JNNが1月28、29日の両日に実施した衆議院選挙の序盤情勢調査によると、自民党が議席を大幅に増やし、単独過半数をうかがう勢いであることがわかりました。連立を組んだ日本維新の会は公示前の34議席を維持できるか微妙な情勢ですが、自民と維新を合わせた与党としては、安定的な国会運営が可能になる『絶対安定多数』261議席を超える勢いとなっています。この情勢の読み解き方と関西の注目選挙区の最新情報について、MBSの米澤飛鳥編集長の解説をもとにまとめました。
政権運営で「絶対安定多数」が持つ意味

衆議院の議席数は465。高市総理は解散にあたり、その過半数である233議席を「勝敗ライン」としていましたが、序盤情勢で自民・維新の連立与党はそれを超えて「絶対安定多数」261議席を超える勢いを見せています。
では、絶対安定多数とは何か。
日本の国会は委員会制度を採用していて、本会議のほかに各委員会で実質的な審議が行われます。「安定多数(244議席)」を確保すれば、すべての常任委員会で与党が委員長ポストを独占することができます。さらに「絶対安定多数(261議席)」に達すると、委員長を出した上で、委員の構成でもすべての委員会で過半数を確保できることになります。
そのため、絶対安定多数を確保するということは、法案や予算案を強く与党主導で通過させられるようになるということです。
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一方、立憲民主党と公明党が合流して結成された野党の新党『中道改革連合』は、公示前の合計議席を大きく下回る見通し。ほかの政党の情勢は以下の通りです。
▼国民民主党:公示前の議席を維持できるか微妙な情勢
▼日本共産党:現有8議席から減らす見通し
▼参政党:比例で議席を大幅に増やす情勢
▼チームみらい:比例の複数のブロックで議席を獲得できる見通し
▼減税日本・ゆうこく連合:複数議席を獲得できる可能性
▼れいわ新選組▼日本保守党▼社民党:議席獲得が厳しい情勢
※今回の調査では5割あまりの人が「まだ投票先を決めていない」などと答えていて、今後、情勢が大きく変わる可能性があります。
【関西】注目選挙区の情勢解説

こうした状況のなか、関西の各選挙区では、自公連立の解消や新党「中道」の結成により、これまでにない構図での戦いが繰り広げられています。MBS米澤飛鳥編集長の解説をもとに、各地の情勢を見ていきます。
大阪19区:自民・維新の候補が激しく競り合う

大阪府の貝塚市、泉佐野市、泉南市、阪南市、熊取町、田尻町、岬町から成る大阪19区。
前回の衆議院選挙では維新が全19選挙区を制した大阪ですが、今回の19区では自民元職の谷川とむ氏と維新前職の伊東信久氏が『接戦』を展開しています。
この情勢について、MBSの米澤飛鳥編集長は「高市総理人気」が関わっていると分析します。
(MBS米澤飛鳥編集長)
「自民・谷川さんは高市総理との距離感(の近さ)をPRしている部分があり、『ずっと総裁選で応援してきました』という旨をSNSで積極的に発信されするなどしています。一方で維新・伊東さんは『今回は本当に横一線の戦いだ』ということで、維新の実績など地道に訴える活動を続けています」
谷川さんは自民支持層の5割以上を固め、伊東さんは、維新支持層の5割強の支持を固めている状況。中道・新人の小羽根正代さんが追う展開で、参政・新人の松岡能礼さん、共産・新人の北村みきさんは厳しい戦いです。
ただし、5割弱の人がまだ投票先を決めていないと答えていて、今後情勢が大きく変化する可能性があります。
大阪5区:「未定」の公明支持層がキャスティングボートに

