BACK NUMBER過去の放送

2023年08月13日(日) 放送分

福田雄介ワニ研究者
Vol.1264

神々しいほどの逞しさと美しさ
野性ワニに魅せられた男の冒険

真っ暗闇の川を進むボート...ワニ研究者・福田雄介がサーチライトで水面を照らすと、ピンク色の目が光った。「Oh Big Boy!!」世界最大級、野性のイリエワニだ。
福田は、オーストラリア北部・ノーザンテリトリー政府に勤める研究者。フィールドワークで、イリエワニの生息数や分布を調べている。福田の科学的なデータは、オーストラリア連邦政府がワニ保護の施策を決めるための重要な指針ともなっている。
担当するノーザンテリトリーは、日本のおよそ3.6倍の面積を持つ。人口は25万人だが、生息しているイリエワニは推定で10万頭。半世紀以上前の乱獲で絶滅寸前まで追いやられたものの、保護活動が実り徐々に数を回復してきた。
福田が異国の地で研究者として生きていくきっかけは、高校生の時。夢もなく将来に展望が描けたなかったある日、たまたま見たテレビ番組で、イリエワニの神々しいまでの格好良さに出会い衝撃を受けたという。英語もよくわからないまま単身渡豪し、研究者を訪ねて教えを乞うた。
「時々本気で思うんです。僕はワニを守るために生まれてきたんじゃないかって...」
趣味は、イリエワニの撮影。調査のない休日も、プライベートで川へ船を出す。レンズを覗く目は少年のようだった。
イリエワニの革はオーストラリアの貴重な経済資源だが、一方で人と接触する事故も絶えない。保護とのバランスをどう取るのか。野生動物と共存する難しさは、クマの脅威に震える日本にも通じる......イリエワニを愛してやまない研究者のユニークな日々を見つめた。

PROFILE

1980年、東京都杉並区生まれ。高校時代に、イリエワニとその研究者を紹介するテレビ番組を見て感銘を受けワニの研究者になることを決意。渡豪しチャールズ・ダーウィン大学に入学。大学院を卒業後、2005年にノーザンテリトリー政府の職員に採用。野生生物保護管理の部署で職員としてワニの調査研究を行なっている。国際自然保護連合(IUCN)ワニ類専門家グループ(CSG)役員・オーストラリアオセアニア地区副代表。

STAFF
演出:野坂真也
構成:田代裕
ナレーター:窪田等
音効:中嶋尊史
編集:宮島亜紀
制作協力:ソユーズ
プロデューサー:沖倫太朗・岩井優介

このサイトをシェアする