衆議院選挙の投開票日がせまるなか、注目されているのが兵庫県尼崎市の『兵庫8区』。これまで公明党が議席を取り続けてきた「牙城」ともいわれる小選挙区ですが、公明党の連立離脱・立憲と公明による『中道』結成で構図が一変しています。
立候補しているのは、届け出順に以下の5人です。
▼自民・新人 青山繁晴候補(73)
▼中道・新人 弘川欣絵候補(50)
▼共産・新人 板東正恵候補(45)
▼維新・前職 徳安淳子候補(64)
▼れいわ・新人 長谷川羽衣子候補(44)
30年ぶりの自民党候補、公明党ではなく『中道』の新顔、共産党の新人、連立入りした維新の前職、れいわの新人…構図一変の兵庫8区で争う各候補者の訴えを取材しました。
中道・新人弘川欣絵候補(50) "公明党の牙城”で中道から立つ 「食料品の消費税を恒久的にゼロ。これを秋から始める」

新党・中道改革連合公認の弘川欣絵候補(50)。初めての国政選挙に挑戦です。
そんな新人候補のもとに選挙戦初日、さっそく党のトップが応援に駆けつけました。マイクを握ったのは、公明党の代表を務めていた中道・斉藤鉄夫共同代表です。
(中道改革連合 斉藤鉄夫共同代表)「弘川欣絵さん、弘川欣絵さん。どうか、どうか押し上げていただきたい」
(中道・新人 弘川欣絵候補)「中道改革連合、そして弘川欣絵、頑張って、頑張って、頑張っていきますので、どうか皆さま、最後の最後までよろしくお願い申し上げます」
党の代表が真っ先に応援に来る力の入れよう。というのも、中道改革連合にとって兵庫8区は「負けられない選挙区」なんです。
兵庫8区では1996年に、のちに公明党の幹事長や国土交通大臣を務めた冬柴鉄三さん(当時:新進党)が議席を獲得。自公の連立政権が発足すると、2009年を除き全ての選挙で勝ち続けてきたことから、兵庫8区は「公明党の牙城」とも言われています。
その兵庫8区で選挙に挑む弘川候補。17年にわたる人権派弁護士としての経験から「弱者の救済」や「憲法9条を守る」ことなどを訴えています。
(中道・新人 弘川欣絵候補)「食料品の消費税を恒久的にゼロ。これを秋から始めさせていただきます」
弘川候補の選挙活動には、常に公明党関係者の姿が。一人でも多くの人と握手できるようサポートしたり、幹部がビラ配りを指示したり。組織力を生かして強力にサポートしています。
(公明党兵庫県本部 谷井勲幹事長)「立憲民主党の皆さんも我々のことを受け入れてくださっていて、本当にいい関係でやれている」
選挙活動を終えると、弘川候補は事務所ではなくまっすぐ自宅へ戻ります。シングルマザーとして娘との時間を大切にしたいのだといいます。
(中道・新人 弘川欣絵候補)「帰って『きょう何があったん』って聞いてあげなあかんなと思っています。娘が選挙と関係なく、自分のペースで話をしてくれるのを聞くと(自分も)リラックスしたりして、ちょっと日常に戻れるかな」
自民・新人 青山繁晴候補(73) 30年ぶりの自民党候補 「私は自由民主党の外国人政策に基本的に反対です」

