情熱大陸

役者 Vol.1380

木村多江

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11.30(日)

よる11:00

「泥くさく、人間くさい役を演じたい」
役の中で呼吸する、生粋の“演劇少女”

「女性の俳優は50代になると役柄が限定される」といわれる。木村多江は、54歳。ところがいま、一番忙しいのだ。
シリアスな役からコメディ、アクションまで多彩な役柄をこなし、映画やドラマに欠かせない名バイプレイヤーの一人として走り続けている。「"泥水、飲みまっせ"って気持ちをもっていないと」。その根っこに何があるのか知りたくて、カメラを向けた。
取材が始まったころ木村は、仕事に厳しい医者、関西弁のお母さん、英語を操る大使館職員...いくつもの作品を同時進行で抱えて奔走していた。自らの出番以外でも、モニター越しに共演者の芝居をキラキラした眼差しで見つめる。「横隔膜を揺らして泣く身体にもっていく」、「涙の前に鼻水が先にこぼれてはいけない」。普段はおっとりと話すが、演技のことになるとたちまち興奮のスイッチが入る。いまもクランクイン前日は緊張で眠れないというほどの熱量がそこにある。
デビュー直後は、すぐ死んでしまうような端役ばかりだった。キャリアを重ねてつかんだ37歳の初主演映画「ぐるりのこと。」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。悲しい過去を背負った主人公は、かつて生きづらさを抱え、演じているときだけ自分らしくいられたという自らにも重なった。
木村はある日、志願して一風変わった舞台に挑んだ。事前準備は一切なし、舞台上でいきなり台本を渡され、初見でセリフを読みながら役を演じていくという、役者としての技術をすべてさらけ出す舞台。「恥をかくのは大事。怖いけど、いくつになってもやらなきゃと」。
映像デビュー30年を迎える"演劇少女"が役を生きる瞬間は、見ものだった――。

Tae Kimura

1971年、東京生まれ。学校に馴染めなかった小学生のころ、演劇クラブの劇に感動し、その後芝居の世界にのめり込む。
専門学校でミュージカルを学び、舞台での活動を開始。24歳でドラマデビュー。
ドラマ「リング~最終章~」「らせん」(1999年)の貞子役で注目を浴び、「大奥」、「白い巨塔」など人気作品に出演。
初主演映画「ぐるりのこと。」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞(37歳)。翌年の映画「ゼロの焦点」でも同賞優秀助演女優賞。「薄幸な役をやらせたら日本一」などと称された。
最近ではNetflix「忍びの家 House of Ninjas」(2024年)でアクションにも挑戦。
一児の母。

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