第105回全国高校ラグビーフットボール大会も、いよいよフィナーレ。1月5日には準決勝が行われて、高校ラガーマンの夢舞台・決勝戦に進出する2校が決まりました。

準決勝第1試合は東福岡と京都成章 前半は京都成章が序盤にペース握る

 準決勝第1試合は、準々決勝で東海大相模相手に鮮やかな逆転勝ちをおさめた東福岡と御所実との近畿勢対決を制した京都成章の対戦。

 序盤は、風上の京都成章がペースを握ります。キックを使ってエリアを確保していくと、持ち味の鋭い出足で東福岡を自陣深くまで押し込んでいきます。

 そして前半8分、CTB森岡悠良選手の突破で一気にトライエリアに迫ると、最後はFW陣の執拗な連続攻撃からゲームキャプテンを務めるLO土肥祐斗選手がトライ。これでチームを勢いづけるとさらに22分、再び森岡選手の突破からFW陣が力強く相手を押し込んで中央にトライ、ゴールも決めて12対0とリードします。

 一方、京都成章の圧力の前に、前半は押し込まれる展開が続いた東福岡。それでも前半終了間際の27分、東福岡らしいここぞというときの集中力をみせてトライをとり切ります。
 
 自陣の深い位置から思い切ってボールを展開していくと、WTB平尾龍太選手がタックルをかいくぐって一気に逆襲します。トライライン目前で成章ディフェンスに追いつかれますが、素早くフォローしたFW陣から判断よくボールを持ち出したCTB八尋奏選手がSO藤野桜生選手とつないでトライ。12対5と、1チャンスの差に追い上げて前半を折り返しました。

後半の戦いは? 先にチャンスをつかむのは…

 サイドのかわった後半、どちらが試合の流れを引き寄せるのか、注目が集まるなか、先にチャンスをものにしたのは京都成章でした。

 後半1分、敵陣10メートルライン付近のラインアウトから攻撃を仕掛けると、絶妙のコース取りで走り込んできた森岡選手が抜群のスピードで前へ、最後はWTB篠颯太郎選手からのリターンパスを受けた森岡選手がタックルをなぎ倒してトライ、17対5と再びリードを12点に拡げました。

 さらに5分、京都成章は敵陣10メートルライン付近のスクラムから右に展開すると、SO岡元聡志選手が、うまくタイミングをずらしたランニングで一気に前へ、最後は岡元選手から完璧なタイミングでパスを受けた篠選手が右隅にトライ、このゴールを森岡選手が見事に決めて24対5として勝負の流れを決定づけました。

 京都成章・関崎大輔監督が「ゲームプランどおり、生徒たちが自分たちで分析したことをしっかりと実行してくれた」と語ったように、東福岡の強みや弱み、ディフェンスを分析した上で、確実に、そして見事にプランを遂行した京都成章の選手達。この後も2つのトライを加えて東福岡を突き放しました。

 東福岡の須藤蒋一主将が「最後まであきらめずに東らしく戦おう、という気持ちでみんなが戦ってくれた。今までやってきたことをしっかりやれば、結果はついてくると思っていたが、成章さんがそれを越えてきた。本当に強かった」と涙を見せたように、東福岡も終盤に意地の2トライを返しますが、反撃もここまで。優勝経験豊富な名門校を相手に、見事な戦いぶりで完勝した京都成章、第100回大会以来の2度目の決勝進出です。

準決勝第2試合は優勝候補同士が激突! 桐蔭学園と大阪桐蔭が大激戦

 準決勝第2試合は、3連覇を狙う桐蔭学園と準々決勝で国学院栃木との激闘を制した大阪桐蔭の対戦。優勝候補同士の激突は、期待に違わぬ最後の最後まで目が離せない大激戦となります。

 前半ペースをつかんだのは、桐蔭学園。持ち味の素早い動きと、局面を見極める個々の判断力の高さを発揮して接点で優位に立つと、前半5分、連続してラックを支配する形から右に大きく展開して最後はWTB鈴木豪選手がトライ。幸先よく5点をリードします。

 その後も、押し気味に試合を進めた桐蔭学園。28分には、敵陣でハイパント攻撃を仕掛けると、一人目の選手の鋭いタックルに周囲が反応、ここが勝負とばかりに一気に相手ボールを奪いとると、そのまま休まず攻撃を仕掛けてPR喜瑛人選手がトライ、狙いどおりの形からリードを10点に拡げました。

 一方、前半は桐蔭学園の勢いの前に防戦一方だった大阪桐蔭。ハーフタイムに綾部正史監督が、「笑顔で思いっきり、ラグビーを楽しんでこい」と声をかけると、動きが一変します。集団で攻撃を仕掛けてくる桐蔭学園に対して、大阪桐蔭らしくしっかりと身体をあてて反撃に転じると、徐々に接点で互角以上に渡り合ってチャンスを作り出していきます。

