
“郷ひろみ”として生きるために。
70歳、ステージの上の青春
芸能活動は半世紀を超える。
『お嫁サンバ』『よろしく哀愁』『2億4千万の瞳』『GOLDFINGER'99』など、時代を超えて愛されるヒット曲を数多く世に送り出してきた。これまでに発表したシングルは110枚以上。今もなお、ツアーやディナーショーのチケットは即日完売するほどの人気を誇る。
「ファンがいるから、僕がいる」。
70歳を迎えた今も、少しでもファンに愛される存在であり続けるため、日々の努力を惜しまない。20代から続けている週3回のトレーニングを欠かさず、歯を食いしばって挑む姿からは、ストイックな生き方がにじみ出ている。
この夏も週2回のコンサートに加え、若者の集う音楽フェスやテレビ番組への出演など、精力的に活動を続けている。半世紀にわたりエンターテインメントの世界を走り抜けてきたその姿は、「レジェンド」と称されるにふさわしい。
だが本人は、「時代の変化に必死でついていっているだけ」と笑う。何か新しいことを始めなければ、歌手としての道は続かない――そう語る郷は、常に新しい血を取り入れ、進化し続けている。
今年発売された新曲では、"昔のアイドル"をテーマに掲げ、人気アイドルグループなどを手がける振付師に依頼した。5月から始まった全国ツアーでも、才能あふれる若手演出家やアレンジャーを迎え入れ、新しい「郷ひろみ」を作り上げようとしている。
そんな郷が、若い頃から最も大切にしているのは、ファンと直接触れ合える"コンサート"だ。
曲順や構成もすべて自ら考える。古い曲のなかには、歌詞や振り付けを忘れてしまっているものもあるが、笑いながらYouTubeで必死に思い出す姿には、どこか愛嬌がある。
しかし、いざ舞台に立つと人が変わったように厳しくチェックを重ねる。照明の位置や角度、背景ビジョンの内容、衣装の見え方、歌い出しのタイミングまで――。
「準備を100%していないと、本番がうまくできるわけがない」と語る通り、細部にまで目を配る。
迎えた本番初日。最後の曲に差しかかったとき、郷の目から珍しく涙があふれた。この年まで声援を送り続けてくれたファンを見て、自然と込み上げてきたものだという。
「シミもシワも増えた。でも、これまでの人生で恥ずかしいことは何もない。」
そう語る郷ひろみは、70歳を迎えた今もなお、堂々と"郷ひろみ"として生きている。
10月18日・19日には、70歳を記念し、2日間で70曲を歌う前代未聞の武道館コンサートが控える。
誰もが知る「国民的スター」という光の裏で、時代に取り残されないよう考え、常に準備を怠らない。
その姿は、変わらぬ情熱で進化を続けるアーティストの原点そのものだ。

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