移民というのは政策を一歩間違えるとその国自身が変容してしまう。私は相当、移民の深刻さを国民はひしひしと、年々それを感じていると私は実感しています」
今回の選挙戦では、ほかの党からも「外国人政策」が次々と打ち出される中、“埋没”せずに違いをアピールできるのでしょうか?
(日本保守党 百田尚樹代表)「集まってくれる人は私たちの言葉にすごく賛同してくれているけど、これが実際に票につながるかどうかはわかりません」
【れいわ新選組】大石晃子共同代表 “看板不在”の選挙戦 議席獲得なるか

(米澤編集長リポート)「JR大阪駅前でれいわ新選組の大石共同代表の演説が始まりました。これから1時間、大石さんだけで演説ということになります」
(れいわ新選組 大石晃子共同代表)「今回も選挙で43人、裏金議員が立候補。ふざけてません?国民なめまくっていますよね」
JR大阪駅前で行われた、れいわ新選組・大石晃子共同代表の街頭演説。
(れいわ新選組 大石晃子共同代表)「消費税廃止、消費税はさっさと廃止で景気を上げる。これをみんなで実現したいんです」
演説で繰り返し出た言葉が…
(れいわ新選組 大石晃子共同代表)「“山本太郎”が2019年かられいわをつくって」「“山本太郎”のそういう熱で生まれたんですよ」「“山本太郎”のバトンを引き継いだひとりやと」
2019年の結党以来、党の「顔」として圧倒的存在感を示してきた山本太郎代表。1月、健康上の理由で議員辞職と無期限の活動休止を表明。今回の衆院選は山本代表不在でのぞむこととなりました。
―――山本代表がいない初めての選挙は?
(れいわ新選組 大石晃子共同代表)「やっぱり山本太郎を見に来るという人は多いですから、たぶん山本太郎だったらもっと人が来ているだろうなとか、そういうことは感じています。ベストを尽くせば、結果として数字は箱を開けないと分かりませんので。だからとにかく諦めない、集中するという、ただそれだけですね」
JNNの終盤情勢調査では、議席が獲得できるか微妙となっているれいわ新選組。2月5日夜、東京で急きょ、療養中の山本代表が街頭演説に。
(れいわ新選組 山本太郎代表)「力をひとつにしていきたいんですよね。力を貸してほしい。自民党に300議席なんて渡すわけにはいかない」
“党の看板”が戻ったことで巻き返しとなるのでしょうか?
各党の党首演説から見えたことは?

実際に各党トップの演説を取材した米澤編集長が、それぞれの現場で感じた雰囲気や、見るべきポイントを解説します。
▼維新・藤田共同代表(神戸市内での演説を取材)
取材した演説で特徴的だったのは、自民党との連立に関する言及が中心だった点です。これまでの“改革”の実績や、社会保障、定数削減、副首都法案など具体的な政策への言及は限定的でした。
藤田共同代表は演説後の取材に対し、「自民が議席を伸ばすことになれば、連立を組んでいるのでむしろ歓迎です」と述べていましたが、維新の存在感が今後どのように発揮されていくのかが注目されます。
▼国民・玉木代表(大阪市内での演説を取材)
JR大阪駅前で行われた演説には、平日夕方ということもあり仕事帰りとみられる現役世代の姿が目立ちました。有権者からは「年収の壁」の引き上げなどの実績を評価する声が聞かれ、ターゲットとする層に届いている印象です。また、演説後には聴衆との写真撮影や動画撮影に長時間応じるなど、SNS戦略に注力していることが伺えました。
▼ゆう・原口共同代表(名古屋市内での演説を取材)
原口共同代表と河村たかし共同代表の間で消費税に関する考え方に相違があったことから、党としての公約発表は見送っての選挙戦となりましたが、TBSの政策アンケートには「消費税廃止」と回答しています。また、原発・エネルギー政策については「原発への依存が固定化されることは避けるべきであり、将来的には原発に依存しないエネルギー構造への転換を目指す」としています。
▼参政・神谷代表(大阪・堺市内での演説を取材)
土曜午後に行われた演説ということもあり、家族連れや若者など幅広い現役世代が多く見られました。一方で、会場周辺では『排外主義反対』などのプラカードを掲げる人や大声を上げる人の姿もあり、警察による厳重な警備が行われるなどものものしい雰囲気の中での演説となりました。
▼保守・百田代表(大阪市内での演説を取材)
各党が「外国人政策」を打ち出すなか他党との「違い」が見えにくくなっている印象ですが、演説の中で「移民」という言葉を繰り返し述べていました。百田代表は、技能実習生や留学生なども含め「国際的には全部移民である」と定義。TBSの政策アンケートでも「増える一方の移民の数を規制すべきだ」と回答しています。
▼れいわ・大石共同代表(大阪市内での演説を取材)
威勢の良い関西弁の演説を見せた大石共同代表ですが、演説後のインタビューでは山本太郎代表の不在に対し「党存亡の危機」と不安を漏らす場面もありました。なお、山本代表は2月5日から演説に入っています。党関係者などによりますと、厳しい情勢を受けて応援に立ち始めたのではないかということです。
▼投開票直前 注目は選挙戦の締めくくり「マイク納め」
マイクを使用した演説は投開票日前日(2月7日土曜日)の午後8時まで。最後の演説は通称「マイク納め」と呼ばれます。党首が自身の思いを一番強く訴える場面であり、感極まるなどといったエモーショナルな一面を垣間見ることもあります。場所も重要で、結党の「聖地」や激戦区など、各党の戦略や思いが凝縮されるポイントです。