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2023年10月08日(日) 放送分

寺島しのぶ女優
Vol.1270

悲願…異例の歌舞伎座デビュー
40年越しの想いをいま舞台に―

今秋、400年以上続く歌舞伎の歴史に、ある女優の名が刻まれようとしている。寺島しのぶ、50歳。基本、男性が女性を演じる歌舞伎の世界。しかし今回歌舞伎の殿堂「歌舞伎座」の本興行で、異例の抜擢を受けたのだ。寺島といえば、映画「キャタピラー」でベルリン国際映画祭の最優秀女優賞(銀熊賞)に輝いたほか、数々の映画・演劇賞を手にしてきた圧倒的な実力者。
しかし今回の抜擢に、その心中は穏やかではなかった。歌舞伎の名門・音羽屋の長女として生まれた寺島。気がつけば歌舞伎は、細胞に沁み渡るほどに愛してやまないものとなっていた。しかし女性である自分は、決してその道には進めない...。どうしようもない虚しさや屈折した感情をバネに、女優の道をひたむきに切り拓いてきた。
今回、彼女が挑む演目は、三遊亭圓朝の「文七元結」を翻案した人情噺。江戸の市井に生きる人々の心の機微を描き出した傑作で、人間国宝である父・七代目尾上菊五郎が演じ続けてきた人気作だ。それを映画界の巨匠・山田洋次が、脚本・演出を一新して創り上げる。
 番組では寺島の舞台初日までの日々を独占取材。歌舞伎俳優たちが見守る中での巨匠との真剣勝負を見つめた。加えて、幼馴染みで無名時代から苦楽を分かち合ってきた中村獅童との、涙あり笑いありの共演もたっぷりと。また2004年に放送した情熱大陸の映像も紹介。20年の時を経て、妻になり、母となった等身大の姿にも迫る。
かつて死ぬほど憧れた歌舞伎座の舞台で、寺島しのぶは何を見て、何を掴むのか。

PROFILE

1972年、歌舞伎俳優の七代目尾上菊五郎と女優・富司純子の長女として生まれる。高校在学中にTVドラマで女優デビュー。大学時代に文学座の研究生となり、1996年「華岡青洲の妻」で文化庁芸術祭賞新人賞を受賞。文学座退団後、2003年に公開された映画「赤目四十八瀧心中未遂」で第27回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得。同年の「ヴァイブレータ」も国内外の映画祭や映画賞で大きな注目を集める。2010年「キャタピラー」にて、ベルリン国際映画祭で日本人として史上3人目、35年ぶりとなる銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞。近年の主演作に、日米合作映画「オー・ルーシー!」や「あちらにいる鬼」などがある。
私生活では2007年にフランス人のアートディレクターであるローラン・グナシアと結婚。2012年に第一子・眞秀を出産した。趣味はスポーツ観戦。

STAFF
演出:小林潤子
構成:田代裕
ナレーター:窪田等
撮影:桜田仁・松浦祥子・髙野大樹
音効:増子彰
編集:芦垣均
制作協力:コンパス
プロデューサー:沖倫太朗・於保佐由紀

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