情熱大陸

シェフ Vol.1375

三國清三

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11.02(日)

よる11:00

フレンチの巨匠 71歳の再出発!
全て捨てて自分を超える…信念の一皿

言わずと知れたフランス料理の巨匠、三國清三(71歳)。かのナポレオンが創設したフランスの国家勲章"レジオンドヌール"を獲得した日本の料理人は、200年の歴史の中で三國ただ一人だ。
フレンチの基本を完璧におさえた上で、日本の食材の滋味深さを表現する"ジャポニゼ"という唯一無二の料理を確立、30歳で東京・四谷にオープンした"オテル・ドゥ・ミクニ"は美食家たちに愛される名店として世界にその名をとどろかせていた。客席から見えない大きな厨房で大勢の客のために腕をふるい、ときに檄を飛ばし、ナイフのような鋭さでグランメゾンを切り盛りするその姿は、まさにそこが彼の居場所であるように見えた。
ところが3年前、三國は突如としてオテル・ドゥ・ミクニを取り壊す。80席あった華麗な店内をカウンター8席のみのオープンキッチンに業態変更し、同じ場所で再出発するというのだ。いったいなぜ。
「これまでやってきたことは僕の原点ではない」。三國の"原点"――その正体を知りたくて、カメラは半年に渡って追い続けた。
再出発に向けて、三國が最もこだわったのが食材探訪だ。8席であれば量は必要ないため、より希少な食材を扱うことができる。全国津々浦々、直接生産者の元へ足を運ぶ。「規格外のものがほしい」と懇願する三國は、終始少年のような笑顔をのぞかせる。形が歪なものや巨大化したもの、市場には出回らないような食材にこそ、本当のおいしさがつまっているのだと嬉しそうに熱弁する。
三國の心の深みを垣間見たのは、最新の料理の研究に訪れたフランスでのことだった。フレンチの本場で唯一の女性三つ星シェフ、アンヌ・ソフィー・ピックの料理を前に、思わず「シャポー(脱帽)」と漏らす。敗北感にも似た三國の表情を初めて見た。さらに、57年間三つ星を維持する名門一族の三代目、ミッシェル・トロワグロとも再会。若いころ共に修行を重ねた盟友は、71歳でなお前に進む三國へある激励の言葉を贈った。
9月、新店舗「三國」がオープンした。遮るもの一つない厨房に独りで立ち、お客を目の前にしてどんな一皿を振る舞うのか。額に汗を滲ませながら食材を仕込む横顔に、71歳のただならぬ覚悟が宿っていた。

Kiyomi MIKUNI

1954年北海道増毛町生まれ。15歳で料理の道を志し、札幌グランドホテル、帝国ホテルでの修行を経て、20歳で駐スイス日本大使館の料理長に就任する。その後、世界最高のシェフと称されるフレディ・ジラルデに師事し、「トロワグロ」や「オーベルジュ・ドゥ・リィル」「アラン・シャペル」といった数々のミシュラン三つ星レストランで経験を積む。1985年東京の四谷に「オテル・ドゥ・ミクニ」をオープン。ニューヨークの最高級レストラン「ザ・キルテッド・ジラフ」をはじめ、世界各地で「ミクニ・フェア」を開催するなど国際的に活躍。現在YouTubeチャンネルの登録者数が54万人、Instagramのフォロワー数は18万人、家庭で作れる様々なレシピの紹介やシェフのちょい語りコーナーが人気を博している。

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