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2023年09月10日(日) 放送分

渡邊直子登山家
Vol.1267

8000m峰完全制覇へあと1座!
ヒマラヤに心奪われた現役看護師

「私、登山家だと思ってないんですよ。8000m峰の遠征に行くのが好きな、8000mバカみたいな」
標高8000m以上の山々は世界に14座しかない。すべてヒマラヤ山脈にある。そのうち13座の登頂に成功してきたのが登山家・渡邊直子だ。
残すはチベットのシシャパンマ(8027m)1座のみ。偉業達成目前の渡邊だが、取材カメラにも気を張ることなく、いつもどこか楽しそうな姿を見せる。
「どうやったら自分が強くなれるか、どうやったら自信が持てるかを確かめにヒマラヤに行き続けている気がしますね」
渡邊が8000m峰にこだわる背景には、子供時代に受けたいじめがあった。
学校でのつらい日々。そんな渡邊を夢中にさせてくれたのがいつも「山」だった。「いじめられたとしても私にはこういう世界がある。他の人たちができない体験を、私はしているんだ」
24歳で標高世界第6位の「チョオユー(8201m)」を制覇。初めて8000m峰の頂に立ったことが人生を変えた。以来17年、現役看護師として働く渡邊は、給料の大半を遠征費用に充てて「世界の屋根」に通い続けてきた。
この夏、彼女が挑んだ山は、標高世界第2位の「K2」。
激しい天候の変化や、高いテクニックを要する難しいルートから「非情の山」と呼ばれ、多くの登山家を退けてきた。2018年に初めてその頂をきわめた渡邊にとって大切な山に再びアタックする。
だが、必ずしも登頂成功の記録だけにこだわっているわけではない。山での生活や登山の過程で感じる気持ちを大事にしたい...命がけでヒマラヤに挑み続ける"8000mバカ"の、厳しくも愉快な山行を追った。

PROFILE

1981年、福岡県大野城市生まれ。
3歳の頃から母の影響で、登山やサバイバルキャンプを始める。中学1年の時、パキスタンの4700m峰に登頂したことで、高所登山の虜になる。一方で、大学時代に参加した登山隊では保健係を担当し、その体験がきっかけで看護の道へ進む。
初の8000m峰登頂は、2006年の標高世界6位「チョオユー(8201m)」。
それ以来、看護師をしながら自力で遠征資金を貯め、2013年には世界1位の「エベレスト(8848m)」の頂を制した。これまで8000m峰を26回登り、13座の登頂を達成。「日本人女性初8000m峰14座制覇」まで、あと1座と迫っている。

STAFF
演出:真壁優仁
構成:田代裕
ナレーター:窪田等
撮影:井上裕太
音効:中嶋尊史
編集:田中健太
制作協力:ネツゲン
プロデューサー:沖倫太朗・石飛篤史・神野敬久

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