一方、「公明党の牙城」に自民党が送り込んだのが、新人の青山繁晴候補(73)。参議院からのくら替えで、テレビ出演歴もあり知名度は抜群。自民党としては実に30年ぶりの公認候補です。
(有権者)「(自民党から)30年ぶりに出てこられたので有権者としても選択肢が広がってうれしいかなと思いますね」
青山候補は「政治とカネの問題からの決別」や、「北朝鮮の拉致被害者救出」などを主張していますが、演説では自民党批判も展開します。
(自民・新人 青山繁晴候補)「私は自由民主党の外国人政策に基本的に反対です。『人手不足でみんな困っているので外国人を入れざるを得ない』と。『政府としては日本人に労働機会をつくるためにこんな努力をした』と。うそこけって。日本の高齢者、あるいは学歴その他の理由ではじかれている人、それから氷河期世代の人、十分働けますよ」
「自分に投票してほしい」とは呼びかけず、ひたすら政策について訴えます。
神戸で生まれ高校卒業まで兵庫県内で育った青山候補。選挙区となる尼崎は出身地ではありませんが…
(自民・新人 青山繁晴候補)「正直、思い切って(立候補して)よかった。だいたい肌に合う。神戸市長田区生まれというのもあると思うけど、似ていますよね、庶民性が。(尼崎で)いいところを歩いていっぱい見つけましたよ」
ただ、30年ぶりの公認候補として戦う今回の選挙、知名度があるとはいえ、そう簡単にはいかないと気を引き締めて臨んでいます。
(自民・新人 青山繁晴候補)「自由民主党の小選挙区って30年やっていない。僕のことを多少ご存知の方がいても、テレビに出演していたことがあっても、『小選挙区で尼崎で何してんの?』と。僕が主権者でもそう思う。これはたぶん最後の日までついてまわる。だから簡単に30年のロスは埋まらないです」
維新・前職 徳安淳子候補(64) 唯一前職として立候補 「社会保障しっかり改革して皆さんに実感していただきたい」

日本維新の会公認の前職・徳安淳子候補(64)。前回の選挙では、比例復活で初当選しました。
支持者を見つけると即座に駆けより、投票を呼びかけます。
(維新・前職 徳安淳子候補)「頑張りますね。厳しい選挙やから広めてくださいね」
この選挙区で唯一、前職として立候補している徳安候補。「連立政権に入った維新の候補者だからこそ、政策を実現できる」と訴えます。
(維新・前職 徳安淳子候補)「野党と与党の違い、大きく違います。だから私たちも与党として皆さんの思いを前に進める。教育の無償化もそう、給食の無償化もそう、前に進められるから一緒になって、もっともっと世の中を変えたいんです。社会保障しっかり改革して皆さんに実感していただきたい。『よかった。これで手取りが増えた。お金が使える』そのような状況をこの先つくっていきたい」
国会議員として永田町と尼崎をせわしなく往復してきた徳安候補。地元に帰るとき新幹線で飲む缶チューハイがささやかな“癒やし”だったそうです。
(維新・前職 徳安淳子候補)「(Q選挙期間中は飲酒せず?)いや、飲んでいますよ。寝られないですもん、ピリピリして。かといって一つだけ申し上げたいのは、飲みすぎてはないですから。一応」
徳安候補は、再選がかなえば引き続き地元・尼崎に根ざして活動していきたいと考えています。
(維新・前職 徳安淳子候補)「おこがましいかもしれませんが、『いつも振り向いたら徳安がいるから安心だ』と思っていただけるように活動してまいりましたので。『いつでも尼のおばちゃんがいるよ、そばにいるよ』ということをお伝えしていきたいなと思っています」
共産・新人 板東正恵候補(45)「利益に応じた税の負担をしっかり求めていくことが必要」

共産党公認で新人の板東正恵候補(45)。地元・尼崎で中小企業の経営相談などに向き合ってきた経験をもとに、「消費税減税」や「大企業や富裕層の課税を強化すべき」などと主張します。
(共産・新人 板東正恵候補)「史上空前の利益をあげている大企業や大株主に、利益に応じた税の負担をしっかり求めていくことが必要だと思うんです。企業・団体献金を1円も受け取らない日本共産党だからこそ、どんなに大きな企業にも正々堂々とものが言える。今度こそ、日本共産党に託してください」
れいわ・新人 長谷川羽衣子候補(44)「SNSをどのように扱っていくのか、国会でしっかり話し合う」

れいわ新選組公認で新人の長谷川羽衣子候補(44)。SNSでの発信を武器に支持拡大を狙います。長谷川候補は、自身が誹謗中傷を受けた経験から「SNSなどに対する国の対策が急務」だと訴えます。
(れいわ・新人 長谷川羽衣子候補)「ネット上でデマがまん延して、その結果、選挙結果がゆがめられるという事態が起こっています。私も少し投稿すれば、大量の誹謗中傷がつく。SNSをどのように扱っていくのか、付き合っていくのか、これを国会でしっかり話し合い、私たちの民主主義をしっかり守っていく」
「公明党の牙城」から構図が一変した兵庫8区での選挙戦。有権者はどのような判断を下すのでしょうか。