大阪市此花区、西淀川区、淀川区、東淀川区から成る大阪5区には、維新の梅村さん、自民の杉田さん、れいわの大石さん、国民の前田さん、参政の松山さん、共産の港さんが立候補しています。
ここでは維新前職の梅村聡さんが一歩リードし、自民元職の杉田水脈さんとれいわ前職の大石あきこさんが追う展開です。
大阪5区にはこれまで公明党の候補者が立候補していましたが『中道』の結党により今回は立たず、これまで候補者を立ててこなかった自民党から立候補者が出ている、というのが構図の特徴です。
(MBS米澤編集長)
「ここでポイントになってくるのが、この選挙区には『中道』の候補者が出ていないということです。前回の衆院選では公明の比例票が3万票ほどあった選挙区で、これまで公明党を支持してきた人たちが一体どこに投票するのかが一つの焦点になってきます。」
自民の杉田さんは自民支持層の3割強を固めていて、梅村さんは維新支持層のほぼ6割を固めている状況。ただし態度を保留している公明支持層の動向が、勝敗に大きく影響するおそれがあります。
兵庫8区:自公連立解消の影響が色濃く

兵庫県尼崎市の兵庫8区には自民の青山さん、中道の弘川さん、維新の徳安さん、共産の板東さん、れいわの長谷川さんが立候補。
自民で参院から鞍替え出馬の青山さんが一歩リードしていますが、「中道」新人の弘川さん、維新前職の徳安さんが追う戦いとなっています。
兵庫8区はこれまで公明党の候補者がいて、かつ前回の選挙で勝利している選挙区です。
(MBS米澤編集長)
「構図が変わって、自民党の候補者がいなかった区に今回自民・青山さんが立候補しているという状況。知名度では青山さんがやや先行しています。今回の調査では、青山さんが自民支持層の5割以上、弘川さんが中道支持層の7割、徳安さんが維新支持層の6割を固めているというような結果が出ています」
ここでも、約4割が態度を決めかねているという元来の公明支持層の数がカギとなります。終盤に向けて各候補者がどのように支持を広げるかが注目されます。
兵庫9区:知名度の差でリードか

兵庫県明石市、洲本市、南あわじ市、淡路市の兵庫9区では、自民前職の西村康稔さんがリードし、中道の橋本さんが追う展開です。
前回は派閥の政治資金問題(裏金問題)を受け無所属で出馬し苦戦した西村さんですが、今回は自民党の公認を得て盤石な戦いを進めています。
(MBS米澤編集長)
「西村さんは今回は自民の公認も得ていますし、大臣経験などの知名度でリードしているという状況で自民支持層のおよそ7割を固めているということです」
兵庫9区にはほかに参政の山寺さん、共産の伊藤さんが立候補しています。
滋賀1区:「大阪以外での広がり」が試される

滋賀県の大津市と高島市から成る滋賀1区。自民前職の大岡敏孝さんが一歩リードし、維新前職の斎藤アレックスさんが追う形となっています。
連立を組んでいる自民党と維新の会ですが、選挙区の調整はせず、全国で『ガチンコ対決』を繰り広げている状況。
維新の政調会長を務めている斎藤さんが追う展開となっていることについて、米澤編集長は「維新は大阪では多くの選挙区でリードしていますが、大阪以外の場所に出ると支持の広がりというのがまだまだこれから」と見ています。
大岡さんは自民支持層のおよそ6割、斎藤さんは維新支持層の5割を固めているということで、与党同士の自民と維新が競り合う見せる中、滋賀1区でもそれぞれの支持層をどこまで固められるかが焦点となります。
滋賀1区はほかに、国民の河井さん、共産の黄野瀬さんが立候補しています。
JNNは1月28日と29日、インターネット調査を行い、取材を加味して序盤の情勢を分析しました。
今回の調査では、全体のおよそ5割の人が依然として投票先を「決めていない」と回答しています。
今後、各党の政策論争やSNSでの発信が、まだ態度を決めていない層にどう響くのか。選挙の情勢は、最後まで大きく変化する可能性があります。
(2026年1月30日放送 MBS『よんチャンTV』より)