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西野達ストリートアーティストVol.1275
100歳のハチ公に安らぎの空間を!
街に驚き生み出す世界的アーティスト
「普段あまりアートに興味のない人たち」を観客と想定し、美術館やギャラリーを飛び出し、街中や屋外に作品を設置するスタイルを貫いてきた西野逹、63歳。
代表作はシンガポールの観光名所「マーライオン像」を丸ごと仮設の小屋で囲い、マーライオンが鎮座するホテルの一室にした「マーライオンホテル」。ニューヨーク・マンハッタンに位置する巨大なコロンブス像を囲い込み、通常では見上げるだけだった銅像をリビングルームの中に取り入れたこともある。あらゆる角度から間近に観られる空間は、連日入場規制が行われ両作品は約2ヶ月の期間中10万人以上の観客を動員した。
世界各地のモニュメントをそのまま作品にする西野の狙いは、都市を舞台にして人々を巻き込み、「街に出現するアート」によってアートの垣根をとっぱらい、「普段あまりアートに興味のない人たち」を感動させること。そのオリジナリティに、国際的な評価は高い。
その西野が次にアートで仕掛けるのが、今年で生誕100年を迎えた「世界で最も有名な犬」忠犬ハチ公の銅像。今や東京きっての待ち合わせ場所としてだけでなく、海外からも観光客を集めるこの名所をどのような芸術に昇華するのかー。西野の企みにカメラを向けた。
アートの存在理由は人々の想像力の拡張だと信じる西野。
「アート作品ってアーティストが解説するものじゃない。観る人が自由に観るのがアート本来の見方だと思います。作品を『なんだろうこれ?』っていうような感じで観て、考えてもらうのが一番正解」
西野が信じるアートの不思議な可能性が渋谷の街に花開くとき、ハチは果たしてどんな思いを抱くのか。
PROFILE
1960年・愛知県名古屋生まれ
武蔵野美術大学修了後、1987年ドイツのミュンスター芸術アカデミーで彫刻を学ぶ。1997年からは国や街のシンボルと関係する大規模なプロジェクトをヨーロッパを中心に世界各地で展開し、大胆で冒険的な作品を作り国際的な評価を得る。2017年度「芸術選奨美術部門文部科学大臣賞」を受賞。
代表作
2011年「マーライオンホテル」Singapore Biennale、シンガポール
2012年「Discovering Columbus」Public Art Fund、ニューヨーク
2017年「達仏」つなぎ美術館、熊本
2017年「別府タワー」Beppu Project、大分
2018年「A Doll’s House」Palais de Tokyo、パリ
2023年「新宿」東急歌舞伎町タワー、東京
など
構成:田代裕・天野衛
ナレーター:窪田等
撮影:高橋秀典・合田文昭
音効:井田栄司
編集:山村昌樹
制作協力:ニンポップ
プロデューサー:沖倫太朗・倉本美津留
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