「毎日、命 削ってる」
奇跡の物語の先にある、孤独にもがく日々の記録。
泳ぐたびに日本競泳界の歴史を変えてきた――
数々の日本記録を生み出した天才スイマー。
そして、白血病という大病を乗り越え奇跡の復活を果たした不屈のアスリート。
復帰後、東京オリンピック出場を果たしたとき彼女は言った。
「努力は必ず報われるんだなって思いました」
彼女の圧倒的な実力と困難に挑戦する姿勢は、多くの人々に勇気と希望を与えてきた。
しかし今、彼女の記録はかつての自己ベストから緩やかに遠ざかっている。
「なんで、頑張ってる人って、報われないんですかね?」
26歳になった彼女は、たびたびそんな問いを口にする。
誰よりも早くプールにやってきて、練習では決して手を抜かない。
それでも結果は出ない。
かつて自分が最も輝いた場所は、今は自分の限界を突きつけられる場所に変わった。
「人間って、一生に動く心臓の回数決まってるっていうじゃないですか。だったら私は早死にするだろうな」
それでもなぜ、彼女は今日も水に入るのか――
私たちのカメラは、スタート直前の飛び込み台で、思いがけない姿を見てしまった。
Rikako Ikee
2000年、東京の自宅で水中出産により誕生。
3歳で水泳を始め、5歳のとき4泳法で50mを泳げるようになる。
2015年、日本選手権50mバタフライで初の日本一に。
同年、W杯東京大会の100mバタフライで日本新記録を樹立。
19年ぶりとなる中学生の快挙として、大きな注目を集める。
2016年、リオデジャネイロオリンピックに日本人最多7種目で出場。
以降は泳ぐたびに日本記録を更新、次々と自己記録を塗り替えていく。
2018年、パンパシフィック水泳100mバタフライで初の世界一。
同年、アジア大会では史上初の6冠を達成。
2019年2月、白血病の宣告を受け、闘病生活を余儀なくされる。
2020年8月、594日ぶりに競技復帰。
2021年、日本選手権で優勝し、東京オリンピック代表権を獲得。
2024年、パリオリンピックに出場し、3大会連続でオリンピックの舞台に立つ。
現在、個人・リレー合わせて16種目の日本記録を保持している。
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