 そして、後半4分、スクラムを押し込んだ後に右に展開すると、うまくディフェンスの裏に抜け出したFB吉川大惺選手からのパスを受けたWTBモレノ経廉ザンダー選手が右隅にトライ。逆風の中、吉川選手が見事にゴールを決めて10対7と3点差に詰め寄りました。

 これで試合の流れは大阪桐蔭へ。後半17分には、自陣深くにせめこまれた形からWTBモレノ選手が相手ボールをもぎ取ると、冷静な判断をみせてキックで一気に敵陣深くまで攻め込みます。このチャンスにラインアウトからのボールがこぼれたところノーバウンドでキャッチした、LO冨永竜希選手がそのままトライ。このゴールも吉川選手が決めて、ついに14対10と逆転しました。

 しかし、さすがは桐蔭学園、リードされても慌てません。キャプテンの堂薗尚悟選手が肩の負傷で途中交代を余儀なくされる中、大事な局面でも変わらずゲームプランを確実に遂行していきます。

 そして22分、FW、BKが我慢強くボールを継続してじわりじわりと前進していくと、最後はFW陣が力でボールをねじ込んでPR喜選手が中央にトライ。ゴールも決めて17対14と再逆転に成功しました。

刻々と迫る残り時間…逆転に次ぐ逆転で勝利の行方は?

 刻々と残り時間が少なくなる中、再びリードを許した大阪桐蔭。それでも選手たちは笑顔でした。後半27分、積み上げてきた1年間の成果を発揮します。

 センターライン付近のスクラムから右に展開すると、それまでのFBから初めてCTBで先発した須田琥珀選手が絶妙のランニングで桐蔭学園のディフェンスを突破すると、須田選手からパスを受けたFB吉川選手が見事に走り切って右隅のトライ、その吉川選手が、逆風の中のコンバージョンキックを、今度はドロップキックになるアクシデントにもめげず鮮やかに決めて21対17と再々逆転に成功しました。

 この時点で場内に発表されたロスタイムは0分。残り時間2分あまりを大阪桐蔭はボールをキープして逃げ切りを図ります。しかし、フルタイムまであとわずかとなったところで痛恨のノックフォワード、まさに、ラスト1プレーで桐蔭学園に最後のチャンスが訪れました。

 センターライン付近からのスクラムから最後の反撃にかける桐蔭学園。しっかりとスクラムを組んで大阪桐蔭の圧力をはねのけると、FW、BK、ベンチやスタンドも含めて全員が一体となって必死の攻撃を仕掛けます。

 一方、何度も何度も立ち上がって渾身のタックルを続ける大阪桐蔭、一旦は、桐蔭学園が後ろにこぼしたボールにNO8竹崎司選手が飛び込みます。しかし、このボールを桐蔭学園が抜群の集中力で奪い返すと、FW陣が低い姿勢で密集サイドを突きながらじりじりと前進していきます。

 そして、30フェイズ以上を重ねて、ついにトライラインに迫ると、最後はPR喜選手が、それまで繰り返し前進していた密集の左サイドから反対の右サイドに持ち出して中央にトライ。最後の最後まで何が起こるかわからない優勝候補同士の激突は、自分たちの強みを最後まで徹底して出し続けた桐蔭学園の劇的な逆転で幕を閉じました。

 桐蔭学園・堂薗主将が、「最後は、仲間たちが、絶対に逆転してくれると信じていた。ただ仲間の頑張りに思わず涙が止まらなかった。この1年間、大阪桐蔭さんという存在があったからこそ、自分たちは成長できた」と激闘を振り返ると、敗れた大阪桐蔭の手崎颯志主将は「最後は、しんどくてもずっと立ち続けてくれる仲間がいると思ってディフェンスしていた。弱い弱いとい合われたチームがここまでのゲームができるチームになった。仲間と共に成長できた3年間は本当に楽しかった」と気丈にも笑顔を見せた後、人混みが解けると「ただ、ここまで来たからには勝ちたかった」と最後は涙をみせてグラウンドを後にしました。

【準決勝の結果/1月5日(月)】
▼京都成章(京都) 38-19 東福岡(福岡)
▼桐蔭学園(神奈川)24-21 大阪桐蔭(大阪)

いよいよ7日に決勝戦!午後2時にキックオフ

 決勝戦は、1月7日(水)。

 「肩は少し痛めたくらい、十分休む時間もいただいたので決勝戦は100パーセントの状態で臨める」と堂薗主将が力強く語った神奈川代表の桐蔭学園と、自身は左ひざのけがの影響で今大会はサポートにまわっている笹岡空翔主将が「成章の良さである前に出るディフェンスで桐蔭学園さんの個々の強みをしっかりと消して、自分たちの流れにもっていったら勝てると思う、決勝は30人の総力戦で戦わないといけない」と語った京都代表の京都成章が激突、3連覇か悲願の初優勝か高校ラグビーの今シーズンの最後を飾る一戦は、午後2時キックオフです。

【第105回全国高校ラグビーフットボール大会 決勝戦/1月7日(水)】
▼京都成章(京都) 対 桐蔭学園 (神奈川)