
桜咲くまで日記 :#3
登坂琢磨
このドラマはファミリー・ドラマ版『青い鳥』だと、HPの冒頭で書かせていただきました。
良く分からないですよねぇ?
でも、メッセージをオープニングVTRの中に潜ませませてみました。
茉樹代さんの歌う主題歌『桜咲くまで』(番組タイトルと一緒!)、そして、映像…。オープニングをよ〜く噛み締めて、このドラマの向かうところを想像してみてください。それも『桜咲くまで』の楽しみ方のひとつですから…。
2週の「うわべは何とか取り繕ってきた3人家族は、今、バラバラだった…」を受けての3週目は、兄・孝文に続いて妹の菜穂子が暴発します。
もしかして、家族がまた一緒になれるのではないか?
淡い期待を抱いた菜穂子の気持ちは、裏切られますが、そこで彼女がとった行動には注目。捨て身の意思表示に出るのです…。
この週は、放送9週の内の最初の山場で、脚本家の倉沢さんが仕掛けた1・2週までの伏線が、大きくはじける、盛りだくさんの展開になりました。
中でも、新星・沢尻エリカちゃんの真っ直ぐな演技、そして精悍なイメージが強い渡辺裕之さんに挑戦して頂いた「かっこよくない」お父さんのお芝居が特に光っています。お楽しみに…。
そこで、少し、お二人の舞台裏をお話しようと思います。
まずは、エリカちゃん。連続ドラマ初出演とも言えるくらいの女優としては新人サンなのですが、そうは見えないおおらかさが彼女の持ち味です。オーディションで見せた度胸は本物でした。いつも笑顔を絶やさず、お芝居も瑞々しく自然にこなしています。でも、やっぱりまだ17歳。ときどき集中力を欠いて、スタッフの話を聞いていなかったり、思わぬところでNGを出したり…。
でも、なんでか、イライラさせられる空気にはならないんですね。彼女の持って生まれた愛嬌というか、なんというか。許されるキャラを持っています。
立ち稽古のときも、真剣に何か本を読んでいるので「よしよし!やる気満々なんだ。台本を熟読してる…」と思って覗いてみると、全く関係のない小説を読んでいたりして…。あれれと思っていると、本番ではぐっと人を引きつける演技を見せたりもします。彼女は案外、大物のようです。このドラマの経験を生かし、是非、大きく羽ばたいて欲しいものです。
帯ドラマの収録は3ケ月間にも及ぶので、食事休憩は俳優さんとご一緒させていただくことがあります。世田谷区砧の東京メディア・シティー(略称:TMC)の近く、よくお邪魔する中華料理「E」で、渡辺裕之さんのホットな一面を知りました。
「みんなも食べろよ。ここのはウマイよ。餃子あと3人前追加〜!」
先に食事を始めていた渡辺さんが声をかけて来ます。定食を注文していたボクたちですが、せっかくですから呼ばれることにしました。
「ラー油に豆板醤を入れて、汗を掻きながら食べるともっとウマイよ」
食べ方の指導が入ります。聞けば、辛いもの好きが嵩じて「七味」はマイ・ブレンド。ご自身で調合されているとか。辛いものを美味しく食べることには拘りがある方のようです。
で、食べてみました。確かにウマイ!実は、仕事中なのでにんにくの匂いを気にしていたのですが、そんなことも忘れるうまさでした。
以来、「昼間の餃子もみんなで食えば怖くない」がスタッフの合言葉になったほどです。(1月27日『はなまるマーケット』出演の際、餃子のお話をしていたのはこのことです)
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クランクインから1ヶ月。3ヶ月の長丁場の撮影ですから、およそ100人の関係者の間でもいろんな人間ドラマが進行して行きます。
俳優・スタッフ間の息が合ってきたところで、弾みがつく出来事。なんと“ご祝儀袋(箱)”が登場!何かといいますと「オメデタ3連発」です。
チーフ助監督のH多さんに二世第1号が誕生。お子さんは彼の素敵な人柄をそっくり受け継いで、みんなに可愛がられながら元気に育って行くのでしょう。でも、食欲だけはあまり遺伝しないで欲しい気も。ほどほどが肝心ですから。
同じ時期に渡辺さんのマネージャーのH沢さんにも第一子が誕生。
H沢さんとH多さんの間では、携帯の待ち受け画面に記録したお子さんの写真を見せ合うという微笑ましい場面も見受けられました。
また、車両部のE原さんにも第一子が誕生。オメデタ続きでした。E原さんの奥さんとベイビーは3週目(11話)の、道子の幻想シーンに出演してくれました。E原さんありがとう!
スタッフの出演といえば、13話冒頭の新聞配達人は、サード助監督のD造くん、牛乳配達の人はセカンドのM間くんが演じてくれました。良いシーンになったと思います。D造くん、M間くん、ありがとう!
スタッフのエキストラ参加が現場を盛り上げてくれたりします。雰囲気作り&思い出づくり。ただただ予算削減のためというわけでもないのです…。
収録現場も笑いが生まれる余裕が出てきました。でも、こんなことも…。
市毛良枝さんのお話です。『桜咲くまで』の収録期間中『ヤンキー先生母校へ帰る』を掛け持ちされていました。昼帯の1日の収録量たるや並の台詞量ではありませんから、きつい時期もあったはずです。負担が重なったのでしょうか。立ち稽古のとき、マスク姿で現れたときは心配しました。風邪をひき、熱も出ていたとのことです。でも、収録のときには全く影響がないように演じていらっしゃいました。毎度のことですが、俳優さんの精神力には感心します。
市毛さんの場合、普段から山歩き等で体力をつけていらっしゃるから、こういうとき回復も早かったりするのでしょうか?
ロケ先での一コマ。押し気味(スケジュール以上に時間がかかってしまうこと)だったので皆が急いで徒歩移動。そこで、スゴイ光景を目の当たりにします。
「ゴトク」(ローアングル用カメラ三脚)を市毛さんが運んでいるのです!?
主演女優にそんなことをさせるなんて!困ります!そんなことをされては!
でも、市毛さんは「いいのよ!気にしなくて…」と、やさしく仰る。
確かに、少しでもONタイムに戻そうと、各々が早く移動しようとはしていました。でも、申し訳なさ過ぎる!それは、スタッフが運ぶべきモノなんです!
などと情けなく叫ぶ間に、市毛さんはどんどん歩いていってしまいます。
ふと足元を見ると、愛用のトレッキング・シューズ。何時の間にか、劇用の靴から履き替えていて、サッササッサと歩いていたのです。先に歩いていた渡辺さんを抜き去り「おっ、さすが!」と言わしめるスピードです。
申し訳ない気分になったものの、結局、こちらも笑顔がこぼれてしまう。どこか自然で気にさせない笑顔を称えてらっしゃいます。いつも、屈託なく私たちと会話してくれる気さくさも現場の空気を和ませてくれました。
こうして、また一人、市毛さんファンが…。
〜市毛さん、いつもお気遣いありがとうございます。
(4Wの監督日誌に続く)
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